Shoeisha Technology Media

CodeZine(コードジン)

特集ページ一覧

F#のfslexとfsyaccを用いたコンパイラ作成

C#プログラマのためのF#入門(9)

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2010/08/17 14:00

 F#では、fslexやfsyaccといったツールや、判別共用体などのF#固有の機能を用いることで、既存言語に新たな構造を簡単に追加したり、言語を作成できます。今回はF#言語指向プログラミングを利用して、fslexとfsyaccを用いたコンパイラ作成について解説します。

目次

はじめに

 F#では、fslexやfsyaccといったツールや、判別共用体などのF#固有の機能を用いることで、既存言語に新たな構造を簡単に追加したり、言語を作成したりできます。

 今回はF#言語指向プログラミングを利用して、fslexとfsyaccを用いたコンパイラ作成について解説します。

 fslexとfsyaccは、PowerPackに含まれています。PowerPackは、マイクロソフトのF#チームが用意したF#用ライブラリとツールを集めたものです。ダウンロードはこちらのURLからできます。

fslexとfsyacc

 lexとyaccは字句解析器と構文解析器を自動生成する有名なツールですが、これらをF#用に移植したツールがfslexとfsyaccです(注1)。

fslexとfsyaccの役割
fslexとfsyaccの役割

 人間がC言語やF#などで記述するソースコード(※1)をコンピュータが理解できるオブジェクトコードに変換するのがコンパイラです。コンパイラはまず、入力された文字列を単語単語に区切って抽出する必要があります。区切られた単語をトークン(※2)と呼び、この作業を字句解析と呼びます。字句解析を行うのが字句解析器で、それを作成するプロセスを自動化しているのがfslexです。

 次に、字句解析された文字列、つまりトークンの集まりは、構文解析されます。構文解析では、トークンを構文木(※3)に変換します。この処理を行うのが構文解析器で、パーサとも呼ばれます。fsyaccは構文解析器の自動生成をサポートします。fslexとfsyaccはそれら自身がそれぞれの役目に特化されたDSLでもあります。構文解析で得られた構文木に情報を補足し各階層に意味を持たせるのが意味解析です。

 その後、作成された構文木を用いて、オブジェクトコードを生成します。先に効率のよいコードを生成するための最適化処理を行い、最後にオブジェクトコードを作成します。

注1

 fslexとfsyaccツールは、F#配布ディレクトリのbinにfslex.exeとfsyacc.exeとして配置されています。

fslex、fsyaccスターターテンプレート

 VS2010プロジェクトでのfslexとfsyaccツール使用に関するスターター用オンラインテンプレートがあります。

 VS2010を起動し、新しいプロジェクトを作成します。今回はtestProjという名前にします。テンプレートの部分でオンラインテンプレートの、F# Parsed Language Starterを選択してください。作成されたプロジェクトは図のような構成になっていると思います。

プロジェクト作成直後
プロジェクト作成直後

 これはfslexやfsyaccを用いて簡単な計算言語を作成するプロジェクトのテンプレートです。作成されるアプリケーションは次のように、標準入力から得られる文字列(四則演算)を計算して表示し、”quit”が入力されると終了します。

[リスト1]testProj実行例
Calculator
:2 + 3 * 5
Lexing [2 + 3 * 5]
Parsing...
Evaluating Equation...
Result: 17
:quit
Press any key to continue . . .

 今回は、これらを用いて解説します。


  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

著者プロフィール

  • 山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

    静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for ASP/ASP.NET。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。 主な著書に「入門シリーズ(サーバサイドAjax/XMLD...

  • WINGSプロジェクト 星山 仁美(ホシヤマ ヒトミ)

    <WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂...

バックナンバー

連載:C#プログラマのためのF#入門

もっと読む

All contents copyright © 2005-2018 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5