「外向きのDX」実現のため需要が高まるオブザーバビリティ
まず、日本市場参入から3年が経過した、New Relicのビジネス概況について紹介された。
「これはあくまで私の印象なんですが」と前置きしたうえで、ビジネスの世界において、ポストコロナ、アフターコロナといった言葉を聞く機会が減ってきたと小西氏は語る。多くの企業がウィズコロナであるという現実を受け止め、自らのビジネスモデルやサービスをデジタルにシフトし、内向きではなく、外向きのDXに対する本気度が増してきたのだと言う。
外向きのDXを実現するためのサービスはビジネスそのものであるため、消費者にとって使いやすくなくてはならないし、簡単に壊れてもいけない。また、一度作ってリリースして終わりではなくて、定期的に性能改善や機能追加をして、ユーザーの要求に応え続けていく必要がある。それを実現するために日増しに需要が高まっているのが、オブザーバビリティという技術領域だ。
New Relicが日本市場に参入して約3年が経過した。その間、2019年5月にはNew Relic Oneをリリース、同年9月には日本語サポート拠点を開設、2020年8月には、費用対効果を最大化するために、価格体系をシステム従量課金からユーザー課金へと変更した。
New Relicは日本市場参入からこれまで、エンタープライズにフォーカスするという戦略を取ってきた。昨対比で10倍以上のビジネス成長を遂げ、日本法人はグローバルで最も高い成長率となっていると紹介した。
調査から見えてきた日本のオブザーバビリティの実態
続いて小西氏は、New Relicが実施した「オブザーバビリティ調査レポート」の中から、日本企業の実態に関する特徴的なデータを3つ紹介した。この調査は、日本の185社を含む全世界1300社の企業を対象に、オブザーバビリティの認知度や成熟度の現状、それらに関わるテクノロジーの採用傾向などを調査したものだ。
まず、オブザーバビリティの理解度について。オブザーバビリティに関して「全くわからない」と答えたのは、グローバルで見ると10%に留まるが、日本は36%にのぼる。「日本はこの分野で出遅れている現状が伺える」と小西氏は語る。
続いて、パフォーマンス監視として何を対象にしているかという調査。監視対象としてアプリケーションやインフラ、データベースを回答する割合は、日本もグローバルも大きな違いはない。一方、「デジタル顧客体験」を監視対象にしていると答える割合は、グローバルでは40%、日本は17%と大きな開きがある。
最後に紹介するデータは、Kubernetesやコンテナの採用状況だ。「コンテナ化は検討していない」と回答する割合が、グローバルでは12%、日本は46%という結果だった。日本がコンテナ化を進められない背景として「人材やスキルが不足していて、管理や制御ができないという声がある」と小西氏は付け加える。