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AMDのGPUプログラミング基盤「ROCm」とは何か──100%オープンソースで挑むソフトウェアスタックの現在地

AMDシンガポール取材レポート 前編:GPU開発環境を塗り替えつつある新勢力の今


ROCmを今日から試すための3つの入口

 ROCmを学び始めたいエンジニアに向けて、AMDはここ1〜2年で具体的な入口を複数用意してきた。

 まず「AMD Developer Cloud」は、ブラウザからAMDのGPUインスタンスに直接アクセスできるクラウドサービスで、2025年6月のリリース以来、1年足らずで週次アクティブユーザーが3万2000人を超え、累積GPU使用時間はすでに100万時間を突破した。利用の半分はアジア(APJ・中国)からだという。

 「AMD AI Playbooks」は、ROCmスタックを使った即席レシピ集だ。PyTorchやvLLM、LM Studio、ComfyUI、OpenWebUIなど用途別のレシピが揃い、コードをほぼそのままコピーして試せる。「箱から出してすぐ使えるサンプルがあり、それを修正してニーズに合わせて適用できる」というのがRoane氏の説明で、ハンズオンワークショップのような場でも積極的に活用されている。

AMD AI Playbooks
AMD AI Playbooks

 そして「AMD AI 開発者プログラム」は、2026年1月に正式ローンチした開発者登録制度で、登録するとDeveloper Cloudの無料クレジット(100ドル分)、早期アクセスツール、ワークショップやハッカソンへの招待状が届く。Jung氏もハンズオンの最後に「ぜひ登録してください」と呼びかけていた。ローンチからわずか3〜4か月で10万人以上が参加している。

AMDが語る、オープンスタックを整える意義

 ROCmの変化は、実際に使ってきたプレイヤーからも証言されている。イベントに登壇したTensorWave共同創業者のPiotr Tomasik氏はこう振り返る。「MI300Xに初めて取り組んだ頃は、ROCmを機能させるために手動でコンパイルする必要がありました。でも今は1回のコマンドでインストールできます」。

 AMDがオープンソースにこだわる理由についてRoane氏はこう語る。「コミュニティの100%が私たちのスタックに貢献できるようにしたい」。vLLMやSGLangとの深い統合、Playbooks、Developer Cloudといった開発者向けインフラは、そのビジョンを実体化させるための取り組みだ。

 今後の展開として、Roane氏はWindows上でのROCmデプロイの簡略化とMacとの接続対応を予告した。GitHubには「TheRock」と名付けた再設計版のROCmが公開されており、「どんなコンピュータ上でも簡単にビルドできるコンパクトなバージョン」だという。データセンターからローカル環境まで、ROCmの対応範囲は広がり続けている。

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この記事の著者

近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)

株式会社翔泳社 CodeZine編集部 編集長、Developers Summit オーガナイザー。1986年岡山県生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学工学系研究科建築学専攻修士課程修了。フリーランスを経て2014年株式会社翔泳社に入社。ソフトウェア開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集・企画・運営に携わる。2018年、副編集長に就任。2017年より、ソフトウェア開発者向けカンファレンス「Developers...

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