米Microsoftは、2024年7月の第3週に発生したWindowsの大規模障害が影響した範囲と、同社の対応について解説するブログポストを20日(現地時間)に公開した。
今回のトラブルの原因は、セキュリティ対策ソフトベンダーである米CrowdStrikeが18日(現地時間)に配布したアップデートファイルにある。Microsoft自身が起こしたトラブルではないが、社会に与えている影響の大きさを鑑みて、CrowdStrikeなどと連携して、ユーザーが使うWindowsの原状復帰に24時間休みなく全力を尽くしているという。
具体的には、CrowdStrikeとの連携や情報交換のほかに、Microsoft社内のエンジニアや専門家数百人を、顧客企業と直接協力させて、顧客の原状復帰を支援している。さらに、Amazon Web ServicesやGoogle Cloud Platformなどのクラウド事業者と、その関係者と協力して現状と影響範囲を把握し、CrowdStrikeのソフトウェアのユーザーからの聞き取りを進めている。
そして、回復の方法をまとめた情報や、回復に使えるスクリプトなどを適宜公開し、Azure Status Dashboardで、稼働状況の情報を提供し続けている。
Microsoftは今回のトラブルによって、全世界で約850万台のWindowsコンピューターが影響を受けたと見積もっている。この台数は、全世界のWindowsコンピューターの1%にもにも満たないが、社会的に重要なサービスを担う企業がCrowdStrikeのソフトウェアを利用しており、その結果、世界規模の大トラブルにつながったとしている。
今回のトラブルによって大きな影響を受けた企業として、航空大手の米Delta Air Linesが挙げられる。同社が全世界の拠点で利用しているシステムの半分以上がWindowsをOSとして採用しており、今回のトラブルの影響をもろに受けてしまった。とりわけ、すべての便に予定通りの乗務員が予定通りの時間に乗り込むように管理するシステムが大きな影響を受けたという。この結果、航空便の運航スケジュールが混乱してしまい、予約のキャンセルと払い戻し、足止めされる利用者へのホテル代の提供、別便への振り替えなどあらゆる手を尽くしたが、相当数の便を欠航としなければならなかった。
Delta Air Linesの最高経営責任者(CEO)であるエド・バスティアン(Ed Bastian)氏は、21日に署名入りの声明を発表した。声明によると、トラブルは金曜日(19日)の朝から発生し、同社の担当者が24時間休みなしで対応に当たっているが、同社の便と、同社が地域航空会社と連携して運航しているDelta Connectionの便のうち相当数を欠航とせざるを得なかったという。欠航となった便は、土曜までに3500便を超え、日曜日以降も欠航が発生し続けているとしている。同社は現在も運航体制の完全復旧に向けて、全力を尽くしている。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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