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Next.jsの新しい概念を学ぶ

Next.js13で追加されたApp RouterとReact Server Components──UI通信の関係を再定義する

Next.jsの新しい概念を学ぶ 第3回

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 App RouterはReact Server Componentsを最大限活用する形で実装されているため、外部のデータソースに対する送受信の大半をサーバー側で行います。少し独特ながら、Web標準に寄り添った形で実現された通信周りのフレームワークについて、本記事では学んでいきます。

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対象読者

  • JavaScriptとWeb開発の基礎に理解がある方
  • Reactを用いたJavaScriptアプリケーション開発の経験者

前提環境

 筆者の検証環境は以下の通りです。

  • macOS Sonoma 14.2.1
  • Node.js 21.4.0/npm 10.2.4
  • React 18.2.0
  • Next.js 14.0.4

UIと非同期通信の状態管理を擦り合わせるのは疲れる

 ブラウザ上でもサーバー上でも、JavaScriptのランタイムが提供する通信処理のAPIは、基本的に非同期で扱うことが推奨されています。現代ではFetch APIを前提にした非同期処理のインターフェースを持っており、async関数await式と統合されることで、より便利に非同期通信を扱えるようになっています。

 さて、一方で、Reactに目を向けてみましょう。Reactの得意分野は、宣言的にUIを記載することと、そのUIの状態を管理すること、そしてそれらを組み合わせて効率的にDOMツリーを更新することです。Reactが管理するUIの内部で発生したイベントに応じて、UIの状態を変更することは、Reactの得意分野と言えるでしょう。

 では、Reactの外部由来で発生するイベントには何があるかというと、特に厄介なのが非同期通信の結果の受け取りです。Reactの管理下にあるライフサイクルの範囲で起こるイベントと比べて、非同期通信の結果はいつ届くのかわかりません。また、ひとつの画面を初期表示するために複数の外部データソースからデータを取得する必要がある場合、どの順で通信を呼び出し、待っている間にどのようなUIを表示し、データが届き次第UIにどう反映するかを考えるのは、非常に煩雑です。

 こういった課題感に対して、Reactチームが生み出したのが、第1回でも触れたReact Server Componentsです。これは、ReactのUIをサーバー側でレンダリングすることで、外部APIとの通信やDBに伴う非同期処理をサーバー側で処理している間に解決するというものです。コンポーネントをasync関数として記述できるため、複数のデータソースを連鎖的に呼び出すような、複雑な非同期処理であっても、容易に表現できます。

 本記事では、React Server ComponentsをApp Routerがどのように活用しているのかを解説します。まずは、データ取得に関する話題を扱い、その後にデータ送信に関する話題を扱います。

App Routerとデータ取得

 まずは、データ取得に関する特徴について見ていきましょう。実は、データ取得についてはApp Router固有の話題というのはあまり多くはありません。React Server Componentsの「コンポーネントをasync関数として定義でき、非同期処理をawait式で待ち受けた結果を直接使って、JSXによるUI構築を行うことができる」という特徴を活かす形でコンポーネントを記述すれば、直感的にUIを構築できるため、 "非同期処理とUI" という関係性は、大筋としてリスト1のようなサンプルで説明できます。

[リスト1]app/todos/page.js
import { getTodoList } from "@/app/db";

export default async function TodoList() { // (1)
  const todoList = await getTodoList(); // (2)

  return (
    <main>
      <h1>Todo App</h1>
      <h2>タスク一覧</h2>
      <div>
        {todoList.map((item) => ( // (3)
          <div key={item.id}>
            <p>{item.title}</p>
          </div>
        ))}
      </div>
    </main>
  );
}

 (1)では、async関数としてコンポーネントを定義しています。これはReact Server Componentsの特徴ですね。この関数は、非同期処理を行うことができるため、(2)のように外部データソースからデータを取得することができます。この非同期処理の結果を、直接JSXによるUI構築に利用できるため、(3)のように、非同期処理の結果を直接map関数に渡して、リストを構築することができます。

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 中川幸哉(ナカガワユキヤ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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