マイクロソフトは5日、ソフトウェア開発者を対象とした交流イベント「Microsoft Developer Forum 2008」を六本木アカデミーヒルズにて開催した。同社が目指すソフトウェア開発の方向性の紹介や、開発者との意見交換が目的で、Microsoft MVP、ITベンチャー企業、理科系・情報系の大学生、一般公募と、多彩な約90名の参加者が集った。
開発者向けの取り組み
マイクロソフトに対するITエンジニアからの主な要望として、「技術情報をもっと日本語で提供してほしい」「気軽に相談できる窓口がほしい」「次世代ユーザーエクスペリエンスを実現するための技術情報がほしい」の3点を挙げ、それぞれに取り組んだ成果を報告した。
日本語による技術資料は、今年8月からの3か月間で約3,000ページ拡充し、WPF・IE8・Silverlightといった主要技術については、既に7,500ページ以上の情報が提供されている。同社の技術ポータルへのアクセス数も前年比で2倍以上になった。
また、MSDN、Microsoft TechNetが4日の晩にリニューアルし、レイアウトが共通化された。必要な情報にリーチしやすい目的別タブ構成への変更、「MSDNブックマーク」というソーシャルブックマーク機能の追加、Live Searchとの統合による検索機能の強化等、各種改善も行われている。MSDNライブラリのコード検索も可能になり、今後はCodePlexやMSDN Code Galleryもサーチ対象に含めていく予定だという。
気軽に相談できるサービスについては、MSDNフォーラムやTechNetフォーラムにおいて、2008年1月から同社のエンジニアもサポートに加わったことで、参加者がそれぞれ約40%・約75%増え、回答率は約2倍になった。
次世代ユーザーエクスペリエンスを実現するための技術情報として、ポータルサイト「PROJECT UX」を立ち上げ、WPF・Silverlight・Vista・IE8の、4つの技術情報や事例を紹介している他、開発経験を他者と共有できるキャンペーンを実施しており、既に50~60件の応募が集まっている。
マイクロソフト株式会社 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長 大場章弘氏は、先月末、米国で開催されたPDC 2008の印象について、「マイクロソフトのあらゆる技術が“ソフトウェア+サービス”戦略に向け、一つの方向に整合性を持ってきたことが実感できた」と述べた後、それらを日本語で紹介する「Microsoft Tech Days 2009」というイベントを、2009年1月27日から28日の2日間にかけて行うと告知した。
今後の展開としては、技術情報の量だけではなく質の向上や、コミュニティ支援による双方向の情報発信の強化、お客様の声に対する取り組みの強化を挙げ、今後の取り組みに期待して欲しいと述べた。
次世代開発環境の方向性
続いて、マイクロソフト株式会社 デベロッパー&プラットフォーム統括本部 部長 平野和順氏がPDC 2008で発表された技術情報のハイライトを紹介した。
新しいプログラミング言語の見所は、実行時にデータ型を決められる動的プログラミング対応や、マネージドコードでParallelを実現する等の並行・並列処理の強化、マネージドコードとネイティブコードとの互換性強化、F#やIronRubyといった新言語の正式紹介等。
.NET Framework 4.0はアイコンが青いNのイメージに一新され、CLRも4.0になり、動的言語、並行・並列処理、最新プラットフォームへの対応が行われる。
Visual Studio 2010は、WPFベースのマネージドコードのUIが予定されており、HTMLスニペットの強化やモデリングのサポート、デバッギングのヒストリ記録やUIの再現テスト・自動実行によるテスト機能の強化等が行われる。
「Oslo」と呼ばれるモデル駆動アプリケーション開発のためのプラットフォームも一部紹介された。