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キーパーソンインタビュー(AD)

「脱ハンコ」で普及が進む電子署名、開発者はどうAPI実装を進めるべき? 専門家が法務・実務的な背景を解説

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 DXなど急速な社会構造の変化に加え、コロナ禍により在宅勤務などが広がり、認証や確認といった業務フローがデジタル化しつつある。その中で重要なポイントとなるのが「電子署名」だ。世界的に電子署名が普及しつつある中で、押印という独自の商習慣をもつ日本がやや遅れているのは事実。しかし、今後、急速に電子署名が普及し、自社サービスやシステムに導入することが求められるのは明白であり、現場の開発者でも法務的・実務的な背景などを理解しておく必要があるだろう。そこで、日本及び世界の電子署名に関する法制・法律に精通する弁護士・弁理士・米国ミシガン州弁護士の牧野和夫氏、明治学院大学教授・米国ニューヨーク州弁護士の飯田浩司氏、そして立会人型電子署名「CMサイン」を世界に展開するCM.com Japanの中藤丹菜氏に、電子署名を取り巻く背景や最新動向、導入における注意点などについて伺った。

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コロナ禍やDXの追い風で、急拡大する電子署名への対応

牧野和夫氏
牧野和夫氏

大手自動車メーカーから米Georgetown Law School卒業後、ミシガン州弁護士登録。その後帰国しアップルコンピュータ法務部長としてJobs氏と急成長期を経験。現在は大学・法科大学院での講義や、日本や外資系のIT企業・ベンチャー企業の顧問を十数社担当。

飯田浩司氏
飯田浩司氏

牧野氏と同じ法科大学院を卒業後、ニューヨーク州弁護士登録。日本・米国の電機、IT、製薬、エンタテインメント企業などの法務部で、さまざまな国内・国際取引・訴訟などの法律的なサポートやアドバイスを行なってきた。現在は大学・大学院などで法律の講義を行なっている。

中藤丹菜氏
中藤丹菜氏

モバイルソリューションを提供しているCM.comオランダ本社に唯一の日本人としてジョイン。カントリーマネージャーとして2018年に日本法人CM.comJapan設立。現在は、電子署名プラットフォームをはじめとしたさまざまなコミュニケーションツールのローカライズ、ビジネス拡大を指揮する。

――皆さんそれぞれに海外での電子契約・署名に精通されていて、同時に日本の事情もよくご存知のことと思います。まずは海外と日本それぞれの導入・運用状況、またその背景についてご紹介いただけますでしょうか。

中藤:まず海外では電子署名はかなり前から広く普及しており、市場規模では2015年で$517M(約5620億円)、2019年は約2倍の$1.10B(約1兆2000億円)と言われています。さらに2020年では$2.8B(約3兆500億円)とさらに倍になっています。

 特に、米国・カナダの電子署名市場の拡大は顕著で、北米市場は2019年で既に$440(約4780億円)となっていました。さらに2019年から2020年の年間成長率(CAGR)は27.68%となりました。新型コロナウィルスの世界的な流行により、多くの企業、個人が遠隔地での活動を継続するために文書から電子署名へ切り替わることになったためです。

飯田:北米、とりわけ米国で電子署名が増えた背景としては、一つは商習慣的側面も大きいでしょう。既に20年以上前から最終契約書をそれぞれの当事者が印刷の上、署名頁に署名をし、その署名頁だけを相手方にFAXで送ることによって、印刷した契約書の原本を両当事者間で郵送する手間を省略する動きがありました。その後、署名頁をPDF化してメールで送る方法に発展し、さらに、現在のような電子証明書とタイムスタンプを用いた電子署名の導入へつながっています。中藤さんがおっしゃるように、新型コロナウィルスの流行でそれがさらに加速したというところでしょうね。

 法制面では、統一州法委員会全国会議が1999年に制定した統一電子取引法(UETA)と、2000年に成立した連邦法であるESIGN法があります。UETA自体は法律ではないのですが、各州が採用して州法となり、実際にほとんどの州がこれを採用しています。また、採用していないニューヨーク州とイリノイ州にはESIGN法やUETAと基本スタンスを同じくする独自の州法があります。因みにイリノイ州では今年、UETAを採用する法案が公開されたので、近くUETAを正式に採用することになりそうです。海外と取引する場合はこうした点も認識する必要があります。

ニューヨーク州弁護士 飯田浩司氏
明治学院大学教授・ニューヨーク州弁護士 飯田浩司氏

――日本ではいかがでしょうか。新型コロナウィルスの社会的影響が大きいことは同様ですが、状況はまた異なるように感じます。

牧野:米国のようなPDFでの署名交換もほとんど行われておらず、そもそも電子署名がまったく普及していなかったのですが、コロナが後押ししてまさにこれからというところですね。

 実は電子署名制度の立法化は電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律)が、米国のESIGN法とほぼ同時期の2000年に施行されていたのですが、取引の双方がシステムを導入することが必要な”当事者型”ということもあって、企業でも積極的には電子署名が導入されず、せっかくの法制度が利用されずに来てしまった事情があります。加えて、「重要事項説明書を書面で目の前で説明すべき」といった法規制などが導入の障害となりました。

 しかし、2020年になってコロナ禍にもかかわらず「ハンコ出社」が多いということや、働き方改革やDXなどの奨励も追い風となって、ようやく政府も本腰を入れて電子署名の普及に務めるようになってきました。具体的には2020年の7月、9月に、電子署名法の解釈が経済産業省・総務省・法務省により公表され、当事者型に加えて、第三者が双方の署名を証明する"立会人型“の適用を認めたり、一部契約書で必要だった印紙の支払いが電子契約書では不要ということも改めて示されたり、それらが弾みとなって、電子署名を検討・導入する企業が増えてきたという印象があります。「重要事項の説明など、案外リモートでできるじゃないか」と気づいたということもあるでしょうね。

次のページ
「デジタル印鑑=電子署名」ではない? 取り入れる際の注意点とは

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

篠部 雅貴(シノベ マサタカ)

 フリーカメラマン 1975年生まれ。 学生時代、大学を休学しオーストラリアをバイクで放浪。旅の途中で撮影の面白さに惹かれ写真の道へ。 卒業後、都内の商業スタジオにカメラマンとして14年間勤務。2014年に独立し、シノベ写真事務所を設立。雑誌・広告・WEBなど、ポートレートをメインに、料理や商品まで幅広く撮影。旅を愛する出張カメラマンとして奮闘中。 Corporate website Portfolio website

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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