いよいよ「PyCon JP 2018」の開催まで1か月を切りました。今回、PyCon JP 2018カンファレンスのスピーカー5名にお集まりいただき、日々の勉強のことや、コミュニティ活動についてお話しいただきました。本番より一足早く盛り上がった、その雰囲気を感じていただければと思います。
はじめに
PyCon JP 2018のテーマは「ひろがるPython」。今回の座談会では、PyCon JP初登壇のスピーカー、ベテランスピーカーをお招きし、「わたしのPythonのひろげかた」と題して、日々どのように知識や人との関わりをひろげているのか、そしてPythonがこれからどのようにひろがっていくのかといったテーマでお話しいただきました。
記事の構成
第1部では、「わたしの知識のひろげ方」をテーマに、Pythonを始めたきっかけや、日々どのように勉強をしているか、どうやって情報収集をしているかを取り上げます。
第2部は、「コミュニティへのひろげ方」ということでコミュニティ活動について。コミュニティの主催者側、参加者側双方の視点からコミュニティ活動についてお話しいただきました。
第3部では、「これからPythonでやっていきたいこと」として、Pythonの未来についても話がおよびました。
PyCon JP 2018座談会の概要
- 日時:2018年8月1日 19:30~21:30
- 場所:翔泳社 会議室
- 参加者:大元 司(おおもと・つかさ)、古木 友子(ふるき・ともこ)、増田 泰(ますだ・やすし)、鈴木 駿(すずき・はやお)、中川 伸一(なかがわ・しんいち)
- 司会:大堀 優(おおほり・ゆう)
- 執筆:二宮 健(にのみや・たけし)、花井 宏行(はない・ひろゆき)
わたしの知識のひろげ方
――早速ですが知識をひろげるために心がけていること、普段していることについてお話しいただきたいと思います。皆さん普段どのようにして、インプットされているのでしょうか?
増田:いきなり難しい質問ですね(笑)。Pythonを使う中で、標準ドキュメントの翻訳にのめりこんだことが、知識をひろげることにつながりました。Pythonのライブラリは扱う範囲が広くて、各ライブラリが使われる分野でどういう知識が必要とされるのか、翻訳を通じて学ぶうちに知識がひろがったと感じます。最近ではRobot Frameworkのような受け入れテストや、SQLAlchemyのようなDBライブラリの知識がひろがりました。
中川:私は普段から呼吸するようにやっています。繁忙期はペースを乱すこともありますが、平日夜は晩酌をしながら読書や情報収集、週末は手を動かして深掘りする、というように勉強をルーチン化しています。 また、スクラム開発で言うところのスプリントを立てて、もくもく会のようなコミュニティ活動と、自分一人で作業する時間を交互にやりくりしています。このサイクルを始めてもう5年が経ちますが、今後も続けていこうと思っています。
大元:私も本を読むことでインプットしてますね。ジャンルを問わず毎月1冊読むことを目標にしています。最近読んで面白かったのは、Python関連だと『Fluent Python』、関係ないのだと『サピエンス全史』です。裁量のあるポジションに就いているので、最新技術のキャッチアップは平日の午前中に行うなど業務中に勉強しています。
PyCon JP 2016, 2017でLT登壇。採択トークは「SymPyによる数式処理」
鈴木:本を読む話が続きますが、私も同じく本から情報を得ています。Python入門当初は日本語の情報が少なかったため、何回か洋書を読もうと試みたのですが、辛くて読みきれませんでした。けれども『Effective Python』は唯一ハマって、「翻訳して本を出したい」と思いながら翻訳しつつ、感想をブログに投稿していました。すると、それが翻訳本の技術監修の方の目に留まり、レビュアーとして査読に参加することになりました。その後は査読の機会が増え、今はそれを通じて勉強しています。あまり一般的ではないかもしれませんね(笑)。
古木:私は2015年から本やPyCon JPの動画を見てPythonを勉強し始め、昨年から業務で使うようになりました。本などで学ぶよりも、実際に手を動かしてアウトプットすることを重視しています。
例えば昨年のPyCon JPのテーマが「Output and Follow」だったこともあり、PyCon JP後に「トークで紹介された技術を使って、週に1個何か作る」ことを目標に、もくもく会や PyLadies Tokyoのイベントなどで発表していました。
元々Pythonを始めたのは、「部屋の散らかり具合を判定するアプリを作りたい」と思いついたのがきっかけのひとつでした。課金や時間経過でポイントが貯まるゲームアプリを見たときに、「”部屋を片付ける”などの生産的な行動でポイントが貯まる方が絶対健康的だろう」と思い至りました。
中川:「部屋を片付ける」というイシューから始まる、イシュードリブンですね。
――勉強の中で、最新情報のキャッチアップについて意識されていることはありますか?
