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価値を生む開発に集中しつづける現場インタビュー(AD)

クラウドインテグレーションの旗手・テラスカイが語るこれからのクラウド開発と新市場とは

価値を生む開発に集中しつづける現場インタビュー【第2回】

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 テラスカイ社は、Salesforceを中心としたクラウド上の開発と連携に特化した「クラウドインテグレータ(CI)屋」という看板を掲げ、クラウド開発の普及に努めてきた一社である。当初は理解されにくかったクラウドも、今ではSAPなど大規模ERPすら移行先になる状況だ。そうした時代に、開発者はどのような技術を身に付ける必要があるのか。テラスカイ 取締役執行役員 ソリューション本部 本部長 今岡純二氏と、同ソリューション本部 技術推進チーム ソリューションスペシャリスト 讃岐 行氏に、同社の取り組みや展望とともに聞いた。

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クラウドとの出会いで開発に対する考え方が変わった

――お二人はどのようにクラウド開発者としてのキャリアをスタートしたのですか?

今岡:クラウドに初めて触れたのは前職時代、2004年ごろだった[1]と思います。当時、私は業務用Webアプリケーションの開発などをやってたんですが、インフラチームとの調整など、開発する前にやらなきゃいけないことがたくさんあって、とても面倒に感じていました。調整事に時間を費やすよりも、できるだけエンドユーザーであるお客様と接して、何を作りたいかの話ができたほうがやっぱりいいじゃないですか。

 そんなときに触れた初めてのクラウドというのが、現在も弊社で主要開発プラットフォームとしているSalesforceでした。衝撃を受けましたね。Salesforceプラットフォームはサーバーの立ち上げなどが不要なのでインフラチームとの調整事もなく、開発に集中できるとわかったんです。それと同時に、アプリケーションを手作りで一から構築するのはもう違うんだなって。

 また、現在とほとんど変わらないSOAP APIを当時から備えていて、外部システムとの連携がスムーズに行えることもできました。基幹システムと連携するためのデータローダを自作できるなど、開発側の自由度がちゃんと確保されていたわけです。そうした点もすごいなぁと。

テラスカイ 取締役執行役員 ソリューション本部 本部長 今岡純二氏
テラスカイ 取締役執行役員 ソリューション本部 本部長 今岡純二氏

讃岐:私がクラウドに初めて触れたのは26歳くらいだったのですが、そのころは社内にこもり、COBOLやPL/Iといったいわゆるレガシーなシステムをリバースエンジニアリングするツール製品を、C言語などでゴリゴリ作ったりしていました。そうしているうちに、「ノーコーディングでアプリケーションを構築できるASPみたいなサービスがあるから、そういうのをやってみないか」と前職の会社に誘われて。それがSalesforceだったわけです。

 お客様の要望に対し、その場でアプリケーションのプロトタイプを作って、「こうですか?」と確認できるというところに魅力的に感じましたね。その場で開発できたりとか、次の打ち合わせでもう実際に動くものができあがっていたりすると、お客様からとても良い反応をいただけますし。

テラスカイ ソリューション本部 技術推進チーム ソリューションスペシャリスト 讃岐 行氏
テラスカイ ソリューション本部 技術推進チーム ソリューションスペシャリスト 讃岐 行氏

――実際に動くプロトタイプを見せることができると、エンドユーザーさんとのやり取りに効果がありそうですね。

讃岐:お客様にしてみても、実際に動くものがあるというのは、できあがったときにイメージとのギャップが少なくなるのでメリットがあると思います。

今岡:以前参画したプロジェクトでは、週1回のミーティングでお客様に動くものを見せていました。あとはメールなどを使いながら、できたところを見てくださいみたいなスタイルですね。クラウドなのでインストールなどがいらないため、お客様へのチェック依頼も「見てください」とメールで伝えるだけで済みました。

讃岐:プロトタイプというか、アプリケーションの基礎部分の開発はお客様が行うケースもあります。お客様側で画面などをある程度Salesforceの標準機能で作っていただき、不足している機能や裏側の独自ロジックを我々が開発するという形です。

 Salesforceの良さとして、プログラムがわからない人、エンドユーザー自身でもカスタマイズできるところがあると思うんです。実際、ご自分でカスタマイズしてみるお客様って多いんですよ。カスタマイズしてしまったために、我々が作ったプログラムが動かなくなってしまうケースもあります(笑)。

