「キャリアは1本道じゃなくて大丈夫」多忙な日々の中で伝えたいこと。
RubyやRailsなどを中心に十数年の経験をもつWebプログラマだった鳥井雪氏が、『ルビィのぼうけん』の翻訳をすることになったきっかけは、女子中高生向けのプログラミングワークショップ「Rails Girls」へコーチ、オーガナイザーとして参加したことだ。
『ルビィのぼうけん』(原著『Hello Ruby: Adventures in Coding』)の著者であるリンダ・リウカス氏は、「技術を手に入れることで女性の力を高めたい」という思いから、2009年にフィンランドで女性のプログラミング学習をサポートする「Rails Girls」を共同で設立。特に女子中高生向けのプログラミングワークショップは世界的なムーブメントとなり、日本でも実施にあたって、鳥井雪氏も経験豊富なプログラマとして参加することになった。その後、『Hello, Ruby』日本語版出版の話になり、リウカス氏の直接のお墨付きを得て、翻訳者として携わることになった。
その経験を機に、プログラミング関係書籍の翻訳や、中高生のプログラミングコンテストの審査員などを行なうようになり、さらに現在は小学校高学年〜向けプログラミング入門書を執筆中だ。
そんなさまざまな顔を持つ鳥井氏は、「毎日が、めちゃくちゃ忙しい」と語る。講演当日も子どもの遠足で早朝から弁当を作り、スタジオに入って講演録撮り、昼に会社戻ったら来客者へのインタビュー、来年からの学童の見学会、子どもに食事を取らせて寝かせるかたわら勉強会にも参加する。「今日はまだ朝ごはんが食べられていない」と笑う。
そして、昨今話題になったブログ記事、「32歳、新しい技術を習得する余裕がなく昔取った杵柄でいつまで食えるか不安です」を紹介。「これを読んで、すごくわかると思った。日々不安なること風林火山のごとし」と頷きながら、「でも、いろんなことをすることで豊かになっていくんだ、と伝えたい。特化した技術を高めて仕事に生かしてといくだけが成長ではない。キャリアは一本道でなくてなくても大丈夫」と語った。