量子コンピュータの基本ソフトウェアをGitHubでOSS公開
量子コンピュータは、チップ単体の量子ビット数というハードウェアのスペックばかりが注目されがちだ。しかし、ノイズに極めて敏感な量子ビットを安定して制御し、ユーザーが実用的なアルゴリズムを実行できる環境を構築するためには、トランスパイラによる緻密な最適化や、QDashのような自動キャリブレーション基盤といったソフトウェアの介在が不可欠だ。
キャリブレーション自動化ツール「QDash」が生んだ成果
また、本プロジェクトが「OQTOPUS」という形でオープンソースソフトウェア(OSS)として公開されたことの意義も極めて大きい。量子技術の発展には、一部の特権的な研究機関だけでなく、幅広い企業のエンジニアや研究者が参画するエコシステムの形成が必要不可欠だ。OSS化により、民間企業が開発に参画し、さらには大阪大学発のスタートアップの技術がシステムコンポーネントとして組み込まれるという、見事なオープンイノベーションが実現している。
本公演では、未知のディープテック領域に参入する際の有効なアプローチも示唆している。自組織のみで垂直統合型の開発を行うのではなく、産学官連携の枠組みに参画し、OSSを通じて知見を共有しながら業界標準の形成に寄与していくことが、長期的な競争力強化に繋がるのだ。
量子コンピュータは、実験室の「装置」から「コンピュータシステム」へ
現状の量子コンピュータは、産業応用に向けてまだ黎明期を脱したばかりの発展途上の段階にある。しかし今後の実用化を考えれば、大阪大学が取り組む、実験室の「装置」からクラウド上の「コンピュータシステム」へと進化させる運用技術の追求が必要だ。
「現状はその実験装置レベルなのですが、さらに運用技術を磨いて精度を上げることによって、コンピュータシステムとして運用できるようにしていこうと取り組んでいます。」
大阪大学では、座学と実機を用いたグループワークを組み合わせた「量子ソフトウェア勉強会」を定期的に開催しており、これを契機に共同研究や国家プロジェクトへと発展するケースも生まれているという。
本格的な量子コンピュータの実用化へ、泥臭く地道な取り組みによって、そのプロセスは確実に進んでいる。