 プロトタイプにとどまらず、お客様自身がSalesforce上で開発できるようになることは1つの理想形です。我々もお客様のご要望にかなう開発をしようと努力していますが、それでも結果に齟齬が発生することがあります。やりたいことが一番わかっているお客様がご自身で機能を作れると、そうしたことはありませんから。

今岡:あと、Salesforceでうれしかったのは、当初からセキュリティコントロール機能が提供されていたことです。「誰がどのデータにアクセスできて、どこまで見られるのか」は、業務アプリケーションで必ず出てくる要件ですからね。とはいえ、会社やシステムが異なっても、セキュリティコントロール機能の違いはわずかなもの。Salesforce上で開発する以前には、そうした似て非なるものの量産に時間を取られていました。

讃岐:Salesforceにはロールやプロファイルなど、エンドユーザー単位でデータアクセス範囲を限定する機能が最初から実装されています。こうした業務アプリケーションの標準的な機能って、それを一から自分で作るっていうのはナンセンスじゃないでしょうか。Salesforceはそうした機能をたくさん持っているので、そういうところを使うとアプリケーションの開発生産性がずいぶん高まると思います。

[1]: Amazon Web Servicesの公開は2006年7月、「クラウド」という言葉が最初に用いられたのは、2006年8月に米国サンノゼ市で開かれた「サーチエンジン戦略コンファレンス」におけるGoogle社エリック・シュミットCEO(当時)の発言の中だとされるから、かなり早期に体験したことになる。

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クラウドは複数のプラットフォームを使い分けて連携する時代へ

――ユーザーの満足度が高くセキュアなアプリケーションをすばやく開発できるということで、Salesforceは優れたクラウドプラットフォームといえますが、苦手な領域はあるのでしょうか?

今岡:ありますね。例えば、大容量のバイナリファイルを大量に扱うケースでは、ファイルはAmazon S3に保存し、Salesforce上からはハイパーリンクで開けるようにするという手法が鉄板になっています。今後はやはり、クラウドプラットフォームを組み合わせることも選択肢に入れ、お客様に最適なソリューションを提供できることが重要になってくると強く感じています。

 そういった中で、AWSは今後も生き残るクラウドであるし、Salesforceとは相互に苦手な領域をカバーし合うプラットフォームだろうと考えていました。実際、弊社のお客様でもあるSalesforceの大手ユーザーさんの中にも、AWSの利用を始めたいというところが少なくありません。

 この考えにまず賛同してくださったのが、AWSに高い技術力を持つサーバーワークス社でした。弊社としても、AWSの技術力が高い会社と組むのは、お客様へ最適なソリューションを提供することに近づく効果があります。そこで2年半前に、サーバーワークスさんと資本・業務提携を結びました。

讃岐:ただ、ユーザーさんにとってシステムのプラットフォームが何かなんて、究極的にはどうでもいいこと。裏返せば、ユーザーさんの業務に適したプラットフォームを選択する責任が開発者側にはあるということです。Salesforceのほうが向いているのか、AWSのほうが向いているのか。我々がよく判断を迫られるところでもあります。

今岡:だから、これからはSalesforceだけ、AWSだけに長けているエンジニアは重宝されず、いろんなクラウドをある程度経験した人が活躍するんだろうなという気がします。もちろん、どこかに一番の強みを持つことは大切ですが。

――クラウドも適材適所で利用するべきですよね。

今岡:ポータルサイトやコミュニティサイト、あるいは外注先と社内とで接続するアプリケーションなどの開発では、いずれバックオフィスにもつながることを考慮しても、セキュリティが重要になること考えると、Salesforceがプラットフォームとしてすごくマッチしていると思います。

 あと、残念ながら中断してしまったのですが、SAPのフロントエンドをすべてSalesforceにすることを検討したプロジェクトがあったんです。ユーザー企業いわく、Salesforceならフロントエンドを自分たちで作成したりカスタマイズしたりできるから。Salesforceを、いわば業務データを加工するための勝手の良い「エディタ」として利用するというわけです。SAPが提供するGUIをアドオンとして開発を依頼しているのでは、時間がかかりすぎて業務のスピードに追いつかない。

 BtoBでもBtoCでも、サービスやビジネスの中で発生したものはすべてデータ化され、最終的に業務アプリケーションに流れ込みます。また、業務アプリケーションは、新しく開発されるサービスやビジネスを展開するときの足かせになってはいけません。従来型の業務アプリケーションでは不可能な柔軟性と、エンドユーザー自身でもできるほどの拡張性が、業務アプリケーションを構築するプラットフォームには求められるでしょう。

