はじめまして、WACATE実行委員会の加瀬と申します。このたびCodeZineに、6月12日から13日にかけて開催されたワークショップ「WACATE2010 夏」のレポートを書くことになりました。どうぞよろしくお願いします。
この連載は全3回を予定しており、今回は「WACATE2010 夏」の概要や見どころを、続く2回で前後編に分けて当日の模様を詳しく紹介していきます。本稿をきっかけに、今までWACATEを知らなかった方や、知っていたけど参加したことがない方にも興味を持っていただければ幸いです。
WACATEとは何?
WACATEは「Workshop for Accelerating CApable Testing Engineers」の略で「わかて」と読みます。「内に秘めた可能性を持つテストエンジニアたちを加速させるためのワークショップ」という意味と「若手(わかて)」の語呂をかけています。WACATEはこういった可能性を秘めた若手テストエンジニアに対して、さまざまな「場」を提供したり、現状を改善するために踏み出す一歩を助けたりするために活動しています。
ここでは一応、若手とは35歳以下と定義していますが、WACATEに参加するに当たっての年齢制限はありません。実際、「WACATE2010 夏」に参加しているエンジニアの約2割は36歳以上のベテランエンジニアです(図1)。それは、業務経験が豊富なベテランエンジニアでも、WACATE に参加することで得られることが多いからなのかもしれません。
また、「現状を改善するための一歩」は自分自身で踏み出さなければなりません。WACATEは踏み出すための勇気と元気を与えますが、あくまで参加者の主体的な活動が前提なのです。そして、主体的に行動する若手が集まれば、自然と自分も行動できるようになります。
では、実際にWACATEが提供する「場」にはどのようなものがあるか、紹介していきたいと思います。
WACATEは「場」を提供するだけ
WACATEが提供する「場」の一つが1泊2日のワークショップ(WACATE本会)です。夏と冬の年2回、定期開催しており、今回開催された「WACATE2010 夏」は、初めて開催された 「WACATE2007」(2007年12月) から数えて通算6回目。
ワークショップは、日本では一般的に「体験型講座」を指し、参加者が共通の目的に向かって、実際に手を動かしたり、グループで議論したりと、いわゆる勉強会の一種と言えます。
WACATE本会では、毎回ソフトウェアテストやソフトウェア品質に関するテーマを掲げていますが、夏と冬でコンセプトを変えています。夏は一つのテーマを「深く・狭く」扱い、「サークルの夏合宿」のような雰囲気を目指しています。対して冬は一つのテーマに絡めて「広く・浅く」学習し、多くのテーマに触れ、新しい発見を得る、「勉強会の集合体」をイメージしています(図2)。
また、WACATEではオンラインの交流の「場」として参加者限定のSNS(WACATE-SNS)を運営しています。WACATE-SNSは、ワークショップ前の参加者同士の交流や、ワークショップ後の参加者の自主的な学習継続の目的で利用してもらっています。
参加者の中には勉強会自体が初めての方もいます。そのような参加者は「自分は他の参加者のレベルに追いつけるだろうか」「自分はプログラマーだけど他の参加者はテストエンジニアばかりかもしれない」「参考書籍ってどうやって予習したらいいのかな」といった不安でいっぱいです。WACATE-SNSではそういった不安を解消するために、WACATE-SNS内で自己紹介しあうなど、他の参加者との交流を推奨しています。
その他にも、参考書籍の予習会や、ワークショップを経てさらに興味を持ったテーマの勉強会(読書会や演習会)が企画されることもあります。
参加者が主体的に開催する「場」も
WACATEは、WACATE実行委員会が企画する「場」だけではありません。参加者が主催する小さなWACATE(WACATE ShortShort、略して WACATE-SS)というオフ会も不定期で開催されています。例えば、ソフトウェアテストに絡めたライトニングトーク大会(WACATE ShortShort Vol.1、図3)といったものから、山梨までワインをテイスティングしにいく小旅行(WACATE ShortShort Vol.8)など、趣向・目的など自由な企画が多いのが特徴です。WACATE本会は1泊2日ですが、前日夜に会場と同じホテルに前泊する「前夜祭」や2日間のワークショップ後の打ち上げ(反省会)として開催される「後夜祭」もWACATE-SSの一つです。