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「PyCon JP 2018 ひろがるPython」登壇者座談会 ~わたしのPythonのひろげかた~

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2018/09/01 14:00

目次

これからPythonで取り組みたいこと

――最後の質問です。「これからPythonで取り組みたいこと」があれば教えてください。

中川:自分自身がコミュニティに参加することやアウトプットを出すことによって、転職のきっかけになったり、元々やりたかった野球の仕事に就くきっかけにできたので、コミュニティの主催者としていろいろやっていくってことは今後もやりたいと思っています。今の自分があるのは、コミュニティ活動とか、仕事も含めた自分自身のエンジニアリング活動のアウトプットの賜物だと思っています。成功体験やニュアンスを、コミュニティで伝えると一番いいかなと思っているので、そこは継続してやっていきたいです。

 最近は自分の体の脈拍とか体重とか活動量とかを、アプリを使って取っているので、そのデータと、スマートハウスとかの掛け算で、何か面白いことができないかなと思っています。この一、二年くらいでやりたいテーマがあって、それをどうやってやれるかなっていうのと、PyCon JP 2019でどういうCfPが出せるかなって考えてます。2018が始まる前なので気が早いですが(笑)。

中川 伸一:趣味が高じて野球のデータ分析を仕事に。PyConJPへの登壇は今回が5回目。採択トークは「Pythonistaの選球眼(せんきゅうがん) - エンジニアリングと野球の目利きになる技術」
中川 伸一:趣味が高じて野球のデータ分析を仕事に。PyConJPへの登壇は今回が5回目。
採択トークは「Pythonistaの選球眼(せんきゅうがん) - エンジニアリングと野球の目利きになる技術」

――ヘルスデータや家のデータは、一番身近で使いやすいし、便利になってほしいことですよね。

中川:それもありますし、スマートハウスは僕の中で手段でしかなくて、実はここ数日納期前のプロジェクトでデスマーチ状態なんですけど、そういうときって血圧が上がります。そういうのを把握することによって、一日でも長く健康にプログラミングをしつつ、美味しいものを食べたいです(笑)。

増田:今は、Python 2で書き継がれてきたコードをPython 3に書き直す仕事に取り組んでいるんですが、その後は、今までのコードをただ3に移すだけじゃなくて、2で書き始めた頃には自分たちで書くしかなかった機能を、OSSの成熟したライブラリに置き換えていきたいっていうのがあるんですよね。そうやって、企業が長年かけて自社で作ってきたソフトウェアを、ただ延命したりパッケージ製品に乗り換えるんじゃなくて、いかに洗練していくか、それを仕組みとしてどう維持していくか、ということに興味があります。

 あと、システムの中で物流関連の部分はやっぱりパッケージとの連携が多いのですが、その最適化のための計測や分析といった領域に自分たちのノウハウを積極的に活かしていきたいです。

 Pythonは3まで来て、次は何を選択すべきかも考える時期に入ってきていると思います。4かもしれないし、Go言語かもしれない。

――2から3への移行はどれくらいの期間を見込んでいますか?

増田:始めたばかりです。Python 2は2020年にディスコン(ティニュード)ですよね。2022年までには終わらせないといけないと思っています。

  2でちゃんと動いてるものを3に移行しても、ビジネス的なインパクトってあまり強くないんですよ。だからこういうのって長年置き去りにされていくんですよね。Windows XPをずっと使い続けるのと似ていると思います。決めの問題もあるのですが、決めたら、いかに早く移行できるか。2のエンジニアと3のエンジニアを同時に抱えるのも大変ですし、コードベースも両方のメンテナンスをしないといけないのも辛いので。そういうところをいかに短縮するかがチャレンジになるかなと思っています。

 今回はファーストトライアルというタイトルを付けたのですが、進捗レポートなのかまとめのレポートなのか、そういうのができたらいいなと思っています。そして、上手くいってもいかなくても、何年かしたら、その顛末をお話できるかなと思います。

古木:個人的にはOSSに貢献していきたいです。そのためにも、バグを見つけた時にイシューを立てたりプルリクを出したり、ライブラリの設計意図や開発状況をキャッチアップするのに困らない程度には、英語でのコミュニケーションがもっとスムーズにできるようになりたいです。