増田:関西にいると、勉強会やPythonコミュニティと交わる機会もあまりないので、そもそも本当にキャッチアップできているかは心配になります。
時間があるときはTwitterを見て情報を仕入れています。先端IT技術を扱うPublickeyや、Laughing Squidのようなくだけたテックネタも発信するアカウントをフォローして、面白そうな記事をピックアップして読んでいます。
中川:私は特定のメディアを読むというより、有益な情報を発信するテッキーをフォローして、読書に疲れた際に特定トピックに関するリストを流し読みしています。ツイートは玉石混淆なので、どうフィルタをかけるのかが重要だと思っています。
その他、勉強会や交流会で他の人の発表を聞いたときは、参加者の感想ツイートのまとめやTogetterを見返しています。
大元:私もお二人と同じように、SNSで情報発信する人をフォローして追いかけています。また、個人の取り組みを発表する場が会社で毎週あって、そこで最新の情報や海外の情報を入手しています。
増田:社内のSlackに情報共有のためのチャンネルがあるのですが、有志がドヤ顔でポストする「こんな記事を俺は読んだぞ」っていうのは結構有益ですね。
鈴木:何をもってキャッチアップというんだろうって問題もあると思います。SNS以外だと、出版社から定期的に送られるニュースレターは見出しを眺めるだけでも面白いです。他にも、出版社の新しい本が無いかは見ています。面白そうな本があれば買ってみたり、目次だけ見たり、海外の出版社の本もチェックしています。
閉じたコミュニティだとSlackを活用しています。Python mini Hack-a-thonの#randomチャンネルや、社内の分報チャンネル、情報を集めるチャンネルにそれぞれが興味のあることを貼ってくれるので、それらをきっかけに知ることがあります。
古木:私はあまりSNSを見ていなくて、イベントの帰りだけに見るなど、時間を制限しています。はてブの「テクノロジー」カテゴリで星がたくさんついているものも見ていますね。
他には、PyVideoという、海外のPyConのビデオが掲載されているサイトのチュートリアルを見ていた時期もあります。トークの質疑応答だと資料がなくて早口でやり取りされることが多く、聞き取りに苦労することもあるんですが、チュートリアルのようなものだとコードと一緒に説明されるので、リスニングが得意でなくても役に立ちました。
――大元さんは研究開発職ということですが、arXiv(アーカイヴ:査読前のものを含む様々な論文を共有するサイト)の情報は追っていますか?
大元:一時期はarXivのRSSを登録して毎日見ていましたが、取捨選択が難しく、しんどいので諦めました。研究者という立場ではないので、声の大きい人が発信したものだけでも押さえようというスタンスに切り替えました。枯れた技術をまとめてキャッチアップするときに博士論文などのサーベイ論文にあたることはありますが、最新技術の場合は効率が悪いので、熱心にはしてません。
- 修正履歴
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- 2018/09/03 15:48 誤字を修正しました:PyCon初登壇⇒PyCon JP初登壇
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- この記事の著者
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大堀 優(オオホリ ユウ)
新日鉄住金ソリューションズ株式会社,技術本部,システム研究開発センター,データ分析・基盤研究部,データ分析グループ,研究員.現在は,異常検知をはじめとした機械学習及びデータマイニングの研究開発に従事
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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二宮 健(ニノミヤ タケシ)
株式会社LIFULL所属。普段は社内向けの広告運用自動化ツールやデータ分析基盤を作っている。最近読んで面白かった本は『数学教室 πの焼き方: 日常生活の数学的思考』」
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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花井 宏行(ハナイ ヒロユキ)
スタディプラス株式会社所属。PyCon JP 2018事務局スタッフ。Python未経験のままスタッフに参加。スタッフ参加がきっかけでPythonに興味を持ち、日々勉強中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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