はじめに
「Apache Struts」(以下、Struts)とは、サーバサイドJava開発のデファクトスタンダードとしてあまりにも有名な、オープンソースのWebアプリケーション・フレームワークです。本連載では、そのStrutsの次世代バージョンであるStruts 2を、実際に動作するアプリケーションと共に解説していきます。
第7回目の本稿は、ActionクラスとViewレイヤーでデータを連携する仕組みと、データベースとの連携方法を解説することにします。なお、今回のサンプルアプリケーションも、バージョン2.1.6を使用して、「Zero Configuration」の形式としています。
対象読者
サーバサイドJava(JSP&サーブレット)について基本的なことは理解している方を対象とします。
データ連携
ここまでの連載で紹介してきたサンプルコードでは、ActionクラスとViewレイヤー(JSPページ)でデータを連携する場合、すべて次のパターンでした。
リクエストのJSPページ → Actionクラスのプロパティに設定 → 結果を表示するJSPページで参照(<s:property>タグを用いる)
じつはこのフローには、あるオブジェクトの存在が隠されています。直接、JSPとActionクラスがやりとりしているわけではありません。次の図のように、「ValueStack」というオブジェクトがあり、それを介して、データの受け渡しを行っています。
つまりJSPは、インターセプターを通じてValueStackに値を積み上げ、そのあとValueStackから値を参照しているのです。また、ValueStackは、Actionクラスに設定する値だけのものではなく、さまざまなオブジェクトの保管場所になっています。JSPページのタグで参照しているのは、実際にはValueStackであり、Actionクラスのプロパティ以外も参照することができます。
ValueStackの構造
ValueStackには、次のように、それぞれ異なるスコープを持つオブジェクトが保管されています。
1. 一時オブジェクト
JSPページで作成されたオブジェクトです。例えば、<s:url id ="link" action="sample">
とすると、「sample」という値をもつ一時オブジェクトが生成されます。
2. Modelオブジェクト
Modelオブジェクトについては後述します。
3. Actionオブジェクト
Actionクラスのオブジェクトです。
4. 名前指定オブジェクト
ValueStack内にデフォルトで生成されるオブジェクトです。requestや、parametersなどがあり、JSPページでは、OGNL式を用いて、「#parameters.sample」のようにしてアクセスします。主な名前指定オブジェクトは、次のとおりです。
変数名 | 内容 |
request | javax.servlet.http.HttpServletRequestのオブジェクト |
session | セッション単位で保持されるMapオブジェクト |
application | アプリケーション単位で保持されるMapオブジェクト |
parameters | リクエストパラメータのMapオブジェクト |
その他のオブジェクトは、Apache Struts 2 Documentationを参照してください。
上記1~4のオブジェクトも、一種のMapとして保存されています。オブジェクトが参照される際には、この順番で名前が検索されます。そのため、名前が衝突する場合には、優先順位に注意してください。