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Developers Summit 2023 Summer セッションレポート(AD)

組織一丸で実践する、技術的負債の解消に向けたカケハシの取り組み

【A-5】20%ルールに頼らない: 技術的負債を解消する組織的な取り組み

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組織的に取り組む「技術的負債」の解消

 そこで湯前氏は、短期間で効果が出やすいが、EMやエンジニアが身を削る必要のある課題解決施策の提案をした。短期間の課題解決施策として開発チームが行ったのが、「開発プロセスの改善」と「会議体の整理」だ。

 開発プロセスの改善では、エンジニアがやることと、開発ディレクター(カケハシではスクラムマスターを開発ディレクターと呼んでいる)がやることを図のように分けて整理。「開発ディレクターが開発プロセスへの働きかけを大きくすることで、エンジニアの開発時間を最大限取れるようになり、チームで一丸となって開発に取り組める形にしました」(湯前氏)

短期施策の一環として行った開発プロセスの整理
短期施策の一環として行った開発プロセスの整理

 もう一つの施策である会議体の整理では、短期的に会議やスクラムイベントの削減を行ったという。チームのコミュニケーションを活性化させる施策は非常に大事だが、短期的に開発時間を確保するため、勉強会や雑談のために確保している時間など、チームのコミュニケーションを期間限定で削減したという。「長期的にはマイナスになってしまうので、あくまで7月末までとし、8月以降は復帰することになっている」(湯前氏)

 そのほかにも、スクラムイベントや会議体を削減したことで、「全体で約10%の時間を捻出できた」と湯前氏は語る。

 このようにEMやエンジニアが身を削る提案をすることで、中長期的な対策として技術負債の解消を経営層やPdMと議論ができるようになった。「ゴールをどうするのか、何をやるのか、どのくらいの期間とリソースを使うのかなどについて、中長期的な対策のイメージを図に表し、議論をしたことで、理解してもらえたと思います」(湯前氏)

 PdMや経営層との話ができ、リソースも確保できた。次に見積もりをすべくエンジニアチーム内での技術的負債解消の方針のすり合わせを行うことにしたが、「なぜやるのか」「何が今課題なのか」「何が理想の状態なのか」という認識がチーム全体で合っていないことが明らかになった。チーム内での認識をすり合わせるためには、1つのホワイトボードを見ながら長めに時間をかけ、深い議論をするのが得策である。だがカケハシの社員の働き方は全員リモートワーク。そこで全国から東京都中央区東銀座にあるオフィスに集まり、オフラインでの議論を行った。「チーム内での認識は大方揃い、あとは進めるだけの段階。今、まさに技術的負債の解消に取り組んでいるところです」(湯前氏)

 カケハシではこの取り組みを5月頃から開始。まだ3カ月弱だが、経営層から「少しずつ良くなってきている」という声をかけられたという。

 湯前氏は最後に「カケハシでの取り組みが皆さまの参考になれば幸いです」と語り、セッションを締めた。

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この記事の著者

丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

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中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

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