「優れたフォント」が「最新のMR技術」と融合する
神戸デジタル・ラボは、「MR領域の事業化」を見据え、主にマイクロソフトのHoloLensを用いた研究・開発を続けている企業だ。
HoloLensを用いた開発において、同社はある課題を感じていた。これまでのデジタル端末と違い「文字が見づらい(透過型ディスプレイのため、起動場所によって背景の色や形状が変わる)」「視野角が狭い」といったものだ。その課題を解決するため、モリサワとの共同研究をスタートした。
モリサワと神戸デジタル・ラボが行っている研究テーマは主に2つ。1つ目は、どうすれば現実世界とデジタル世界が融合した空間の中で文字を見やすくできるか。2つ目は、どんなフォントを出すことでユーザー体験を向上させられるか、である。その研究は、いくつかのサービスとして結実している。
「例えば、昨年に台湾で開催されたComputexというイベントで、私たちは『Display Assistant』というサービスを出展しました。これは、HoloLensを着けている人が自転車を見ると、自転車の説明が空間上に浮かび上がるというものです。
台湾で開催されたイベントのため、日本語・中国語・英語の3か国語に対応しました。もし販売員の方が複数の言語を話せなくても、お客さまにDisplay Assistantを使っていただくだけで、商品のことを深く理解できるソリューションとなっています」(神戸デジタル・ラボ 堀尾氏)
モリサワと神戸デジタル・ラボは、広告デザイン業務にMR技術を導入できる「Creative Design X」というサービスの研究も進めている。
これは、ある場所と展示物の画像をMR技術によって融合し、疑似的にその場所へ設置したかのような視覚状態を作り出せるサービスである。これにより、現地と展示物との相性を事前に確認できるため、修正にかかる手戻りを大幅に軽減できる。
また、TypeSquareを導入することで、HoloLensを用いたサービスの開発効率が向上することも大きな利点だという。
「従来、HoloLensを用いたサービスで文字を表示する場合には、IllustratorやPhotoshopでフォントを指定した文章データを画像としてアウトプットし、Unityにインポートするケースが多かったのです。
TypeSquareを導入することで、APIを叩くだけでフォント情報を適応できるため、文章データの画像化が不要となります。サブセット機能を使うことで必要なフォントデータのみを取得可能ですから、非常に軽量なのも便利です」(神戸デジタル・ラボ 堀尾氏)
さらには、「TypeSquareを導入したことで、サービスのユーザー体験が圧倒的に向上しました」と堀尾氏は語る。
「モリサワさんのフォントは美しいですから、お客さまの反応が全く違いました。HoloLensを装着した際にすごく感動される方が多いのです。今後、MR技術のニーズはさらに高くなります。そんな現代だからこそ、エンジニアはフォントにこだわる意義があると考えています」(神戸デジタル・ラボ 堀尾氏)
「今回はHoloLensを活用した事例を紹介しました。私たちは、世の中にあるさまざまな課題を、フォントの力によって解決していきたいと思っています。神戸デジタル・ラボさんをはじめ、多くの企業さまと、こういった取り組みを増やしていきたいです」(モリサワ 相川氏)
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株式会社モリサワ