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開発現場のストーリーから学んで実践! 最初で最後のカイゼン・ジャーニー

「プランニングポーカー」で見積もりをカイゼンする〜チームで仕事のボリュームを見立てる

開発現場のストーリーから学んで実践! 最初で最後のカイゼン・ジャーニー 第4回


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 この連載では、開発現場で実践できるカイゼンのやり方と考え方について、お伝えしていきます。下敷きになっているのは、「カイゼン・ジャーニー」という書籍です。「カイゼン・ジャーニー」も、現場のカイゼンがテーマになっています。この新たに始める連載は、内容としては書籍を補完するもので、チームが現場でこのWebページを開きながら、実際にふりかえりをしたり、カンバン作りをしたりできるように作っています。本を開きながらより、Webページをモニタに映す方が、ワークショップもやりやすいですよね :) また、読者の皆さんが実際の状況を重ね合わせられるよう最初にストーリーがあり、その後解説が続く、といった構成にしています。ストーリーでは、カイゼンを実施するにあたってどんな背景や課題を想定しているかを描いています。よく知らない手法については、ストーリーに目を通すようにしてください。

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  このお話の舞台は、飲食店の予約サービスを提供するIT企業のプロジェクトチーム。ツワモノぞろいのチームに参加した新人デザイナーのちひろは、変わり者のメンバーたちに圧倒されながらも日々奮闘しています。第4回となる今回のテーマは「仕事量の見積もり」です。

登場人物

和田塚ちひろ(25)この物語の主人公。新卒入社3年目のデザイナー。わけあって変わり者だらけのプロジェクトチームに参加することに。自分に自信がなく、人に振り回されがち。

和田塚(わだづか)ちひろ

この物語の主人公。新卒入社3年目のデザイナー。わけあって変わり者だらけの開発チームに参加することに。自分に自信がなく、周りに振り回されがち。

御涼()プログラマー。物静かだが、今後もちひろをよく見て助けてくれるお姉さん。

御涼(ごりょう)

物静かなプログラマー。チームではいろんなことに気を回すお母さんのような存在。今後もちひろをよく見て助けてくれる。

鎌倉()社内でも有名な凄腕のプレイングマネージャー。冷静で、リアリストの独立志向。ちひろにも冷たく当たるが…

鎌倉

業界でも有名な凄腕のプレイングマネージャー。冷静で、リアリストの独立志向。ちひろにも冷たく当たるが…

藤沢()頭の回転が早い、このチームのリードプログラマー。鎌倉の意向をうまく汲み取る。

藤沢

チームのリードプログラマー。頭の回転が速く、リーダーの意向を上手くくみ取って、チームのファシリテートにもつとめる。

境川(?)ほぼしゃべらない。実はチーム随一の天才プログラマー。自分の中で妄想を育てていて、ときおり滲み出させては周りを慌てさせる。

境川(さかいがわ)

彼の声を聞いた人は数少ない。実は社内随一の凄腕プログラマー。自分の中で妄想を育てていて、ときおりにじみ出させては周りをあわてさせる。

片瀬()インフラエンジニア。ちひろのOJTを担当していた。

片瀬

インフラエンジニア(元々はサーバーサイドのプログラマー)。他人への関心が薄いケセラセラ。ちひろのOJTを担当していた。

あふれているタスクはどれくらい?

「(…最近の鎌倉さん、圧がすごくないですか?)」

 私はこそっと、片瀬さんにSlackでdirect message(DM)を飛ばした。

 目の前では、スプリントプランニングが展開されている。いつものように、ファシリテートは藤沢さん、プロダクトオーナーは鎌倉さんだ。鎌倉さんが入るスプリントプランニングはそもそも緊張感があって、「えん魔のプランニングミーティング」と呼ばれ恐れられている(主に私が一人でそう思っている)。

 ただ、ここ2回のスプリントプランニングはさらにぴりぴりとしていて、とても口を挟む雰囲気ではなくなっていた。だから、DMを使った次第だ。

「(そうだね。たぶんデリゲーションポーカーを取り入れたあたりからだね)」

 片瀬さんもこの異様さに気づいているようだ。とにかく、鎌倉さんのアサインが強引で、次から次へとタスクが割り当てられていく。目の前でまた1つのタスクが、御涼さんにアサインされる。

「(あ、また、御涼さんだ。)」

 チーム全体でこなすタスク量も増えているが、特に御涼さんへのアサインが明らかに多かった。

「(これは……ぼくらがデリゲーションポーカーなんか勝手にやったから、鎌倉さん怒っているのかな)」

 デリゲーションポーカーを取り入れたのは御涼さんだ。だから、その面当てに御涼さんが標的になっているのだろうと片瀬さんは言いたいようだった。でも、私はその見方に違和感があった。鎌倉さんが、そんなつまらないことをするような人にはとても思えないからだ。でも、目の前で起きていることは……。

「……あの、鎌倉さん」

 さすがに絞り出すように声をあげた御涼さんを、鎌倉さんは一べつしただけだった。藤沢さんが戸惑いながらも、鎌倉さんに従い、進行を続ける。御涼さんは、唇を噛み締めてうつむいた。

「ちょ、ちょっと待ってもらえますか!」

 着席しているチームの一番うしろから、勢い込んで手を挙げて、進行を止めようとした。皆、驚いたように私の方を見ている。

「和田塚さん、何よ」

 いつも口調にトゲがある藤沢さんだったが、この時はほっとしたような顔で言葉を返してきた。

「いや、無茶ですよね、このアサイン」

「何が?」

 言葉すくな……! 体が硬直しそうになるのを、なんとかこらえる。

「どう見たって、アサインするタスクが多すぎます。もうあふれてますよ!」

 特に御涼さんが、と続けるより早く、鎌倉さんが言葉を口にする。

「どれくらい?」

 え? どれくらい? 私は絶句して硬直した。

「ま、まあまあ、ここは私と藤沢のどっちかで引き受けるというのはどうでしょうか」

「そ、そうですね。まだ私は引き受けられますよ。どちらでやりましょうかね」

 ぎこちなく会話する2人を尻目に私はあることに気がついた。私たちは「多すぎる、あふれていそうだ」と何となくは感じているけども、ちっともそれを定量的には表現できていなかった。アサインされる個々人ができそうか、できなさそうか、それぞれの判断をしているだけだ。では、チームで、どのくらいのボリュームの仕事なのか見立てるためには?

「最初はグー」

 じゃんけんでどちらがやるかを決めようと、掛け声をあわせる片瀬さんと藤沢さん。仕事量の見立てを、デジションポーカーみたいにチームであわせることができないだろうか。私は、スプリントプランニングをそっちのけで、調べ始めた。

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この記事の著者

市谷 聡啓(イチタニ トシヒロ)

 ギルドワークス株式会社 代表取締役/株式会社エナジャイル 代表取締役/DevLOVEコミュニティ ファウンダー サービスや事業についてのアイデア段階の構想から、コンセプトを練り上げていく仮説検証とアジャイル開発の運営について経験が厚い。プログラマーからキャリアをスタートし、SIerでのプロジェクト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

新井 剛(アライ タケシ)

 株式会社ヴァル研究所 SoR Dept部長/株式会社エナジャイル 取締役COO/Codezine Academy Scrum Boot Camp Premiumチューター CSP(認定スクラムプロフェッショナル)/CSM(認定スクラムマスター)/CSPO(認定プロダクトオーナー) Javaコンポー...

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https://codezine.jp/article/detail/11519 2019/06/12 13:38

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