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【夏サミ2017】セッションレポート

コミュニティや勉強会は「社内外の開発者にとっての学びの場」として、無理のない運営と周囲の理解で息の長い取り組みが大切【夏サミ2017】

【C-1】エンジニアコミュニティを推進する企業文化 ~楽天での5年間のコミュニティ活動・社内勉強会からみえてきたこと~

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 楽天株式会社にてアジャイルコーチとして活躍する川口恭伸氏は、自分一人が開発エンジニアという立場に置かれていたことをきっかけに、社内外のコミュニティや勉強会の必要性に着目するようになった。そして、他のスタッフとの情報共有のために立ち上げたWikiが成功を収めたのを機に、外部コミュニティとの交流などへも活動を広げ、現在は複数のカンファレンスを手がけるにいたっている。とはいえ、そうした取り組みを自分たちで立ち上げ、継続的に運営していくのは多くのエネルギーがいる。そのためのコツとは何か? 経験をもとに川口氏が語った。

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チームの情報共有をきっかけに勉強会やカンファレンスに開眼

楽天株式会社 新サービス開発カンパニー インキュベーションオフィス 川口恭伸氏
楽天株式会社 新サービス開発カンパニー インキュベーションオフィス 川口恭伸氏

 川口氏が社内での勉強会やコミュニティ活動に注目したきっかけは「ぼっちエンジニア=エンジニアの孤独」だった。当時在籍していた会社ではデータ収集・分析部門のエンジニアとして活動していたが、周囲は数理統計や経済の専門家ばかりで、プログラミングの知識を持つ人はほとんどいなかった。

 「ソースコードを書いているのは自分だけで、ちょっと孤独感を感じていた。どうすれば他の人たちにもテクニカルな部分を共有してもらえるかと考え、Wikiを使ってシステムを立ち上げたところ、情報共有に向いていると認められて社内で大流行した」

 これを機に、チームでの情報共有の可能性に着目した川口氏は、社外の人々に呼びかけ、アジャイルソフトウェア開発手法であるスクラムの勉強会を立ち上げた。そして、外部のコミュニティとの交流にも力を入れるようになる。

 そうした中、スクラム開発者の国際組織から委託を受けて2011年から始めたカンファレンス「Regional SCRUM Gathering Tokyo」は、約300名がコンスタントに参加する有償カンファレンスとして、年1回の開催が定着。次回も2018年1月の開催に向けて、着々と準備が進んでいるという。

定番イベントとして7回目の開催となるRegional SCRUM Gathering Tokyo
定番イベントとして7回目の開催となるRegional SCRUM Gathering Tokyo

まずは社外での活動を盛り上げ、社内勉強会立ち上げの追い風に

 2012年4月に楽天に入社した川口氏は、再び社内勉強会の盛り上げに取り組むことになる。

 「私の経歴を見て、アジャイルに詳しい人間が来るらしいということで、社内のエンジニアからは期待を持たれていた。幸い、楽天にはすでにアジャイルを実施しているチームや勉強会が複数あったので、それらをどう増やすかといった手伝いから加わっていった」

 また、楽天では以前から「Rakuten Technology Conference」という無償の技術カンファレンスを開催しており、川口氏が運営方法の検討・改善に携わるうち、参加者は1000人を超えるようになった。これを見て、いよいよ次は社内での勉強会を立ち上げる番だと考えた。

  「何もないところから社内勉強会の実施を呼びかけても、社員は注目してくれない。また会社も、直接業務に貢献しない活動を積極的に認めてくれる期待は薄い。そこでまず、社外での活動を盛り上げれば、おのずと社内の人々も『世の中ではアジャイルが注目されている』と感じて勉強会の必要性に気付くだろうといった、自分なりの“戦略”があった」

今年も10月28日の開催に向けて準備が進むRakuten Technology Conference
今年も10月28日の開催に向けて準備が進むRakuten Technology Conference

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この記事の著者

工藤 淳(オフィスローグ)(クドウ アツシ)

出版社や制作会社勤務の後、2003年にオフィスローグとして独立。もともと文系ながら、なぜか現在はICTビジネスライター/編集者として営業中。 得意分野はエンタープライズ系ソリューションの導入事例からタイアップなど広告系、書籍まで幅広く。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/10388 2017/09/04 14:00

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