どんなエンジニアでも抱くキャリアに対する「漠然とした不安」を解消する、簡単な方法とは?
【A-9】がむしゃらに頑張っていたらいつの間にかリーダーになっていた方へ~20年間モチベーションを科学する企業のキャリアづくり実践法~
エンジニアとして働いていると、「こんな仕事をしていて良いのだろうか」とか、「この職場で自分は果たして成長できるのだろうか」などと、自身の今後のキャリアについての不安が頭をよぎることがあるだろう。「目の前の仕事をこなすためのスキルが身に付いていないから不安なんだ。スキルを身に付ければ不安は解消する」と考える時期もあるかもしれない。それに対して、株式会社リンクアンドモチベーションでプロダクトデザイン室のエンジニアリングマネージャーを務める今野聡司(いまのさとし)氏は、「キャリアに関する漠然とした不安は、キャリアのどの段階でも発生する」と指摘。そして、「漠然とした不安は、仕事に必要なスキルが足りないから発生するわけでもない」ともいう。このセッションでは今野氏が、エンジニアが抱いてしまいがちなキャリアに対する漠然とした不安の正体を解き明かし、解消する方法について語った。
ほとんどのエンジニアが感じている「漠然とした不安」を解消する方法
今野氏は話を始める前に、「72%」という数字を示した。これは、今後のキャリアに不安を抱いている人の割合である(Job総研「2022年 キャリアに関する意識調査」)。しかもそのうちの約65%が「漠然と不安を抱いている」とも言う。漠然とした不安を抱くのは経験が不足しているからとか、実力がないからという理由ではない。キャリアに対する不安はほとんどのエンジニアが感じていることなのだ。
そして今野氏は、不安を解消してキャリアを形作っていく最良の方法は「今、自分自身が担当している仕事の課題を『正しく認識すること』」に尽きると強調する。仕事の課題を正しく認識するとはどういうことだろうか。
その前に今野氏は、仕事に対するモチベーションについて理解することが必要だと語り、リンクアンドモチベーションが活用するモチベーションの公式を示した。モチベーションの公式は以下の通りとなる。
Will(やりたい)×Must(やらなきゃ)×Can(やれそう)
モチベーションと聞くと、やりたいことが魅力的であること、つまり公式の中のWillの部分が大きくなることを想像する人が多いかもしれない。しかし、それだけでは人間はモチベーションを抱けない。やりたいことに加えて、「これは絶対にやり切らなきゃいけない」という危機感(Must)と、「これはやれそうだな」という自信(Can)を掛け算することで、モチベーションは生まれる。
これは、WillとMustとCanが作る3つの輪で表現できる。3つの輪の重なりが大きくなっているとき、人間のモチベーションは高まると、リンクアンドモチベーションでは唱えている。しかし、バランスが崩れて3つの輪の大きさが不揃いになってくると、モチベーションに問題が発生する場合がある。例えばエンジニアとして働き始めたばかりの新入社員は、できること、つまりCanの輪が小さい。その状況では、先輩が10分で終わらせる仕事に3時間かけてしまったり、先輩にコードを添削してもらうと真っ赤になって返ってきたりすることがよく起こる。その結果仕事に対する自己効力感、モチベーションが下がるという構図となる。
こういうとき、新入社員は「自分はエンジニアとしてやっていけるのだろうか」とキャリアに漠然とした不安を抱く。ただし、この場合はスキルを身に付ければ済むことである。努力を続けて3年も経験を積めば3つの輪のバランスが取れてきて重なり部分が広がり、モチベーションは少しずつ上がっていく。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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笹田 仁(ササダ ヒトシ)
フリーランスのライター、編集者。IT、特にソフトウェア開発の話が好きです。 趣味はドラムを叩くこと。コロナ騒ぎでリハーサルスタジオに入りにくくなり、ちょこちょこと楽器を買うことでストレスを解消していたら、いつの間にか置き場所に困るほどになってしまいました。
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