Q7:A/Bテストを行う頻度
Q. ユーザーの環境はどんどん変わっていきますが、A/Bテストは定期的に行うのでしょうか。また、スマホの普及前後で、同じA/Bテストでも結果が異なるということはありましたか?
A. 僕らはA/Bテストを週に1回は行っています。定期的にというより、何かしらのテストが常に走っている状態です。
たしかに、スマホはどんどん変化していきますが、それ以上に、AndroidユーザーとiOSユーザーで行動特性が違うことのほうが大きいと思っています。ですので、僕たちはよく、Android向けのA/BテストとiOS向けのA/Bテストで内容を変えてみています。AndroidとiOSではインターフェースのルールが違いますし、UIルールがそもそも違いますから、ユーザーにも特性もあるのかもしれないですね。そこは深堀りしたいです。何が違うのかが分かったら、それをもとに、いろんなサービスができるかもしれません。(林)
Q8:マイクロコンバージョンの活用事例
Q. リクルートジョブズ社にマイクロコンバージョン[1]を設定し、活用している事例はありますか?
A. リクルートジョブズのWebサービスは「求人への応募」をコンバージョンとしていますが、その手前の直帰率や離脱率、CTRなど、応募より手前のポイントも計測しています。「CTRが上がった」ことが分かれば、直帰率も改善されだろうと見ます。そこにポイントを置いた打ち手も有効です。
そういうことが多いのはランディングページや、SEOによる流入の多いページですね。そこにポイントを置いた施策も行っています。(林)
[1] 例えば、ホームページから応募完了ページまでの階層(遷移するページの数)が深い場合、コンバージョンが出づらくなり、テスト結果を判断するためのデータがなかなか得られません。そのようなときには、応募完了ページに至る途中のページ遷移もコンバージョンのゴールとして扱います。この施策がマイクロコンバージョンです。マイクロコンバージョンを取り入れると、コンバージョンが数多く出るようになり、結果の判断を下しやすくなります。
Q9:思い出深いA/Bテスト
Q. 林先生にとって、思い出深いA/Bテストはありますか? ものすごい結果が出たとか、滑りまくったとか。
A. 思い出深いということでいえば、通販サイトを担当していたときに女性の下着のA/Bテストをやったんですけれども、比較したのが「響かないパンツ」と「響かないパンティ」だったんです。とても思い出深いA/Bテストですね。なぜ、こんなに一生懸命やっているんだろうと(笑) 結局、「響かないパンツ」という、かたい感じの表現のほうが結果がよかったんですけど。
やっぱり、滑る回数のほうが多いですね。正確には、滑るというより変化がないというケースが多いです。
バナーなどは、小さな画像の中にターゲットや想定するワードなどを入れて作りますよね。実際に作って、ユーザーの気持ちになって見てみると、気になったり押したくなったりするかどうかが分かります。バナーをいろいろ作っていくことは、自分の打ち手や引き出しを増やすことにつながります。(林)
Q10:リクルートのグロースハッカーチームの人数
Q. リクルートさんのような大企業でグロースハックチームというのは何人くらいいるのでしょうか?
A. メンバーは、サービスを日々成長させることに自信を持ちつつ、今のサービスが正解とは考えておらず、担当の企画者だけでなく、開発者も含めた全員がサービスを成長させていくことに意識を高く持っています。そういった意味では、全員がグロースハッカーなのかなと僕は思っています。専属の誰かというのではなく、サービスを成長させていくという観点において、メンバー全員がグロースハッカーということです。
これが答えになっているのか分かりませんが、人数としてはけっこう大勢いると思ってください。(林)
Q11:直帰率の見方
Q. ページによると思いますが、運営しているWebサイトの直帰率はだいたい何パーセントですか?
A. そうですね。一概には何とも言えない数字なんですけれども、直帰率は50%を超えると何かしらの問題があるんじゃないかと考えます。ユーザーに対して訴求しているもの(情報)が、ニーズと違ってきているじゃないかと。直帰率を改善すべきページ、改善の余地があるページを判断するときの線引きには、直帰率50%を使っています。
逆に、直帰率10%のところをいかに変えても結果はなかなか出ません。やはり50%が線引きですね。(林)