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Developers Summit 2024 セッションレポート

生成AIを活用した機能を爆速でリリースしてみてわかった、エンジニアが将来の技術革新に備えるべきこと

【16-B-4】生成AIを搭載したプロダクト開発~少人数で爆速リリースしてわかったこと~

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 上長からある日突然、「最新技術を使って3か月でプロダクトをリリースしてほしい。チームメンバーは2人で」と言われたら、あなたはどうするだろうか。この無茶振りとも言うべきオーダーに果敢に立ち向かい、見事成功を収めたのが、株式会社LegalOn Technologiesの渡辺 凌央氏だ。成功の秘訣は、冒頭で必要な作業や事柄をすべて洗い出し、活用できるリソースもすべて活用し、少人数で連携を取りながら開発を進めたこと。本講演では、渡辺氏が実際に生成AIを搭載したプロダクト開発に従事した経験と、それによって得られた知見、さらにエンジニアが将来の技術革新に備えておきたい3つのポイントについて語った。

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3か月で生成AIのプロダクト開発に挑戦! まず何をする?

 「質問です。明日何らかの分野で技術革新が起きて、上長から『3か月後に、その技術を活用した機能をリリースしてほしい。あなたは今日からこのプロジェクトのリーダーです』と言われたら、何をしますか」。

 衝撃的な問いかけから始まった講演だが、これはちょうど1年前、2023年2月16日に渡辺氏に起こった実話だ。

 渡辺氏の所属する株式会社LegalOn Technologies(旧:株式会社LegalForce)は、弁護士の法務知見と自然言語処理技術や機械学習などのテクノロジーを組み合わせ、法務業界のイノベーションを推進するサービスの開発・提供を行う企業だ。このうちAIレビューサービス「LegalForce」は、契約審査の品質向上と効率化を実現するシステムであり、米国でも「LegalForce」をベースにしたサービスとして「LegalOn Global」を展開している。

株式会社LegalOn Technologies エンジニア Webアプリケーショングループ 渡辺 凌央氏
株式会社LegalOn Technologies エンジニア Webアプリケーショングループ 渡辺 凌央氏

 そして渡辺氏に与えられたミッションは、日本向けサービス「LegalForce」に生成AIを搭載した「条文修正アシスト」、および米国向けサービス「LegalOn Global」に生成AIを搭載した「AI Revise」の各機能の開発だった。

生成AIの登場前は「修正に何時間もかけていた」という契約書。「条文修正アシスト」「AI Revise」による効率化は「魔法のよう」だ。
生成AIの登場前は「修正に何時間もかけていた」という契約書審査。「条文修正アシスト」「AI Revise」による効率化は「魔法のよう」だ。

 プロジェクトメンバーは、渡辺氏ともう一人のエンジニアのわずか2人。「奇抜なアイデアが降ってきたな」と困惑しつつ、渡辺氏はまず、開発における前提条件を整理するところから始めた。

驚くべき状況のなかで、まずは前提条件を整理
驚くべき状況のなかで、まずは前提条件を整理

 初めに取り掛かったのは、開発によって実現したいことの確認である。「ユーザーのどのような課題を解決するべきか」「ユーザーに毎日使ってもらえるプロダクトとは」「限られた期間・リソースのなかでできることは」。時間を無駄にしないためにも、明確なゴールの設定は不可欠だ。

 次に、リリースまでに必要なタスクを全て洗い出す。通常のシステム開発において必要なタスク、たとえば技術調査や顧客ヒアリング、開発・実装、UI/UX、セキュリティといったことはもちろん、生成AIに最適化したプロンプト開発など、やるべきことはすべて洗い出した。

 さらに、「クリティカルパスを見つけることも大事だった」と渡辺氏は続ける。クリティカルパスとは、プロジェクト開発において最も時間がかかると考えられる作業フローのことだ。これを発見することによって、プロジェクトの課題が見えてくる。

 「必要な作業をJiraのタイムラインで表示し、どこに時間がかかりそうで、どこがすぐ終わりそうかをいろいろと検討した。すると、実は開発自体にはそれほど時間はかからず、もっと別の要因で時間がかかりそうだということが分かった」と渡辺氏。「クリティカルパスを作れれば、勝負はもう終わったようなもの。あとはひたすらやるだけだ」と闘志を燃やした。

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リリースまでに何をする必要がある?

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この記事の著者

水無瀬 あずさ(ミナセ アズサ)

 現役エンジニア兼フリーランスライター。PHPで社内開発を行う傍ら、オウンドメディアコンテンツを執筆しています。得意ジャンルはIT・転職・教育。個人ゲーム開発に興味があり、最近になってUnity(C#)の勉強を始めました。おでんのコンニャクが主役のゲームを作るのが目標です。

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丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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