はじめに
前回は、多くのユーザーが普段から扱っているであろうWindows環境を「Amazon EC2」のインスタンス上で構築する方法や、構築したWindows環境で日本語を利用できるようにする方法を紹介しました。
今回は、Amazon Web Servicesが展開するCDN(Contents Delivery Network)サービス「Amazon CloudFront」を使った、高速ネットワークによるコンテンツ配信の実現方法を紹介していきます。
今までの記事
- 第1回 「AWSの概要と登録手順」
- 第2回 「Amazon S3を使いこなしてみよう」
- 第3回 「Amazon EC2を動かしてみよう」
- 第4回 「Amazon EC2を実践的に使ってみよう」
- 第5回 「Amazon EBSを活用してデータをバックアップしてみよう」
- 第5回 付録 「クラウドとサーバーを同期できる便利ツール「S3Sync」」
- 第6回 「Amazon EC2でWindows環境を構築しよう」
高速なコンテンツ配信を実現できる「Amazon CloudFront」
「Amazon CloudFront」はAmazonが提供するCDNサービスの1つです。Amazon CloudFrontでは、アカウント管理者がAmazon S3上に配置したコンテンツが、世界各国に分散して配置される仕組みになっています。これにより、アクセスの1カ所集中を回避し、分散させることが可能です。ユーザーは最もネットワーク距離の近い国のキャッシュサーバから、コンテンツをダウンロードできるようになります。
Amazon CloudFrontを利用することで、ユーザーにとっても非常に快適で、かつ効率的なアクセスの仕組みを作ることができます。
Amazon CloudFrontには、「エッジサーバ」と呼ばれる上記のキャッシュサーバが世界14カ所に設置してあります。それぞれの場所で、Amazon S3のコンテンツをキャッシュし、配信することが可能です。なお、14カ所の中には、日本(東京)も含まれているので、国内からも快適に利用できます。以下は2009年5月現在、キャッシュサーバのある場所の一覧です。
United States
- Ashburn , VA
- Dallas/Fort Worth , TX
- Los Angeles , CA
- Miami , FL
- Newark , NJ
- Palo Alt+ , CA
- Seattle , WA
- St. Louis , MO
Europe
- Amsterdam
- Dublin
- Frankfurt
- London
Asia
- Hong Kong
- Tokyo
筆者が実際に数メガバイトのコンテンツをAmazon S3に配置して国内からの通信スループットを測定した際、Amazon S3からのダウンロードが約200~300KB/sec程度であったのに対し、Amazon CloudFrontのキャッシュサーバからのダウンロードは、5~6MB/secと快適な通信を行うことが可能であったことを補足しておきます。
Amazon CloudFrontの料金体系
料金は、利用する地域によって異なります。具体的には、アメリカ、ヨーロッパ、香港、日本の4カ所に料金体系が分別されています。
Amazon CloudFrontを利用する場合、ユーザーは、Amazon S3に配置したデータ量による課金と、各国へ向けて配信したネットワーク通信料による課金を足した料金が必要となります。Amazon S3の料金については、本連載の第1回を参照ください。
Amazon CloudFrontの価格表(2009年5月現在)は、次の表のとおりです。
日本からAmazon CloudFrontを通してコンテンツをダウンロードした場合の料金は、上記価格表の「日本」の列が対象となります。
では早速、次のページから使い方を紹介していきます。