ドメインサービスを追加する
ドメインサービスを作成する前に、WCF Serviceの構築作業とWCF RIA Servicesの構築作業の違いや、AzureでのWCF RIA Servicesについて解説します。
WCF RIA Servicesの構築作業の特徴
WCF RIA Servicesには、WCFサービスの通信機能に加え、データのクライアントでの変更追跡と他のユーザーとの同時実行制御を行う機能を利用することができます。また、データ検証を行うためのロジックを追加することができます。
構築作業の特徴としては、サービスを動かしてからそのサービスを利用するWCF Serviceとは異なり、WCF RIA Servicesを定義しコンパイルした時点でそのサービスは利用できるようになります。これは次のような仕組みになっているからです。
WCF Servicesでは、コントラクトとしてサーバーで定義していたデータの構造(サービス構造も含まれます)を、Visual Studioのサービス参照の設定によってクライアント側に自動生成されたコードで、クライアント側でも既知のデータ型として扱えるようになります。つまり、クライアント側にあらかじめ用意されたサーバー側のデータ構造の情報を使って、サーバー側のメソッドを呼び出し、サーバーから返されるオブジェクトを受け取って、クライアント側でデータ構造を再構成している点が、WCF RIA Servicesと最も異なる点です。
これに対し、WCF RIA Servicesではデータを利用するときに、データコンテキストという識別用のラベルを使ってサーバーのオブジェクトを直接指定します。AzureでWCF RIA Servicesを使う場合も、同じようにコンテキストを使います。そのため、Web.configにエンドポイントの設定をするとか、サービス参照の追加を行うといった作業がありません。これらの違いを踏まえて構築作業を進めましょう。
ドメインサービスの作成
ドメインサービスを作成する前には、必ずビルドしてください。次のステップでドメインサービスの追加ウィザード([Add New Domain Service Class]ダイアログ)を使いますが、ビルドを行っておくと、その際に先ほど作成したデータモデルを選択できるようになります。
(1)Domain Service Classの追加
FormTemplateManager.WebプロジェクトのServicesフォルダを右クリックし、[追加]-[新しい項目]-[Domain Service Class]テンプレートで「TransportationFeeService」という名前のクラスを作成します。
(2)ドメインサービスの追加ウィザード
続いて表示されるドメインサービスの追加ウィザードでは、[Available DataContext/ObjectContext classes:]で[TransportationFeeClaimEntities(Entity Framework)]を選択し、下部の一覧の[TransportationFeeEntityModel]と[Enable editing]にチェックを付けます。最下部の[Generate associated for metadata]もチェックになります。これらを確認して[OK]ボタンをクリックします(今回はアソシエーションは設定していませんが、チェックする癖をつけておいてください)。