開発チームを畑に見立て、アジャイルの4つの価値を育てる工夫
続いてkyon_mm氏は、開発チームを「畑」というメタファーに置き換えて、畑を育てる=パタン・ランゲージを作るという取り組みを紹介した。これは同氏も参加している筑波大学の「enPiT」チームが行っているものだ。
ソフトウェア開発を行う中で、チームで見つけた工夫や知見、チームが大切にする価値、チームで共有できる言葉をどんどんピックアップし、それらをパターンとしてまとめ・構造化するのがパタン・ランゲージだ。このとき、まとめる場所を畑と想定し、その土壌(目標)に「アジャイルソフトウェア開発宣言」の以下の4つの価値を当てはめた。
- プロセスやツールよりも個人と対話を
- 包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを
- 契約交渉よりも顧客との協調を
- 計画に従うことよりも変化への対応を
そして、それぞれのパターンをこの4つにまとめていく「Agile Manifesto Farm」という手法を提案した。
「アジャイルの価値観を土壌にして、自分たちで種を植えて、そして振り返り(レトロスペクティブ)で養分を足していって、花を開かせて、そしてまた次のタネが生まれていく。こういったプロセスを目指すのが、Agile Manifesto Farmです」(kyon_mm氏)
今回kyon_mm氏はアレグザンダーの思想をさらに昇華するために、Extreme Small Patternと Agile Manifesto Farmという2つの取り組みを紹介した。kyon_mm氏は次のステップとして「生き生きとした良い組織を、自然発生的・自律的に生み出せる『組織のためのパタン・ランゲージ』」を目指したいとも語る。つまりパタン・ランゲージのためのコーチやコンサルタントといった存在なしに、自立的に生き生きできる組織が生まれるパタン・ランゲージというわけだ。
最後にkyon_mm氏は、自己増殖するような組織を作るには、生き生きとするだけでなく、最終的には組織を捨てたり、組織が終わりを迎えたりところまで扱うことが必要だとし、そこまでを含めたプロセスデザインをしたパタン・ランゲージを作っていきたいと語った。