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エンジニアのグローバルなキャリアパス

シリコンバレー発テック企業の第一線で活躍するエンジニアに訊く、「海外で働く」って実際どうなの?

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 エンジニアとしてのキャリアパスを考える上で、「海外で働く」ことに憧れを持つ人は少なくない。しかしながら、COVID-19の影響で海外への渡航が難しくなり、情報収集も難しい中で、仕事環境や技術力へのキャッチアップなど気になることも多いだろう。そこで今回は、2020年より米国カリフォルニアに生活拠点を移し、HeadSpin社でソフトウェアエンジニアとして活躍中の松尾和昭氏に、海外で働くようになった経緯や実際の仕事環境、気になる英語・技術のキャッチアップなど、"実際のところ"について話を聞いた。

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「エンジニアは英語を使って働こう」という恩師の言葉に触発

――まずは、現在のお仕事について教えてください。

 現在は、米国カルフォルニアに本社を置くHeadSpin社でシニアソフトウェアエンジニアとして、主にテスト自動化基盤の開発を行っています。入社は2年前なのですが、COVID-19の影響でなかなか渡米できず、リモートワークで仕事をしていました。ようやく2020年9月に本社の近くに引っ越し、こちらに来て1年経ったところです。

Senior Software Engineer, Device Automation at HeadSpin 松尾和昭氏
Senior Software Engineer, Device Automation at HeadSpin 松尾和昭氏

――次に、これまでのキャリアについても教えてください。

 もともと大学・大学院は広島で、コンピュータサイエンスやソフトウェア工学などを学んでいました。ソフトウェア領域のなかでも、テストや品質という分野に関心を持っていました。

 また当時、大学院でお世話になった教授には、さまざまな面で影響を受けました。教授は米国での就労経験があり、「新しいソフトウェアは常に英語。英語でないと新しい情報にキャッチアップするのは難しい」とつねづね語っていたことが心に残っていて、私も「いつか英語を使って働く必要があるだろうな」と考えるようになり、自分のエンジニア人生の指針として根付くようになりました。

 東京へと思い、新卒で就職したのが携帯電話関係のソフトウェア会社(ACCESS)でした。そこでソフトウェアエンジニアとして3年間働き、クックパッドにテストエンジニアとして入社しました。ちょうどクックパッドで1人目のテストエンジニアの募集がかかっていたので、「チャンス!」と思って面接を受けました。

 そして、クックパッドの日本市場向けサービスのテストエンジニアとして働きはじめて、モバイルアプリのテスト自動化を行う「Appium」というOSSに本格的に関わり始めました。その開発に貢献する機会があり、長期的な使用がかなうと判断して、少しずつ関与を深めていきました。

 クックパッドはRubyを主に使っていたこともあって、Appiumへの貢献もそのコンポーネント領域から入っていきました。だんだんと英語を使ったレビューや議論も増えていきました。英語でまとめ、それをAppiumの他の開発者にチェックしてもらうということを続けていました。続けていくうちにだんだんとAppiumのコアを担う立場になり、助けがなくても英語圏でのサポートができるようになりたいと考えるようになりました。

 2年ほど関わったところで、該当部分の意思決定に関与できるコアコントリビューターに推薦され、もっとしっかり英語でコミュニケーションできるようになりたいと思いました。そのためには、英語を使って働く環境に身を置くことが必要、すなわち海外で仕事をしたいと考えるようになったんです。

OSS活動での課題の一致が決め手となり、HeadSpin社にジョイン

――Appiumでの活動が、英語を使って働くという具体的なイメージにつながったというわけですね。

 そうです。ちょうどそんなことを考え始めた頃に、クックパッドでは日本市場向けのサービスが一段落したこともあり、グローバル市場向けサービスの方に異動願を出しました。それが受理されて、日本に拠点を起きながら、英国のブリストルにも時折出張しながら1年半ほど働きました。

 基本的には日常的なコミュニケーションが日本語から英語に変わっただけで、モバイルアプリのソフトウェアテストエンジニアとしての業務はほぼスライドだったので、ストレスなく仕事に当たることができました。

 ただ実は、内心ではグローバルのヘッドオフィスがあるブリストルへの異動も考え始めていたんです。それも「海外で働く」というより、「英語を使いながら、自然と英語に慣れるという環境で働きたい」と考えたからです。英語で働き続けることで「最先端の技術に触れていたい」という思いがありました。

 異動して1年半というところで、自分の業務分野として最も注力したいソフトウェアテスト分野に注力している、HeadSpin社の存在を知りました。HeadSpin社は2015年に創業したスタートアップ企業で、2018年9月にオファーを受け、11月に入社を決めました。自分が最も関心を持っている領域で課題を感じていた部分と、そこに注力しているHeadSpin社にシンパシーを感じたことが一番の入社動機となりました。

 HeadSpin社では、クックパッドでのソフトウェアテスト・品質に関する業務とは異なり、その知見・経験を活かしつつAppium関連の開発業務に携わる、シニアソフトウェアエンジニアという役割で仕事をしています。具体的には、Appiumをはじめとした自動化ツールやその周辺、HeadSpin社のテスト実行基盤の開発を推進するというもので、がっつりとコードを書いています。加えて今もソフトウェアテストやOSSでの活動を継続しています。

――2018年11月に入社されて、渡米されたのが2020年9月と1年ほどタイムラグがありますね。

 実は1年間日本で働いた後、2020年頭には米国に移る予定だったのですが、ビザが取れて移動を調整していた時期にCOVID-19のパンデミックが始まってしまい、一旦見送りになったんです。でも、HeadSpin社のブランチが日本になく、福利厚生などが受けられないため、米国に移ったほうが当時の環境では安全そうということで、改めて2020年9月に引っ越しました。

次のページ
ビザや生活面の不安もある中で「現地で働きたい」気持ちが動力に

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

鍋島 英莉(編集部)(ナベシマ エリ)

2019年に翔泳社へ中途入社し、CodeZine編集部に配属。同志社大学文学部文化史学科卒。

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CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/15252 2022/07/06 11:00

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