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【夏サミ2017】セッションレポート

コミュニティや勉強会は「社内外の開発者にとっての学びの場」として、無理のない運営と周囲の理解で息の長い取り組みが大切【夏サミ2017】

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社内勉強会は上司や関係部署との良い関係作りが成功のコツ

 だが、必要性や意義は十分に理解していても、カンファレンスや社内勉強会を自分たちで運営することには多くのエネルギーが必要となる。

 「モチベーションの維持も大変だし、会場確保や集客などの苦労も多い。とりわけ社内で外部の人も参加する勉強会を運営していくのは、そんなに簡単なことではない」

 川口氏はこのように語り、「そうした勉強会を成功させ、なおかつ継続的に開催していく上で重要な5つのポイント」を紹介した。

  1. 上司との関係をうまく保つ。最悪でも停戦状態にする。
  2. 社内の教育担当や研修担当の人を巻き込む。予算は出なくてもよい。
  3. 社内の設備担当の人と良好な関係を保ち、迷惑をかけない。
  4. 人集めの手段を確立する。(SNS が普及している会社は有利)
  5. スタッフになってくれる社員を徐々に説得・勧誘していく。

 そして、具体的な例を挙げて次のように続ける。

 「新しい上司が異動してきた場合に、本来の業務ではないことをやっているし、意味もよくわからないと言われたとする。その場合むやみに反論したりせず、『迷惑はかけないからこのままやらせてもらえれば大丈夫ですよ』と対応し、“停戦状態=むだな衝突を起こさない” ことが非常に大事だ」

 さらに社内の教育担当者には、ボランティア活動であることと、その意義を理解してもらうことが必要だ。予算の話などは持ち出しにくい。たとえ教育活動であっても、社員の自主的な活動に経費を使うことには、疑問をかけられがちだからだ。

 「最初から予算がほしいなどと言うと、『好きでやっていることに会社の費用を使うのは、いかがなものか』となりかねない。そこで、『まだ経験の浅い若手への教育投資も大事だが、一方では将来イノベーションを生み出すトップレベルの人材をどう育成するかを考えなくてはいけない。そのためには外部の専門家の話を聞く場も必要であり、自分がボランティアとして手伝うので活動を認めてほしい』といったロジックで理解を求めている」

全力投球して終わりでなく毎年開催していける運営体制を作る

 続いて川口氏は、カンファレンスを運営する上で重要なポイントにも触れた。最も重要なのは「スタッフが燃え尽きないカンファレンス」であることだという。

 「とかくカンファレンスというと、“お祭りプロジェクト”的に全力投球して燃え尽きてしまうケースが少なくない。だがあくまで学びの場として考えた場合、定期的に継続して開催できることが求められる。そのためにもプロジェクト管理的な視点を持ち、なおかつ参加するスタッフ皆が楽しくやれることが不可欠の条件だ」

  1. とりあえず動くものを作り、一つずつ変えて試しながら、いわゆるPDCAサイクルを回して改善していく。
  2. 機能面なども最低限のラインを決め、それ以外は思い切って削る。
  3. 月単位のマイルストーンを決める。スタッフが集まる日を決め、その日の内に作業を終わらせる。そのためにも仕事を1人に集中させない。
  4. 何名以上が賛成したら議決とするか、意思決定のルールを決めておく。

 この他にも、「会場を決めたら同じ場所で何度か開催して、ノウハウを蓄積する。これによって運営が安定してくる」「たとえ面白そうでも、スタッフの負担が過剰になるような難しいことは、きっぱり諦める」「チームで取り組むことで、長く続けていける体制を確立する」といった、「スタッフが燃え尽きないカンファレンスを実現するためのコツ」が語られた。

“すごい”を“ふつう”に変えるために仲間と共に学び進んでいこう

 セッションの最後で川口氏は、改めてこうした社内での自主的な活動を「なぜ続ける必要があるのか?」ということについて触れ、その核心にあるのは「“すごい”を“ふつう”に変えたいといった想い」だと説明した。新しい技術開発やビジネスの地平を切り開くためには、「すごい」と感じるテクノロジーやコンセプトを積極的に学び、それらを「ふつう」のことと思えるくらいにする必要があるからだ。

 「すごいことをやろうと決めた自分自身は、そのモチベーションに支えられながら努力して1年で変われるかもしれないが、他の人は3年かかるかもしれない。さらに社会全体が変化するには5年を要するだろう。私が『スクラムを“ふつう”にしたい』と考えて続けてきたRegional SCRUM Gathering Tokyoは、7年続けてかなり“ふつう”になってきたと自負している。Rakuten Technology Conferenceも狙いは同じだ」

根気よく、諦めず、無理をせず続けることが変化につながる
根気よく、諦めず、無理をせず続けることが変化につながる

 破壊的イノベーションを乗り越え、企業が生き残るための新しい技術や製品、市場を生み出す役割がこれからの開発者には期待されている。

 「自らが正しいと信じるものを自ら検証しながら、仲間を巻き込み、失敗から学び、組織に徐々に適応させるために必要な説明や説得を、これからも共に続けて行こう」

 川口氏はこのように力強く呼びかけ、セッションを終了した。

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この記事の著者

工藤 淳(オフィスローグ)(クドウ アツシ)

出版社や制作会社勤務の後、2003年にオフィスローグとして独立。もともと文系ながら、なぜか現在はICTビジネスライター/編集者として営業中。 得意分野はエンタープライズ系ソリューションの導入事例からタイアップなど広告系、書籍まで幅広く。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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