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イベントレポート

Microsoft Developer Forum 2008開催
参加者とバルマーCEOがライブで意見交換


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コンピューティングの今後

 米Microsoft社 CEOのスティーブ バルマー氏は、コンピューティングの今後について、同社のミッション「世界中のすべての人々とビジネスの可能性を最大限に引き出す支援を行う」に基づき、PCや携帯、テレビといったデバイス間をつなぐインターネットのパワーとソフトウェアを組み合わせ、つなぎ目のないエクスペリエンスを構築することと述べた。また、プラットフォームに対してはソーシャルコンピューティングの導入展開を進めていきたいとした。

米Microsoft社 CEOのスティーブ バルマー氏
米Microsoft社 CEOのスティーブ バルマー氏

 そういった意味でも注目される、先日発表されたクラウドサービスプラットフォーム「Windows Azure」についてはWindowsのバージョンの一つであることを強調。クラウドに期待される拡張性・耐障害性を持ちつつ、.NETのアプリケーションを動かすことができ、将来的にはWin32アプリケーションへの対応も予定している。

 また、クラウドの重要性を強調しつつも、世界は即100%クラウドコンピューティングベースに移行するとは思わないとも述べ、クラウド型と自社運用型の対象的な両プラットフォームを開発者とエンドユーザに展開してつつ、互換性や再利用性による開発生産性の向上や一貫性の実現に今後も努力していきたいと述べた。

対象的なプラットフォームの両立
対象的なプラットフォームの両立

 忘れてはならないこととして、最終的にシンプルさ・使いやすさ・楽しさといった、エンドユーザー主導のコンピューティング環境が重要であることや、優秀なアプリケーションは1か所だけではなく複数環境で動かせる必要があることを指摘した。

スティーブ バルマーへの質問

 続いて行われたバルマー氏と開発者との質疑応答セッションでは、3つのテーマに関してディスカッションが行われた。主な質疑応答の様子を紹介する。

マイクロソフトのプラットフォーム戦略について

 Q:「ユーザーエクスペリエンス(UX)に興味はあるが、顧客のニーズがあまりない。海外での状況は」(向井真人さん)

 A:ほとんどのビジネスにおいて、直接UXに対する興味はないと思うが、自社のWebサイトの顧客満足度を上げユーザを増したい、そのためにUXが必要といった間接的な目的であれば、興味を示しやすいと思う。

 Q:「プラットフォーム開発において、どのように環境問題への対応を考えているか(特に省電力)」(一般公募)

 A:我々は、消費電力・エネルギー効率を非常に重要視しており、クリーンな水力発電を利用したデータセンターを初めとし、さまざまな取り組みを行っている。また、消費エネルギーをいかに減らすのかも重要だが、世界人口の50%は電力のアクセスがなく、エネルギー普及が貧困の撲滅にかかせない。そのための研究開発やツール作成にも貢献していきたい。

開発者の職場環境、開発者が直面している課題

 Q:「開発の低予算化、短納期化が求められ、品質管理すら十分できないことがある。なにか解決策があるか」(大鷲和紀さん)

 A:最終的に3、4のアプローチがあると思う。第一にツールを提供して、もっと早く、品質に余裕を持ってアプリケーションを構築できるようにすること。第二に更なるツールを適用してテストや品質向上を手助けすること。第三に他の人のソフトウェアの資産を再利用して、コードを書く量を減らすこと。マイクロソフトでは、新しい情報をいち早くキャッチアップしてもらうために、技術情報やトレーニングをどんどん日本語で提供するようにしている。

 Q:「日本では上流工程が重視され、下流工程が軽視されがちです。マイクロソフトは、どのように技術者のやるきを維持しているのか」(大久保仁さん)

 A:自分が手がけたものが何百万人に使ってもらえるという意味で、動機付けとしてはみなさんよりちょっと有利な立場にあるかもしれません。一般的には、インスピレーションをもたらす革新・想像性の面と、運用・スケジュールといった規律面のバランスにあると思う。また、ユーザーの評価や売上高といった様々なフィードバックを知ることも、モチベーションの向上に繋がると思う。

日本の開発者としてマイクロソフトに期待すること

 Q:「ゲーム開発について、特に日本市場に対する取り組みを聞かせてください」(赤坂玲音さん)

 A:ゲームの視点では日本は非常にキビしい市場。我々はベストを尽くしているが、相対的にXboxのシェアは小さい。もっと重要なプラットフォームとして、Windows Mobileがあると考えており、XNAもそちらへの展開を検討している。PCも、ゲームプラットフォームとしてもっとも重要なものの一つと考えている。

 Q:「デバイスドライバの開発に必要な署名が、個人では取得できなくなっている。セキュリティ面での保護強化が、個人レベルの自由な開発を妨げているのでは」(宮崎典行さん)

 A:いい質問です。ぜひデベロッパーチームと検討したい。後日、日本チームに答えを出すので、伝えてもらいます。


 最後に、バルマー氏は「本日時間を割いてくれたことに感謝しており、皆さんの幸運を祈っている。ベストを尽くし、新しいクラウドコンピューティングの手伝いをしていきたいと思っている」と述べ、フォーラムを締めくくった。

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この記事の著者

斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)

株式会社翔泳社 ProductZine編集長。1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開発専門のオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」の企画・運営を2005年6月の正式オープン以来担当し、2011年4月から2020年5月までCodeZine編集長を務めた。教育関係メディアの「EdTechZine(エドテックジン)」...

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