ITコンサルにつきまとう「怪しいイメージ」の背景にあるもの
フューチャー株式会社は、30年前に日本で初めて「ITコンサルティングファーム」の看板を掲げて創業した企業。現在、同社には多くのITコンサルタントが所属しているが、その中にはオープンソースの世界で広く知られている人物や、競技プログラミングの普及活動を展開する人物など、社外のコミュニティで活躍している人材も多い。しかしその一方で、同社のテクノロジーイノベーショングループ DXユニット シニアアーキテクトである真野隼記氏によれば、ITコンサルタントという職業に対して偏見を抱いている人も世間には少なくないと言う。
「やたらと横文字を使い、顧客をけむに巻いて、お金をふんだくるイメージを持っている方もいまだに多いようです。特に技術者からは、ITコンサルタントは『コードが書けないから実現性のない提案ばかりする』と避けられる傾向にあります。近年では、多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むためにITの内製化を進めており、その結果将来的にはITコンサルタントが不要になるのではないかといった論調もあります」(真野氏)
こうした誤解や偏見が生まれる理由の1つとして、真野氏は「企画と開発の断絶」を挙げる。システムの企画を行う側は、複雑なビジネス課題に取り組むだけでどうしても精いっぱいになってしまい、結果的にエンジニアリングがおざなりになる傾向がある。逆に開発側も、最新の技術動向や目の前の技術課題を追うことに手一杯になってしまうと、ビジネスへの理解がなかなか進まない。
しかし真野氏は、「ビジネスとエンジニアリングが相互に信頼できる環境や体制が実現できれば、こうした断絶は埋められるはずだ」と述べる。
「アジャイル開発手法の1つであるスクラムにも見られるように、ビジネスのキーマンとエンジニアとの相互信頼を醸成できる体制やプロセスを構築するほか、エンジニアの側が意識してビジネスへの理解や興味を示すことによって、両者のギャップは十分に埋められるはずです。ITコンサルタントもそのために、ビジネス側の要求を分析し、きちんと理解した上で、自ら積極的にビジネス側に提案していく姿勢が求められます。『自分はエンジニアだから〇〇はやらない』といった壁を作ることなく、むしろ既存の壁をどんどん『越境』していく姿勢が重要なのです」(真野氏)