AI時代の組織で重要なのは、互いの専門領域を超えること
技術的な基盤がどれほど整っても、それを使いこなす組織のOSが古いままであれば価値は生まれない。岡本氏は、組織の構造自体を「ハイブリッド型のマトリクス組織」へと進化させる必要性を指摘する。これは、エンジニアとしての深い専門性を追求する一方で、事業価値に直接コミットする柔軟さを併せ持つ組織のあり方だ。
AIがコードを書き、デザインやPoCなどを作れるようになるこれからの時代、エンジニアはコードを書くだけ、ビジネス側は企画書を作るだけといった境界はシームレスに溶けていく。エンジニアが企画に踏み込み、企画者がプロトタイプを自ら作る。それぞれの専門性を軸足に置きつつも、領域を超えて互いに“染み出す”ことで、プロダクト開発のサイクルは劇的に高速化する。
岡本氏は「全員がAIプロダクトマネージャー」としての視座を持つことが主流になると予測している。失敗を恐れず挑戦し、職種の壁を超えて価値創造に没頭できる文化。この新しい組織OSの装着こそが、変革の核心である。
再び訪れた産業革命の渦中を楽しむ──今、エンジニアが立つべき場所
こうした変革の種は、すでに具体的なサービス成果として芽吹き始めている。法人向けスカウトサービス「doda ダイレクト」では、大規模言語モデル「LLM」を活用した「検索条件の自動生成機能」を導入し、ダイレクトリクルーティング業務の準備工数を大幅に削減することに成功した。
また、プロダクトへの活用を見据えたAIの研究・開発も進めている。汎用的なGPTに頼るだけでなく、コストと精度の両立を目指し、「自社開発の小規模言語モデル(SLM)」の構築にも成功した。人材業界ならではの専門用語や、ニッチな文脈に最適化された独自AIを持つことは、今後の大きな差別化要因となるだろう。
最後に岡本氏は、現在の状況を「産業革命並みの転換期」と表現した。テクノロジーとビジネスが溶け合い、誰もが事業変革の主役になれるエキサイティングな時代だ。エンジニアにとって、これは自らの役割を再定義し、組織や事業のあり方そのものをデザインしていく「モデルチェンジ」の機会である。この変化の波を脅威として捉えるのではなく、未知の領域を切り拓く絶好のチャンスとして、共に楽しみながら進んでいこうという力強いメッセージで、セッションは締めくくられた。
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