はじめに
近年、ソフトウェア開発におけるAIの役割は、単なる「コード補完ツール」から、自律的にタスクをこなす「AIエージェント」へと進化をしています。開発者がAIと対話し、協業しながらシステムを構築する時代が到来しつつあります。
AWSでは、開発者向けAIアシスタント「Amazon Q」と、基盤モデルプラットフォーム「Amazon Bedrock」を両輪として、そのAIエージェントを下支えしています。
本記事では、待望の「Amazon Q Developerの多言語対応」、セキュリティを担保しながら専門タスクを自動化する「カスタムエージェント」、そしてGPU不足を解消する切り札となりうる「Bedrockのグローバルクロスリージョン推論」について、その仕組みと実用上の注意点を交えながら深掘りしていきます。
Amazon Q Developerの多言語対応
Amazon Qは第17回で紹介したように大きく2種類が用意されています。
- Amazon Q Business:組織内のデータをもとに、質問に回答やコンテンツ生成を行う(過去記事ではAmazon Q For Business Useとして紹介)
- Amazon Q Developer:AWSを利用したシステム開発やアプリケーション開発に関する質問への回答を行う(過去記事ではAmazon Q For AWS Builder Useとして紹介)
後者のAmazon Q Developerが、今回多言語サポートを拡大し、日本語もサポート対象となりました。Amazon Q DeveloperはTeamsやSlackなどのチャットアプリケーションに統合し、呼び出すことも可能ですが、本記事では最も手軽に利用できるAWSマネジメントコンソール上での操作を紹介したいと思います。
マネジメントコンソールにログインし、右側にある「Q」アイコンをクリックすると、下記のような画面が右サイドペインに表示されるかと思います。
筆者の環境ではポップアップブロックが有効になっていたため、初回表示時にブロックされました。利用にあたってはポップアップを許可する必要があります。
筆者の環境で利用されていないセキュリティグループ一覧を取得するように質問してみると、日本語での質問を理解したうえで、実際の環境に基づき、セキュリティグループの一覧を提示してくれました。
事前情報を生成AIに伝えることなく、自然言語を理解して、調査をしてくれるのは大変ありがたいアップデートだと思います。
ただし、やり取りが可能な内容はテキストデータのみです。画像データを使った質問などはできないので、今後のマルチモーダル対応も期待されます。実現すれば、アーキテクチャ図を読み込ませて改善点を質問したり、UIのスクリーンショットからコードを生成したりといった、より高度な活用が可能になるでしょう。
