「AI作りもOpsが本質?」データサイエンティスト協会委員・アイシア=ソリッド氏が語るAI開発の未来
【19-C-1】「あのAI、ウチでも作って!」と言われたら? データ・AIプロジェクトに役立つ知識と進め方
ChatGPTの登場やRAGの普及によって技術的ボトルネックが次々と突破される現代のAIシステム開発において、プロトタイプから実運用の移行時に立ちはだかる「評価」のプロセスは、多くのエンジニアを悩ませる極めて厄介な問題だ。特に入力も出力も自然言語という曖昧なAIの挙動を、エンジニアの「勘」だけで修正し続けることは、プロダクションレベルの品質担保において致命的なリスクとなりかねない。このようなシビアな課題に対し、データサイエンティスト協会のスキルチェックリスト改定にも携わってきたバーチャルデータサイエンティストのアイシア=ソリッド氏が、CI/CDやDevOpsのスキルを駆使した実践的な解決策と、AI開発の未来を示した。
アルゴリズム自動化がもたらす、ITエンジニア主役のAI時代
アイシア=ソリッド(以下、アイシア)氏は、もともと数学や統計学を専門とし、データサイエンティスト協会のスキルチェックリスト改定にも深く携わってきた経歴を持つ。現在は自ら転職サイトの運営を手がける傍ら、「ハローワールド」の挨拶でもおなじみのVTuberとしての顔も持つ、異色のデータサイエンティストだ。
アイシア氏はまず、AI技術を取り巻く環境の変化を振り返った。かつてはデータ分析がもてはやされ、ビッグデータや統計学が注目を集める時代があった。
しかし、2021年に「スケーリング則(Scaling Law)」が提唱され、計算資源を投入すればAIが賢くなることが論文レベルで明らかになった。その後、ChatGPTの登場やRAG(検索拡張生成)の普及が示すように、情報処理における技術的なボトルネックは次々と突破されてきている。
「AIはもう人間より賢くなってきたんじゃないですか。人間が想像するようなことは、もう超えられるようになってきた」とアイシア氏が指摘する通り、現在のAIはプログラミングや複雑な推論において人間を凌駕するほどの賢さを身につけつつあるのだ。
こうした時代においては、未来を予測すること自体があまり意味を持たなくなってくる。今問われているのは、「自分が何を作りたいのか、何を作ることに熱量を捧げられるのか」というスタンスだ。
フィジカルで人間を超えるロボットや、良質なエンターテインメントが世の中に溢れる中で、作り手の熱量こそがプロダクトの競争力を左右する。アイシア氏の「世間は何を求めているんだろうと読みに行くことはあまり意味がないと思っていまして、どちらかと言うと自分が何を作りたいのか、何を作ることに熱量を捧げられるのか」という言葉からは、技術的な制約が取り払われた今こそ、作り手自身のビジョンが試されていることがうかがえる。

そして、この変革期に最も輝くのが、現場のITエンジニアたちだ。AIの本質は「計算機とアルゴリズムとデータの組み合わせ」だが、現代ではアルゴリズムを作るコストはAI自身の力でほぼゼロに近づいている。
その結果、残された最も重要な要素は「計算機をいかに使いこなすか」という点にシフトした。「デベロッパーの皆さんの時代になったなと思っています」とアイシア氏が語るように、かつて「最もセクシーな職業」とされたデータサイエンティストたちの役割は変わりつつある。その結果、インフラからアプリケーションまでを自在に扱うデベロッパーこそが、これからのAI開発を牽引する主役になるのだ。
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小玉 莉子(編集部)(コダマ リコ)
株式会社翔泳社 CodeZine編集部、Developers Summit FUKUOKA/Developers Boostオーガナイザー。公立はこだて未来大学情報アーキテクチャ学科情報デザインコース卒。2022年に新卒で翔泳社へ入社し、CodeZine編集部に配属。好きなものは、車と動物とポーカー。愛車は200系Crown。 Twitter:@rico01_CZ Facebook
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