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Zend Framework入門

Zend Framework入門(18):
ウィジェットDijitでビュー開発を効率化しよう - Zend_Dojo(後編)-

Zend Frameworkによる実践的なPHPアプリケーション開発 18

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レイアウトとウェブフォームを併せて使う

 最後に、DijitレイアウトとDijitウェブフォームを併せて使う方法を簡単に紹介します。最初に説明したとおり、Dijitレイアウトはペインごとに入力を必要とします。一方でウェブフォームはウェブフォーム単位でまとめて出力されます。そのため、通常の方法ではウェブフォームの中身の一部をあるペインに、別の一部を他のペインに...ということはできません。では、一つのフォームの内容を複数のペインに分割して表示するにはどのようにすれば良いでしょうか?

 これを実現するためには、

  1. ペインごとに分割したい内容を子フォーム(Subform)に登録するようにし、
  2. 親フォームがレイアウトのコンテナとして、子フォームがペインとしてふるまうようにそれぞれにデコレータを登録する

という方法があります。デコレータは、ウェブフォームのオブジェクトがどのように描画されるかを変更するためのZend_Formの仕組みで、フィルタのように前から受け取った内容を加工し、後ろに出力します。

 では、まず各フォームのデコレータの変更を見ていきましょう。

[リスト13]デコレータの変更
//(親)フォーム
$form = new Zend_Dojo_Form;

...

$form->setDecorators(array(
        //TabContainer以外のデコレータ
        'FormElements',
        //TabContainerとしてふるまうためのデコレータ(1)
        array('TabContainer',
            array(

...                          //TabContainerのパラメータ

            )
        ),
        //TabContainer以外のデコレータ
        'DijitForm'
    )
);

...

//子フォーム
$subform1 = new Zend_Dojo_Form_Subform;

...

$subform1->setDecorators(array(
        'FormElements',
        array('HtmlTag', array('tag' => 'dl')),
        //ContentPaneとしてふるまうためのデコレータ(2)
        'ContentPane',
    )
);

...

 リスト13の(1)を含むメソッド呼び出しでは親フォームのデコレータを設定しています。前にある「FormElements」と後にある「DijitForm」は標準でも使われるデコレータなので、そのまま登録されるようにしておきます。その間にある「TabContainer」デコレータの登録がミソで、これを入れることでこの親フォームがDijitレイアウトのTabContainerとしてふるまいます。

 (2)でも同様に、子フォームのデコレータを設定しています。こちらは「ContentPane」デコレータを登録することで、Dijitレイアウトのペインとしても機能するようにしています。

 この後は分散したいウェブフォーム要素を子フォームに登録し、通常どおり出力すればペインごとに分割されたフォームを作成することができます。Tabレイアウトとフォームを組合せたサンプルの実行結果が図17です(サンプルはhttp://localhost/index/formtabで表示されます)。

図17:タブにフォームを分散して配置
図17:タブにフォームを分散して配置

 このように、ちょっと手続きが複雑ですが柔軟なウェブフォームとレイアウトを組み合わせることができます。

おわりに

 今回はDojo Toolkitの高機能ウェブウィジェットDijitをZend_Frameworkから使う方法について説明しました。カスタムウェブフォーム要素やレイアウトを少し活用するだけで、随分と見栄えのするページを作成することができると思います。

 次回はテキスト検索エンジンのZend_Search_Luceneモジュールの紹介を行います。Zend_Search_Luceneは完全にPHPで書かれたテキスト検索エンジンで、ローカルのファイルに索引を持つため、他のプログラム等に依存せずに利用することができます。名前の通り索引の形式がApache Luceneと互換性があるため、Apache Luceneで作成した索引をZend_Search_Luceneで利用することも可能ですし、HTMLファイルやOffice 2007のファイル(Word 2007、Powerpoint 2007、Excel 2007のファイル)から自動的に索引を作る機能も持っているため、ファイルを管理するシステムを手軽に作ることができます。

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 風田 伸之(カゼタ ノブユキ)

WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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