Dateの問題点3:オブジェクトがミュータブル(可変)である
Dateオブジェクトは、値を直接書き換え可能(ミュータブル)です。Dateの登場時はいざ知らず、現在のトレンドとしてはオブジェクトは不変(イミュータブル)がよろこばれます。以下のリストを見てください。
function dateChanger(date) {
date.setFullYear(2025);
date.setMonth(6);
date.setDate(20);
}
let date = new Date(2026, 5, 2, 12, 34, 56);
console.log(date.toString()); // Tue Jun 02 2026 12:34:56 GMT+0900 (Japan Standard Time)
dateChanger(date);
console.log(date.toString()); // Sun Jul 20 2025 12:34:56 GMT+0900 (Japan Standard Time)
このリストでは、関数dateChangerでDateオブジェクトを書き換えていますが、それを知らないと不可解な値の変化に悩まされるはずです。
このように、ミュータブルなオブジェクトは、同じ参照を持つ他の処理に悪影響を及ぼす危険性があります。どこで日時情報が書き換えられているかを常に意識していないと、思わぬ不具合に悩まされるかもしれません。これは、コードの可読性と保守性を著しく下げてしまいます。
これに対応するには、オブジェクトを書き換える前に新しいオブジェクトとして複製して、そちらを書き換えるといったことを意識的に行う必要があります。
Temporalではオブジェクトはイミュータブル(不変)で安全に取り回せる
Temporalで生成されるオブジェクトは、いったん生成されたらイミュータブルです。このため、どこかで不用意に書き換えてしまうといったことが起きません。オブジェクトの一部を変更するメソッドでは、変更した結果である新しいオブジェクトを返します。
このため、元のオブジェクトは変更されないまま残り、安全に取り回すことができ、Date利用時で起きがちなバグの原因の一つである、可変オブジェクトの問題から解放されます。
以下のリストは、ZonedDateTimeオブジェクトを返すdateChanger関数の定義とその呼び出しです。関数内で使われているwithメソッドは元のZonedDateTimeオブジェクトとは別に新たなオブジェクトを返すので、関数の呼び出し後に元のオブジェクトが変更されていることはありません。
function dateChanger(date) {
// 日付を書き換えて新たなオブジェクトを返す
return date.with({ year: 2025, month: 7, day: 20 });
}
const date = Temporal.ZonedDateTime.from({
year: 2026,
month: 6,
day: 2,
hour: 12,
minute: 34,
second: 56,
timeZone: "Asia/Tokyo"
});
console.log(date.toString()); // 2026-06-02T12:34:56+09:00[Asia/Tokyo]
const date2 = dateChanger(date);
console.log(date2.toString()); // 2025-07-20T12:34:56+09:00[Asia/Tokyo]
ZonedDateTimeクラスのfromメソッドでは、日時オブジェクトからインスタンスを生成できます。日時オブジェクトとは、yearからtimezoneに至るキーを持つ日時表現のためのオブジェクトで、ここで使われているwithメソッドは日時オブジェクトで書き換えたインスタンスを新たに生成して返します。日時オブジェクトは、withメソッドをはじめとして、addやsubtractなどの日時演算メソッドでも使われます。
まとめ
今回は、来たるECMAScript 2027で標準化予定の新しい機能であるTemporalを紹介しました。かつての標準であるDateの問題点を改めて浮き彫りにして、それとの対比で一部機能を紹介しましたので、Temporalの優位性を示すことができたのではないかと思います。
次回は、この続きとして、改めてDateの問題点を示しながらそれに対するTemporalのアプローチを紹介していきます。
