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クラウドは複数のプラットフォームを使い分けて連携する時代へ
――ユーザーの満足度が高くセキュアなアプリケーションをすばやく開発できるということで、Salesforceは優れたクラウドプラットフォームといえますが、苦手な領域はあるのでしょうか?
今岡:ありますね。例えば、大容量のバイナリファイルを大量に扱うケースでは、ファイルはAmazon S3に保存し、Salesforce上からはハイパーリンクで開けるようにするという手法が鉄板になっています。今後はやはり、クラウドプラットフォームを組み合わせることも選択肢に入れ、お客様に最適なソリューションを提供できることが重要になってくると強く感じています。
そういった中で、AWSは今後も生き残るクラウドであるし、Salesforceとは相互に苦手な領域をカバーし合うプラットフォームだろうと考えていました。実際、弊社のお客様でもあるSalesforceの大手ユーザーさんの中にも、AWSの利用を始めたいというところが少なくありません。
この考えにまず賛同してくださったのが、AWSに高い技術力を持つサーバーワークス社でした。弊社としても、AWSの技術力が高い会社と組むのは、お客様へ最適なソリューションを提供することに近づく効果があります。そこで2年半前に、サーバーワークスさんと資本・業務提携を結びました。
讃岐:ただ、ユーザーさんにとってシステムのプラットフォームが何かなんて、究極的にはどうでもいいこと。裏返せば、ユーザーさんの業務に適したプラットフォームを選択する責任が開発者側にはあるということです。Salesforceのほうが向いているのか、AWSのほうが向いているのか。我々がよく判断を迫られるところでもあります。
今岡:だから、これからはSalesforceだけ、AWSだけに長けているエンジニアは重宝されず、いろんなクラウドをある程度経験した人が活躍するんだろうなという気がします。もちろん、どこかに一番の強みを持つことは大切ですが。
――クラウドも適材適所で利用するべきですよね。
今岡:ポータルサイトやコミュニティサイト、あるいは外注先と社内とで接続するアプリケーションなどの開発では、いずれバックオフィスにもつながることを考慮しても、セキュリティが重要になること考えると、Salesforceがプラットフォームとしてすごくマッチしていると思います。
あと、残念ながら中断してしまったのですが、SAPのフロントエンドをすべてSalesforceにすることを検討したプロジェクトがあったんです。ユーザー企業いわく、Salesforceならフロントエンドを自分たちで作成したりカスタマイズしたりできるから。Salesforceを、いわば業務データを加工するための勝手の良い「エディタ」として利用するというわけです。SAPが提供するGUIをアドオンとして開発を依頼しているのでは、時間がかかりすぎて業務のスピードに追いつかない。
BtoBでもBtoCでも、サービスやビジネスの中で発生したものはすべてデータ化され、最終的に業務アプリケーションに流れ込みます。また、業務アプリケーションは、新しく開発されるサービスやビジネスを展開するときの足かせになってはいけません。従来型の業務アプリケーションでは不可能な柔軟性と、エンドユーザー自身でもできるほどの拡張性が、業務アプリケーションを構築するプラットフォームには求められるでしょう。
そのときに、Salesforceは有力な選択肢となってきます。サービス自体はAWSなどの上で構築し、それをSalesforceにつなぐ。Salesforceで構築した業務アプリケーションをサービスシステム全体の中心に据えると、会社の運営まで楽になると思います。
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