JavaFX Mobileアプリケーションの作成
JavaFX Mobileがどんなものかは分かりました。では、どのようにしてJavaFX Mobileアプリケーションを作成すればよいのでしょうか。このセクションでは、初心者向けのガイドとしてJavaFX Mobile開発を取り上げます。具体的には、必須のテクノロジの入手方法、環境設定の方法、先ほど示したアプリケーションの作成および実行の方法を述べます。ただし、JavaFXのスクリプト作成に関する詳細な解説は、本稿では行いません。JavaFXのチュートリアルとガイドについては、最後に紹介する関連情報を参照してください。
正式にJavaFXアプリケーションの開発に対応しているのは、WindowsとMac OSの各プラットフォームです。SunはLinuxオファリングを提供していませんが、NetBeans 6.5プラグインを用いてLinux上でJavaFX 1.1アプリケーションを開発する方法が開発者によって見つかっています。ここで特に重要なのは、今のところJavaFX MobileのランタイムとエミュレータはWindowsプラットフォーム用のものしかないことです。
WindowsとMac OSの双方のシステム要件の詳細については、JavaFX.com siteサイトを参照してください。JDKは、比較的最近のものが必要になります(Windowsではバージョン6アップデート7以降、Mac OSではバージョン5アップデート13以降)。
基本的なJava環境の他に、JavaFX 1.1 SDKも必要です(JavaFX.comに記載されているインストール手順に従って入手できます)。ダウンロードされるインストールプログラムは、Windows版で42MB、Mac OS版で28MBです。このSDKのインストールの際に、適切なJava SDK環境が見つからない場合はJava SDKの入手とインストールが可能です(図7はWindowsマシンにJavaFX 1.1 SDKをインストールしている様子)。
JavaFX SDKの操作
JavaFX SDKは、JavaFXアプリケーションのコンパイル、実行、テストを行う一連のコマンドラインツールを提供します。また、このSDKには、JavaFX Mobileアプリケーションの実行とテスト用にモバイルデバイスのエミュレータも用意されています。とりわけ重要なのが、SDKインストール環境のbinフォルダに入っているjavafxc.exeとjavafx.exeです。これら2つのツールは、それぞれJavaFXコンパイラと(標準のJVMで動作する)JavaFXランタイムです。
javafxcツールは、標準のjavac.exeツールと同様の働きをします。このコンパイラはJavaFXソースコード(.fxコードに保存されたファイル)を受け取り、これをバイトコードにコンパイルしてクラス(.class)ファイルを生成します。図8に、先ほど紹介したJavaFXのHello Worldコードをコンパイルする方法を示します。JavaFXコードをTest.fxというファイルに保存したうえで、そのファイルをjavafxc.exeによってコンパイルしています。図9では、コンパイル結果のファイルをjavafx.exeによって実行しています。
binディレクトリには、JavaFX用のパッケージングツールとドキュメント生成ツールも含まれています。モバイル開発者にとって、パッケージングツール(javafxpackager.exe)は特に重要です。モバイルデバイスやそのエミュレータに導入可能なモバイル用パッケージを作成できるからです。ただし、このパッケージングツールは、JavaFXコードからブラウザ用パッケージやWeb Startアプリケーションを作成する場合にも使われます。
モバイルデバイス/エミュレータに導入可能なJAD(Java Application Descriptor)およびJARファイルを作成するには、javafxpackagerツールに対して、少なくともソースコードである.fxファイルの場所を指定し(.classを先に作成しておく必要はありません)、さらにメインクラスの名前またはアプリケーションで最初に実行するクラスの名前を与える必要があります。
デフォルトでは、javafxpackagerによってブラウザまたはWeb Start環境用のデプロイメントファイルが作成されます。モバイル環境用のJADおよびJARファイルを作成するには、コマンドラインで-p mobile
オプションを指定する必要があります。この-p
は「プロファイル(profile)」を表しており、その後には「mobile
」または「desktop
」を指定します。
以下に、Test.fxファイル(この例ではc:\jfxフォルダ内にあります)からモバイル用アプリケーションを作成するjavafxpackagerコマンドの全文を示します。
javafxpackager -src c:\jfx -appClass Test -p mobile -d c:\jfx\dist
-src
オプションはJavaFXスクリプトコードのソース、-appClass
オプションはメインクラスの名前、省略可能な-d
オプションは出力先(.JADおよび.JARファイル)の指定に使っています。図10に、このコマンドの実行結果を示します。
-p mobile
オプションを指定しなかった場合(あるいは-p desktop
を指定した場合)は、図11に示すように、ブラウザまたはWeb Start実行用のHTML、JAR、JNLPの各ファイルがjavafxpackagerによって生成されます。
Windows版のJavaFX SDKには、このアプリケーションのテストに使えるエミュレータも付属しています。JavaFX SDKインストールディレクトリの/emulator/binサブフォルダ内にあるemulator.exeという実行ファイルがそれです。javafxpackagerによって生成されたJavaFXのJAD/JARファイルをテストするには、JADファイルを指定してこのエミュレータツールを起動します。JADファイルの指定には、図12に示すように、-Xdescriptor:
オプションを使います。
これらのツールとエミュレータに加え、JavaFX SDKには、サンプルアプリケーション、ドキュメント、そしてもちろんJavaFXのライブラリとAPIも付属します。