技術選定までの道のり、検証や調査に苦労
とはいえ、これらの技術選定は容易だったわけではない。同社にとってマイクロサービス化は初めての取り組みだったからだ。そのため、「事前に何が必要なのかを徹底的に調べました。設計のパターン、Kubernetesの実行環境がどういうものなのか、言語やフレームワーク、開発フローなど社内関係者で調査、比較検討を行いました」(杉能氏)
例えば、プログラム言語であれば必要な機能はあるか、習得しやすいか、ライブラリは充実しやすいかなどを考え、設計のパターンについては、適切な粒度で負荷分散ができるか、いろいろなカスタマイズに対応できるか、障害時に全体のサービスへの影響を抑えられるかを検討した。
技術検証については、TypeScriptでサンプルコードを作成し言語の記述力、動きを確かめるなどマイクロサービスを構成するコンテナ群をひな形レベルで作成。バックエンドのデータベースやサービスバスなどと連携して負荷テストを実施し、どのくらいのスループットが期待できるのかを検証した。
「とにかく技術選定までの検証や調査が大変でしたね。というのも今回選定した技術はほとんど社内で扱ったことがなかったので、調査や検討する項目は膨大でした。検証や調査にかけられる時間は限られているものの、社内だけでは人員が足りないので、社外から各分野にたけた技術者を募ってサポートしてもらいました」(杉能氏)
働き方が変化し、在宅ワークでのプロジェクト進行に
こうして技術選定も終わり、プロジェクトはスタートしたのだが、新型コロナウイルス感染症拡大を防ぐため、同社では3月から働き方を在宅ワークへと切り替えた。働き方が変わったことでプロジェクトの進行に影響はなかったのか。
「移動時間がなくなったこと、働く時間が自由になったことで、以前と比べ効率的に働けるようになったと思います」と大塚氏は明かす。また、もう1つ良い変化があったという。それは毎日ミーティングをするようになったことだ。
「当プロジェクトには20~30人ものメンバーが参加しています。オフィスだとそれだけの人数が集まって、毎朝ミーティングをすることは場所的にも難しく現実的ではありません。オンラインなら場所を気にすることなく、ミーティングしたいときにできます。通勤や客先に行く移動時間がなくなったからこそ、できていると思います」(大塚氏)
プロジェクトの設計チームのマネジメントを担当している竹村氏も「在宅ワークになって以降のほうが、コミュニケーションが取れていると思います。スケジュールの遅延もありませんし、順調に進んでいます。レビューの効率は上がったと思います」と付け加える。
もちろん、在宅ワークでもプロジェクトが滞りなく進むような環境整備を行っている。例えば、社員にはハイスペックのPCやリモート操作用のノートPCをそれぞれ1台ずつ配布。従来はツールを自由に使えなかったが、在宅ワークに切り替えて以降は、SlackやSkype、Microsoft Teamsなどのコミュニケーションツールを自由に使えるようにした。「私たちのプロジェクトでのやり取りは、ほぼSlackで行っています」と竹村氏は言う。
新しいことに貪欲に取り組んでくれる仲間を増やしたい
現在、同社ではVisionaryリニューアルプロジェクトを進めていくため、メンバーを募集している。
「リニューアルプロジェクト後も、Visionaryはどんどん拡張していくので開発は続きます。その開発の中では要素技術も増えていく。したがって、新しい技術、新しいことに貪欲に取り組むことができる人と一緒に働きたいですね。TypeScriptやKubernetesの経験があればうれしいですが、経験がなくても新しい技術などにチャレンジする精神のある方を歓迎します」(大塚氏)
「大規模なマイクロサービスシステムの開発を経験したい、興味を持っている、という方にぜひ仲間になってほしいと思います」(杉能氏)
「いろいろ考えていただける人。どんどん自分の意見を持ってアイデアを出すことができる、そんな方と働きたいです」(竹村氏)
柔軟性、拡張性を持った製品にリニューアルし、統合CRMシステムとして新たなステージに進むVisionary。Visionaryは会員組織を持つ企業のビジネスに貢献できるだけの製品ではない。そのサービスを通して、会員である一般消費者の生活を豊かにし、便利にすることもできる。Visionaryというプロダクトに関心を持った人はもちろん、大規模なマイクロサービスのシステムを開発したいという方も、ぜひ一度フュートレックの採用情報をチェックしてみてはいかがだろう。