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「えっ私ですか!?」若手女性社員がマネージャーに抜擢されて気づいた管理職女子のリアル【デブサミウーマン】

【B-6】えっ私ですか!?(汗) 男性だらけの職場でいきなりU30管理職にさせられた話。

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 管理職に「全く興味がない」とまでは言わないが、率先してなりたかったわけではないのに「させられてしまった」。しかも周囲は男性だらけ。戸惑いがないはずがない。「なぜ私が?」「どうして?」と困惑しながらも、楽しんだり、時には怒りを爆発させたり。この先どうなるかも分からない。暗中模索しながら歩む管理職女子のリアルをソノリテの宇留野彩子さんが語る。

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株式会社ソノリテ マイクロソフトソリューションサポートセンター ゼネラルマネジャー/輝く働き方推進準備室 室長 宇留野彩子氏
株式会社ソノリテ マイクロソフトソリューションサポートセンター ゼネラルマネジャー/輝く働き方推進準備室 室長
宇留野彩子氏

若手女性の出世意欲は高くない。なのに管理職に抜擢され激しく動揺

 「今日のお話は女性管理職として、現在精進している方、私のように思いがけずなってしまった方、逆になりたくない方、過去に経験したことのある方、そして将来なれるように目指している方にお届けしたいと思っています」と、ソノリテ 宇留野彩子さんは切り出した。宇留野さんはマイクロソフト製品Microsoft 365サポート、大手企業向けの働き改革支援・運用保守を行う部署のゼネラルマネージャーを務めている。

 宇留野さんは同世代の心情をよく理解している。「管理職は、なりたいような、やりたくないような、複雑な感情を持つ方は多いと思います。そして今や働く女性全てに起こりうるテーマになるでしょう」と話す。

 実際、管理職に尻込みしている若手は多い。2019年にパーソル総合研究所が実施した「APAC(アジア太平洋地域)就業実態・成長意識調査」によると、日本は管理職の希望も出世欲もダントツの最下位。別の調査でも同様だ。マネジメントベースが25歳から34歳の就業者を対象とした出世意欲に関する調査では、明確に「出世したい」と回答したのは全体で17.7%。男女別では男性が22.3%、女性が11.7%となる。「(若手女性の)ざっくり90%が心から出世したいとは思っていないとうかがえます」と宇留野さんは言う。

 管理職になる前の宇留野さんも似たような心境だった。エンジニアとして毎日案件をこなし、お客様と打ち合わせをする日々を送っていた。29歳になったばかりのタイミングで、管理職になるなんて想像していなかった。

 宇留野さんを抜擢したのはソノリテ社長の齋藤和政さん。ぐったりしていた捨て猫を会社の専務として採用したり、東京ダイナマイトのハチミツ二郎さんの出版企画クラウドファンディングを支援し、その縁で社員として採用したりするなど、意外な抜擢のエピソードを持つ社長だ。

 そんな齋藤社長が宇留野さんに管理職を任せた理由は、若手女性管理職のロールモデルを作ろうとしたため。宇留野さんが所属するマイクロソフト製品のサポート部署はこれまで男性が部長を務めてきたものの、近年では社員の男女比が半々となってきて、女性の管理職登用に乗り出した。

 しかし宇留野さんは素直に受けいれられなかったのかもしれない。さまざまな説を思い浮かべた。厚生労働省の女性活躍関連の助成金が目的ではないか(実際には申請していない)、社長が石原さとみさん結婚報道を見たショックでご乱心したのではないか、「エースをねらえ」で宗像コーチが岡ひろみを抜擢するような感覚だろうか。はたまたAKB前田敦子さんがセンターを打診されて号泣した場面を思い浮かべたり……。それだけ動揺したのかもしれない。

 先述した通り、若手女性の出世意欲はそんなに高くない。ヴィエリスが2020年に丸の内勤務している女性会社員を対象にしたアンケートによると、約半数が「自己肯定感を持てていると思わない」と回答している。なお、この調査では自分を過小評価する心理傾向を「インポスター症候群」と指摘している。自己を過小評価していると、昇格のチャンスがあっても尻込みして避けてしまうことになるというのだ。宇留野さんは「自分もこれにあてはまるのではないか」と考えている。

25~34歳女性の約90%が心の底から出世したいとは思っていない
25~34歳女性の約90%が心の底から出世したいとは思っていない

 現実を見ると宇留野さんはじめ、若手女性が昇進に尻込みしている一方、日本政府(内閣府男女共同参画局)では女性活躍を目指している。女性活躍推進法、えるぼし認定、女性活躍加速化助成金など、さまざまな施策がある。

 これを宇留野さんは「政府の推進があり、女性管理職の需要は高まるなか、供給が少ないので売り手市場であり、管理職になりたい女性には追い風だ」と見ている。

男性が多い職場で働く女性のメリットとデメリット

 では実際に女性が管理職や活躍を目指した場合、どんな姿があるのか。具体的に見ていこう。ワークポートが実施した調査によると、30代女性はプレイヤー、スペシャリスト、エキスパートを目指している人が多い。何らかの専門性や競争力を高めて活躍したいという意向がうかがえる。

 宇留野さん自身もスペシャリスト志向を持っていた時期があったが、今は「どちらかというとプレイングマネージャー志望」だという(なおプレイングマネージャーとは野球で選手兼監督を務めるプレイヤーを指していたのがはじまりで、現場業務とマネジメントの両方を担う人を指す)。とはいえ「完ぺき主義なのでプレイヤーとマネージャーの両立を困難に感じる」という不安を抱えつつも「どこで妥協するか、妥協した自分を許せるかが今の課題」と話す。

