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開発現場のストーリーから学んで実践! 最初で最後のカイゼン・ジャーニー

“見えないムダ”が見えてくる~「バリューストリームマッピング」で開発プロセスをカイゼンしよう

開発現場のストーリーから学んで実践! 最初で最後のカイゼン・ジャーニー 第8回

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 この連載では、開発現場で実践できるカイゼンのやり方と考え方について、お伝えしていきます。下敷きになっているのは、「カイゼン・ジャーニー」という書籍です。「カイゼン・ジャーニー」も、現場のカイゼンがテーマになっています。この新たに始める連載は、内容としては書籍を補完するもので、チームが現場でこのWebページを開きながら、実際にふりかえりをしたり、カンバン作りをしたりできるように作っています。本を開きながらより、Webページをモニタに映す方が、ワークショップもやりやすいですよね :) また、読者の皆さんが実際の状況を重ね合わせられるよう最初にストーリーがあり、その後解説が続く、といった構成にしています。ストーリーでは、カイゼンを実施するにあたってどんな背景や課題を想定しているかを描いています。よく知らない手法については、ストーリーに目を通すようにしてください。

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 このお話の舞台は、飲食店の予約サービスを提供するIT企業のプロジェクトチーム。ツワモノぞろいのチームに参加した新人デザイナーのちひろは、変わり者のメンバーたちに圧倒されながらも日々奮闘しています。第8回となる今回のテーマは「バリューストリームマッピング」です。

登場人物

和田塚ちひろ(25)この物語の主人公。新卒入社3年目のデザイナー。わけあって変わり者だらけのプロジェクトチームに参加することに。自分に自信がなく、人に振り回されがち。

和田塚(わだづか)ちひろ

この物語の主人公。新卒入社3年目のデザイナー。わけあって変わり者だらけの開発チームに参加することに。自分に自信がなく、周りに振り回されがち。

御涼()プログラマー。物静かだが、今後もちひろをよく見て助けてくれるお姉さん。

御涼(ごりょう)

物静かなプログラマー。チームではいろんなことに気を回すお母さんのような存在。今後もちひろをよく見て助けてくれる。

鎌倉()社内でも有名な凄腕のプレイングマネージャー。冷静で、リアリストの独立志向。ちひろにも冷たく当たるが…

鎌倉

業界でも有名な凄腕のプレイングマネージャー。冷静で、リアリストの独立志向。ちひろにも冷たく当たるが…

藤沢()頭の回転が早い、このチームのリードプログラマー。鎌倉の意向をうまく汲み取る。

藤沢

チームのリードプログラマー。頭の回転が速く、リーダーの意向を上手くくみ取って、チームのファシリテートにもつとめる。

境川(?)ほぼしゃべらない。実はチーム随一の天才プログラマー。自分の中で妄想を育てていて、ときおり滲み出させては周りを慌てさせる。

境川(さかいがわ)

彼の声を聞いた人は数少ない。実は社内随一の凄腕プログラマー。自分の中で妄想を育てていて、ときおりにじみ出させては周りをあわてさせる。

片瀬()インフラエンジニア。ちひろのOJTを担当していた。

片瀬

インフラエンジニア(元々はサーバーサイドのプログラマー)。他人への関心が薄いケセラセラ。ちひろのOJTを担当していた。

停滞するプロセスの原因は?

「最近、チームのベロシティが落ちているな。何か起きてる?」

 鎌倉さんの発言に、場の緊張感が一気に高まった気がした。実は、スプリントレビューの場に鎌倉さんが参加するのはめずらしくなっていて、ただでさえ久しぶりの参加でちょっと皆緊張気味なところだったのだ。そこに思いもよらない指摘が上がって、皆の顔つきが変わることになった。

「確かに、最近デプロイできている機能が減っていますよね。それに、私スプリントで手持ち無沙汰になることもありますし」

「あ、いや、そうですね。そんな気がしますね」

 藤沢さんが余計なことをペラペラ言うなと目配せしているような気がしたが、私は気がつかないふりをした。このチームは、鎌倉さんを必要以上に恐れていると思う。だから、鎌倉さんに意見を言う人も出てこない。そもそも、プロダクトオーナー的な人がスプリントレビューに来ないってどういうことなのさ。

「手持ち無沙汰って、どういうこと?」

「うん、と、開発着手できるプロダクトバックログがちょっと足りなかったんですよね」

「なんで?」

 始まった、鎌倉さんの質問攻め。だんだんと質問は短くなっていって、最終的には「で?」の1文字にまでなる。私たちのロジックが足りないと、加速度的に質問は速く鋭くなっていく。

「ええと、この数スプリントで言うと、ドキュメントのリアルタイム同期の仕組みを作りかえようとしていて。その方式選定と設計に結構時間がかかって、しばらくの間その分のプロダクトバックログが作れていなかったからですね」

「だったら、他にやること山ほどなかった?」

 確かに、その他の技術的負債の返済とか、ユーザービリティの改善とか、やることは結構見えている。だけど、その多くがプロダクトバックログにまで落とし込めていないのだ。でも、それって、プロダクトオーナーの鎌倉さんが何もしてないから進みが遅いという要因もあると思うのだけど……。

 私の言いたげな感じが表情にまで出ていたのかもしれない。鎌倉さんがそれを察知してこちらをじっと見ていることに気がつき、あわてて私は目をそらした。

「……まだ、しっかり原因の分析ができていないですよね」

 鎌倉さんが私への質問攻めを始めないように、片瀬さんが割って入ってくれた。

「だったら?」

(「やることは決まっているだろう」ですよね……)

 皆が頭に描いたことが私も分かる。これは、あのマップを描くタイミングなのだ。これまでに既に2回ほど描いたことがある。

「さっそく始めましょう、バリューマッピングを!」

「そうだね……和田塚さん。『バリューストリームマッピング』をね!」

次のページ
解説 「バリューストリームマッピング」

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この記事の著者

市谷 聡啓(イチタニ トシヒロ)

 ギルドワークス株式会社 代表取締役/株式会社エナジャイル 代表取締役/DevLOVEコミュニティ ファウンダー サービスや事業についてのアイデア段階の構想から、コンセプトを練り上げていく仮説検証とアジャイル開発の運営について経験が厚い。プログラマーからキャリアをスタートし、SIerでのプロジェクト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

新井 剛(アライ タケシ)

 株式会社ヴァル研究所 SoR Dept部長/株式会社エナジャイル 取締役COO/Codezine Academy Scrum Boot Camp Premiumチューター CSP(認定スクラムプロフェッショナル)/CSM(認定スクラムマスター)/CSPO(認定プロダクトオーナー) Javaコンポー...

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https://codezine.jp/article/detail/11685 2019/08/28 11:00

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