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DeNAが新卒研修に求めたこととは? エンジニアに必要なソフトスキルを身に付ける研修の作り方【デブサミ2022夏】

【A-3】『ようこそ不確実な世界へ』 “ユーザ体験の共創”から実現するDeNA流 新卒エンジニア研修の設計手法

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 新卒社員にどのような研修を受けさせるのかということで頭を悩ませている企業は少なくないはずだ。VUCA時代といわれるようになった昨今は、研修の内容によっては学んだことが遠くない将来に役に立たなくなる可能性も考えられる。ディー・エヌ・エーは、このように不安定な時代に新卒研修はどうあるべきかを真剣に追求し、今年度の新卒研修を実りあるものにしたという。ディー・エヌ・エーは新卒研修に何を求めたのか。結果としてどのような研修になったのか。研修の内容が決まるまでの過程、決めるうえで大切にしたことなどを株式会社ディー・エヌ・エー技術統括部CTO室の平子裕喜氏と、外部パートナーとして研修の設計と実施に携わった株式会社ギブリー取締役プロダクトオーナーの新田章太氏が語った。

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株式会社ギブリー 取締役 HRTech部門 兼 人事部 新田章太氏(上)、株式会社ディー・エヌ・エー 技術統括部CTO室 平子裕喜氏

株式会社ギブリー 取締役 HRTech部門 兼 人事部 新田章太氏(上)、株式会社ディー・エヌ・エー 技術統括部CTO室 平子裕喜氏(下)

即戦力を多く採用するディー・エヌ・エーが、新卒研修に求めたこと

 ディー・エヌ・エーから、新卒研修を手伝ってほしいという依頼を受けたとき、ギブリーの新田氏は2つ疑問に思うことがあったという。一つ目は、そもそもディー・エヌ・エーが新卒研修を実施する必要があるのかということ。ディー・エヌ・エーは新卒でも、開発経験がありエンジニアとして即戦力となる人材を多く採用しており、いきなり現場に出してOJTで学んでもらうだけで十分なのではないかということだ。

 もう一つは、なぜ研修を内製しないのかという疑問。IT企業の中には新卒研修を内製し、その内容をインターネットで広く公開している企業もある。ディー・エヌ・エーなら研修を内製するのが自然なのではないだろうかというものだ。

 平子氏は一つ目の疑問に対して、新しいものを柔軟に学び続ける力を身に付けてもらいたいということと、不確実な時代に正解がない中で、個人あるいはチームとしてどのように学び続ければ良いのかを学んでもらいたいという答えを返した。新卒社員には、現場で必要になる技術なども学んでもらうが、それよりもエンジニアとして活躍し続ける姿勢を身に付けてもらいたいということだ。

 そして、二つ目の疑問に対しては、学び方や学ぶ姿勢などのソフトスキルを身に付ける研修は、技術の使い方などのハードスキルを身に付ける研修に比べて内製に大きな労力がかかるため、「餅は餅屋。外部の力を借りながら進めたい」と答えた。さらに、「内製だけでは研修内容がガラパゴス化してしまうところがある。新卒社員にはディー・エヌ・エーだけで活躍できる人材になってほしいとは思っていない。グローバルに活躍してほしい」という思いを明かした。

 では、以上のような思いを持って作り上げた研修はどのようなものだろうか。下図は、今年度の新卒社員を対象に実施した、研修の主なカリキュラムだ。この内容を4月〜6月の3カ月間で消化したという。

ディー・エヌ・エーが実施した2022年度新卒研修の主なカリキュラム
ディー・エヌ・エーが実施した2022年度新卒研修の主なカリキュラム

 見ての通り、カリキュラムは主に4つのステップに分かれている。そして、それぞれのステップにきちんと狙いがある。一つ目の「チームでの学習の前提を学ぶ」は、「これまで学校に通い、ひとりで学習してきた新入社員に、チームで学ぶにはどのようにすれば良いのかという大前提を学ぶステップ」だと平子氏は語る。

 メニューにもドラッカーエクササイズやFun・Done・Learnによる振り返りなど、チームで取り組む課題が並んでいる。平子氏は「チームで改善していくにはどのようにすれば良いかを学んでほしかった」とその狙いを明かした。

 2つ目の「変わらないものを学ぶ」のカリキュラムを見てみるとグラフ構造やアルゴリズムなど、一見ハードスキルに見えるものが並ぶが、その奥には「コンピューターサイエンスはエンジニアとして働き続けても変わらないこと。それを日々の業務にどのように活かすのかを学んでほしい」という狙いがある。ハードスキルを学びながら、「実務で活かす」というソフトスキルも学ぶということだ。

 さらに平子氏は、「学生時代にコンピューターサイエンスを学んでいる新卒生もいるが、実務でどのように活かすのかということを学んでいる新卒生はそれほど多くない」と近年の新卒生の傾向について明かした。

 3つ目の「変わり続けるものを学ぶ」は、Webアプリケーションや、Git、Linux、Dockerなど、明らかなハードスキルを学ぶカリキュラムになっている。ただし、ここでも「変わり続ける技術をどのように習得し続けるのか」というソフトスキルを学んでほしいという狙いがある。

 4つ目の「価値を共創することを体験する」では、実際にユーザーに使ってもらえるプロダクトやサービスをチームで開発する。デザインスプリントの手法で「どんな物を作るのか。顧客はどういった課題を抱えていて、どういうニーズがあって、どのように価値を創造していくのか」ということをチームで考え、その結果として出てきたものを実際にスクラムでアジャイル開発していく内容になっている。

 チームで開発するカリキュラムについて平子氏は、「学生のうちはどのような技術を使うのかというところを意識しがちだが、大切なのは技術を使ってどのような価値を出していくのか。ビジネスとしてのエンジニアリングを身に付けてもらいたい」と狙いを明かした。

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ソフトスキルを身に付ける研修はどのように作られたのか

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この記事の著者

笹田 仁(ササダ ヒトシ)

 フリーランスのライター、編集者。IT、特にソフトウェア開発の話が好きです。 趣味はドラムを叩くこと。コロナ騒ぎでリハーサルスタジオに入りにくくなり、ちょこちょこと楽器を買うことでストレスを解消していたら、いつの間にか置き場所に困るほどになってしまいました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://codezine.jp/article/detail/16284 2022/10/05 12:00

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