 仕事の面だと、ライブラリやPython自体が今後どういう方向性に進んでいくのかというのを踏まえた上で技術選定の判断ができるようになりたいなと思っています。

 そもそも「データ活用をするならPythonを使いたい」と言い出したのが私だったので、Python未経験の他のエンジニアにどう勉強してもらうかというのも課題です。

鈴木:できるかどうかは別ですが、私もOSSへ貢献したいとおもっています。特に元々数学がやりたくてPythonを始めたので、今回PyCon JPで発表するSymPyというライブラリの中がどうなっているのかちゃんと知って、貢献できたらいいなと思います。

大元:機械学習をきっかけにPythonに入門する人が増えているので、いずれエンジニアなら誰でもサーバーをたてられてWebサービスを作れて、機械学習もできるみたいな、基本的なスキルの一個になる時代が来ると思うんです。そうなったときのPythonの位置づけみたいなのを見てからどうするか考えたいです。なので、Pythonがどういう方向に行くのかは注視しています。

 例えばPython 3.7でData Classが実装されたじゃないですか。Python自体がそういう進化を遂げていくのか気になっています。

 Guido van Rossum(グイド・ヴァンロッサム:Pythonの発案者)が引退しちゃったっていうのも注目しています。

増田:コミュニティや、コアのディベロッパーにとってはそんなに衝撃ではないんじゃないですか?

 僕はPEPがPythonの文化を象徴づけていると思っていて、「何か仕様を決めたいです」「議論をします」「議論をした結果こうだったという結論を残します」「過去はこのようにみんなは考えていた、状況が変わったらまた考えるかもしれない」って明確にルールとして定義されていて、それが残り続けている限りは大丈夫だと思います。Guido自身も、BDFL(Benevolent Dictator for Life:優しい終身の独裁者。OSSの創設者に与えられる呼称)を引退するにあたって「日々開発の場で行われている判断には心配していない。稀に自分の意見を求められることはあるが、たいてい大したものではない」と発言しています。

鈴木:RubyやPerlのような他のコミュニティベースの言語だとどんな風に決めているんですかね? GoやRustはコミュニティじゃなくて、企業ですよね?

増田:コミュニティの中心がどこにあるか分からない言語は多いです。Rubyだと、まつもとさんっていう風に思いたくもなるんだけれども。

 Goなどは企業が意思決定している感じではなく、最前線にいるコアのコミッターエンジニアが相談しながら決めているんだと思います。

 プログラミング言語が出てから数十年経ちますが、どの言語も過渡期を迎えていると思います。C言語なんかはとっくの昔に初期のエンジニアが第一線からは退いているじゃないですか。Kotlinのような言語も、いずれは設計者が居なくなって、その時にどういう進化を遂げるのかという議論が生まれると思います。きっと今は手探りの時期で、その時までにはコミュニティでやっていく成功事例が出ていて、みんながそれを真似るようになるんじゃないかと感じています。一種の社会科学ですよね。

――Pythonの未来について話が尽きませんが、お時間がきてしまいました。皆様ありがとうございました。当日の発表も楽しみにしています!



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修正履歴

  • 2018/09/03 15:48 誤字を修正しました:PyCon初登壇⇒PyCon JP初登壇

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連載:「PyCon JP 2018」レポート

著者プロフィール

  • 大堀 優(オオホリ ユウ)

    新日鉄住金ソリューションズ株式会社,技術本部,システム研究開発センター,データ分析・基盤研究部,データ分析グループ,研究員.現在は,異常検知をはじめとした機械学習及びデータマイニングの研究開発に従事

  • 二宮 健(ニノミヤ タケシ)

    株式会社LIFULL所属。普段は社内向けの広告運用自動化ツールやデータ分析基盤を作っている。最近読んで面白かった本は『数学教室 πの焼き方: 日常生活の数学的思考』」

  • 花井 宏行(ハナイ ヒロユキ)

    スタディプラス株式会社所属。PyCon JP 2018事務局スタッフ。Python未経験のままスタッフに参加。スタッフ参加がきっかけでPythonに興味を持ち、日々勉強中。

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