 そのときに、Salesforceは有力な選択肢となってきます。サービス自体はAWSなどの上で構築し、それをSalesforceにつなぐ。Salesforceで構築した業務アプリケーションをサービスシステム全体の中心に据えると、会社の運営まで楽になると思います。

テラスカイ社のWebサイト。同社は先日創立10周年を迎えた
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次の大きな市場はクラウドERP領域

――SAPといえば、御社は先月に「SAPソフトウェア基盤のクラウドインテグレーションを専業とする新会社BeeX(ビーエックス)を設立」という発表をされました。BeeX社設立の意図は?

今岡:現在、日本国内にはSAPユーザーが2,000社ぐらいあって、ここ5年ぐらいに半分の約1,000社が何らかのプラットフォームの移行をするであろうと予想されています。移行先はオンプレなのかクラウドなのかはわかりませんが。さらに、1,000社のうちの半分、500社くらいがクラウドに行くんじゃないかと見込まれています。その500社に、AWSやAzureへのマイグレーションサービスの提供を考えています。そこは弊社がこれまでビジネスをしてきたアプリ領域ではなく、純粋にインフラ領域。そこの専門家が集まったのがBeeXです。

 ここで重要なのが、SAPをクラウドへ移したのに、その周辺システムをオンプレで動かすのはあり得ないという点です。つまりその後には、周辺システムをクラウドで構築する案件が大量に生まれる可能性が高い。それどころか、機能の一部をSalesforceにリプレースしたいという話も出てくるかもしれない。そこをきちんとまずコンサルティングしていきます。

 クラウドに挙げたシステムとその他のシステムとの連携も多発するでしょう。そこを弊社のクラウドデータ連係基盤「SkyOnDemand」で支援したい。MSP(Management Service Provider)事業も子会社のSky365でやってるので、クラウドに上がったSAPの監視ビジネスもできる。

――SAPの案件では大手のシステムインテグレータやコンサルティング会社が入りますよね。そうしたところが御社のクライアントになるのでしょうか。

今岡:ええ。そうした企業が業務アプリケーションやアドオンの開発、コンサルティングを行うでしょう。しかし、クラウド領域のスペシャリストって、そうした会社にあまりいないと聞いています。そこを担ってあげるのが我々のビジネスです。

――クラウドに行くと目される500社だけでも相当なお金が動きますね。

今岡:だから、ビジネスになります。周辺システムがSalesforceに行く可能性もあると言いましたが、そうなればテラスカイがコンサルティングをする番です。

「エンドユーザーに役立つアプリケーションを直接声を聞いて作りたい」という開発者としての想いは同じ
「エンドユーザーに役立つアプリケーションを直接声を聞いて作りたい」という開発者としての想いは同じ

エンドユーザーの中からノウハウが広まることに期待

――讃岐さんはSalesforceで今後やってみたいことは何かありますか?

讃岐:最近は開発チームのサポート役をやっているので、Salesforceの新しいコンポーネントフレームワークであるLightningなどにエンジニアがスムーズに移行する支援を行いたいです。Lightningは従来のVisualforceとは考え方から異なるので、その橋渡しですね。そうしてチームとしての生産性が高めたいなと。

――今岡さんはどんなことを。

今岡:Salesforceの使われ方そのものを、もっと周知していきたいっていう気持ちがずっとあります。特にコミュニティなどを通じて、エンドユーザーの中から使い方のノウハウが広まっていってほしいなと思います。実際広がってはいるんですけど、もっとですね。

 そういった中で、セールスフォース・ドットコムには制限を緩めてほしいですね。現在のコミュニティユーザーライセンスでは、カスタムオブジェクトが10個までしか使えないんですよ。でも、ちょっとした規模のアプリケーションを作ろうと思ったら、10個ではとてもじゃないけど足りません。もちろん追加費用で増やすことはできますが、そういう制限をもうちょっと緩くしてほしいなというのが希望です。

――なるほど。開発者もエンドユーザーも広くSalesforceを使って業務を効率化できるようになる、それがその第一歩ですね。ありがとうございました。

昨年4月に東京証券取引所マザーズ市場への上場を果たしたテラスカイ。クラウドの普及拡大とともにさらなる成長を目指す
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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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