 管理職の先に何が待っているかも分からないという暗中模索のなか、宇留野さんは「なぜ私?」の答えを自分なりに探そうとしている。まずは同僚たちに宇留野さんの魅力を聞いてみたところ「愛嬌がある」「優しそう」という人間的な魅力が並ぶ。ほかにも「意志が強い」「忖度しなさそう」「行動が早い」「激務に耐えられそう」などの職場のリーダーに向いていそうな強さを挙げる人もいた。後者については「男性だらけの環境でキャリアを積んできたから」と自負している。

 IT業界にいれば言わずもがなだが、男性が多い環境だ。徐々に女性の比率は高まっているものの、情報サービス産業協会(JISA)の調査によると、女性のITエンジニアは20%。ITエンジニアが5人いたら、男性が4人、女性が1人となる。

 ここで宇留野さんは男性が多い職場で働くメリット・デメリットを考えた。Webメディア「にじいろ」の記事で紹介されているものを挙げると、メリットには「大事にしてもらえる」「良くも悪くも目立つ」「女性社員という強みを使える」(先述した政府の女性活躍推進の追い風を受けることも含まれる)、デメリットには「少なからず男尊女卑がある」「女性特有の体調不良を理解してもらえない」「衛生観念の違いが気になる」などがある。宇留野さんは「どちらも共感できます」と言う。

 宇留野さんは自身の経験として、社内のゴルフコンペで幹事をした時のことを挙げた。参加者10名が全員男性だったため、宇留野さんは完全に紅一点となり「とてもかわいがられている」と実感した。そのため宇留野さんは自分を「男性が多い環境を拒絶するなど、男性が多いからこそ生まれるメリットをあえて活用しないタイプではない」と言い、同時に「デメリットを黙って認めるタイプでもない」と言う。

 実は宇留野さん、負けず嫌いの一面もあるようだ。年上の男性社員との議論で女性蔑視的なものを感じとり、ホワイトボードの黒板消しを投げつけてしまったことがあると告白した。男尊女卑的な空気には敏感だ。とはいえ「とてもよくないことですので、皆さんはまねしないでほしいのと、私も反省してます……」と肩をすぼめて言う。

 最も答えを知っていそうな人はどうだろうか。宇留野さんを抜擢した社長は「女性ならではのメリットを活かせて、デメリットへの突破力がありそうだよね」と言ったそうだ。この両軸があるからこそ「(U30となる)29歳で管理部長を任せてもよさそうで、かつ顧客には組織変革などのミッションを与えてもいいだろう」と。

 当の宇留野さんは管理職や出世の近道として大切なことは3つあると考えている。1つ目はフットワークの軽さ。(年上の男性ばかりが並ぶ)ゴルフコンペに参加しようと思える行動力がある。2つ目は業務のプロフェッショナルとなり、普段の業務では手を抜かない、きちんと結果を出していくこと。3つ目は嫌なことがあっても会社を休まない・辞めないこと。根気強さ、タフさも大事だ。

チェンジモンスターにも負けず、クライアントの満足度を追求

 ここからは管理職に就任した以降の話。新しい管理職が若く、しかも女性だということで本人には「総スカン状態」(皆から嫌われて孤立する)と感じられるところもあった。抵抗勢力はいわばチェンジモンスターだった(ボストンコンサルティングが変化や改革を妨害する人間心理をモンスター風に表現したもの)。

 原典によるとチェンジモンスターには6種類以上あるものの、宇留野さんが「こういう人、いたかな?」と思い当たるのが「ノラクラ(言い訳をして変革を回避)」と「カコボウレイ(従来のやり方をやめない)」の2つ。改革や変化はフラストレーションがたまるし、適応に時間もかかるし「気持ちはすごく分かる」と宇留野さんは同情を示しつつも、抵抗は打開していかなくてはならない。

変革を拒むチェンジモンスター
変革を拒むチェンジモンスター

 宇留野さんなりの作戦はいくつかあった。直接対決するのではなく、「ノラクラ」には迂回したり、「カコボウレイ」にはメンバーを増やしたり、大きなルールから変えていく。つまり「(変革)せざるを得ない状況を作る」ようにしていった。

 加えて「クライアントが一番大事」と強調する。クライアントとは顧客はもちろん、社長も加わる。なぜかというと「誰をグリップすべきかが大切」だからと言う。仕事で優先度を高くすべきところを見極め、そこに集中することと言い換えられそうだ。宇留野さんの仕事でいうなら「顧客満足度の追求」があり、ここに必要な施策を次々と行う。

 こうした努力のせいか本人には「総スカン」と見えたかもしれないが、クライアントから厳しい評価はなく、離れたクライアントもいない。むしろ喜ばれているそうだ。「クライアントが一番大事」を貫いたからだろう。

 「社外評価も大事」と宇留野さんは言う。今回のようなイベント登壇、社外でも通じる資格試験も重要だ。実は宇留野さんは新卒2年目でMicrosoft MVPも受賞している。かなりの努力家だ。最後はそんな宇留野さんからのメッセージで締めくくろう。

 「(管理職となり)やっぱり周囲からの風当たりは強かったです。自分の判断で決まることもあるので孤独かもしれません。ただ大事なことに気づけました。なぜ自分が管理職になったのかを考えると、社員や社長からどう思われているか気づくことができて、いい機会となりました。今日はネガティブな話もしましたが、今は本当にやってよかったと楽しい気持ちでいっぱいです! ぜひ皆さんも希望を持ち、管理職女子を目指していただけたらと思います」

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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