料金体系と無料枠
Playwright Workspacesは、Azure App Testing配下のサービスとして、テスト実行分(test minutes)に応じた従量課金で提供されています。
従量課金の考え方
課金の基本単位は「テストの実行分」です。1台のクラウドブラウザを1分間起動するごとに1分とカウントされ、並列数を増やせばその分だけ実行分も加算されていきます。たとえば10並列で5分実行した場合、消費する実行分は10×5=50分となります。最新の単価は公式の料金ページで確認できます。並列度を上げれば総実行時間は短縮されますが、消費する実行分の合計はおおむね同じになる点に注意してください。
無料トライアル
新規にWorkspaceを作成すると、30日間で100テスト分までの無料利用枠が提供されます。学習や試験的な評価には十分な容量となっており、無料枠を使い切った後は自動的に従量課金へ移行する仕組みです。意図せず課金を発生させたくない場合は、Azureの予算アラートを併せて設定しておくと安心して利用できます。
Playwright Workspacesが向くシーン・向かないシーン
全てのE2Eテスト案件にPlaywright Workspacesが最適というわけではありません。サービスの特性を踏まえ、向き・不向きを整理しておきましょう。
導入効果が大きいケース
次の状況では、Playwright Workspacesの導入効果が特に大きくなります。
- テスト件数が多く、ローカルやセルフホストCIでの実行時間が10分を超えている
- 複数ブラウザ(Chromium/Firefox/WebKit)と複数OS(Windows/Linux)の組み合わせを毎回検証する必要がある
- モバイル端末(Android Chrome/iOS Safari)でのテストもCIで毎回回したい
- チームの規模が大きく、複数開発者・複数プルリクエストでE2Eテストを並行実行する
- テスト結果のチーム共有やレビューを効率化したい
OSS単独でも十分なケース
一方、次の状況ではOSS Playwrightを単独で使う方が適切な場合があります。
- テスト件数が少なく、ローカルでも数分以内に完了する
- 対象ブラウザがChromium系のみで、OSもLinuxのみで十分
- テスト結果は開発者個人で見られればよく、チーム共有の需要が薄い
- コストをまず最小化したい個人開発・学習用途
なお、OSSとWorkspacesは併用可能なので、開発時はOSS、CI時はWorkspacesという使い分けも有効な選択肢です。本連載で扱う簡易TODOアプリのような小規模題材でも、第3回・第4回で並列実行とCI統合の効果を体験できる構成としています。
まとめ
今回はMicrosoft Playwright Workspacesの概要として、E2Eテストにまつわる課題、OSS Playwrightとの関係、親サービスであるAzure App Testingの位置づけ、アーキテクチャと主要機能、料金体系、向き・不向きの判断基準を紹介しました。
クラウドブラウザによる大規模並列実行と、Azureポータル上での結果可視化が最大の特徴であることを押さえておきましょう。テストコードはOSS Playwrightをそのまま流用できるため、既存資産を捨てずに段階的に導入できる点も大きな魅力です。
本連載では、次回以降ハンズオン形式でPlaywright Workspacesの実利用方法を解説していく予定です。第2回では実際にAzureポータル上でPlaywright Workspacesリソースを作成し、Node.js/TypeScriptで実装した簡易TODOアプリに対するE2Eテストを、ローカルからクラウド実行できるところまで解説する予定です。
