ネットワークがコンピュータに
また現在、ネットワークそのものがコンピュータになってくる傾向があるとして、Yahoo! ResearchのChiefであるPrabhakar Raghavan氏の「地球にはGoogle、Yahoo、Microsoft、IBM、Amazonの5台のコンピュータがあれば事足りる」という言葉を引用した。今後個人の使用するPCはかつてのダム端末のような存在に戻り、重要なデータは物理的な場所の分からない空間に保持される形態となっていくと予想できる。
ムーアの法則とギルダーの法則の比較で言えば、性能はコンピュータが18カ月で2倍になっているのに対し、ネットワークは6~9カ月で2倍になっている。つまり今後、コンピューティングの実行環境は、物理的位置に縛られなくなっていくと言うことを意味する。またNicolas Carr氏の著書「THE BIG SWITCH」には、「インターネットはワールドワイドなコンピュータに進化する」と記述されていることも紹介した。
Googleのデータセンター
Googleの特徴の一つとして、根本氏はGoogleの電力消費に関するレポートを紹介した。このレポートによると、Googleサービスにおけるパフォーマンスおよびコスト当たりのパフォーマンスは向上しているが、消費電力は変化していない。これは、Googleが低価格PCの大量使用という形態で発達してきた経緯があり、確かに発足当初、購入コストは低く抑えられたが、余りに急速に巨大化したため、電力消費の観点での最適なシステム構成とは言いにくい状態になってきている点が考察できる。
なお、Googleのメインのデータセンターのひとつはオレゴン州にある。ここにはGoogleだけでなくYahooや Microsoft、Ask.comなど多くのデータセンターが集中し、データセンター銀座となっている。これは、近くのダレス川の水力ダムから取れる電力量が大きく、電気代がカリフォルニア州に比べて半分から3分の1で済むこと、PC-1(Pacific Crossing)という太平洋横断ケーブルの揚陸地点のひとつに近いこと理由だという。
また、非常に珍しいことに、データセンターの写真も公開されていた。これを見ると、管理棟、1号棟、2号棟で構成されるデータセンターが対称形で2つ存在していることが分かる。煙突のような構造がクーラーの排熱機で、その規模で使用電力も想像できる。Googleは、データセンターを必ず1拠点に2個以上建てている、これは以前、火事によってデータセンターを焼失した経験があるためだ。これは世界最大のクラスタ構造と見ることができる。