SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

Developers Summit 2025 セッションレポート

「レビュー観点の活用×シフトレフト」で開発速度と品質を劇的に向上させる方法とは?

【14-B-7】レビュー/テストからのフィードバックにどう立ち向かうのがよいか?~レビュー観点活用で開発が変わるかも

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 開発プロジェクトにおいて、メンバーのスキルや経験にはばらつきがあり、必ずしも理想的なチーム編成が叶うとは限らない。そんな状況下では、レビューやテストによる「手戻り」が開発スピードやモチベーションを下げる要因となり得る。本セッションでは、“ソフトウェアレビューをエンジニアリングっぽく捉える会(SReEE)”の安達賢二氏が登壇。レビューやテストからのフィードバックを減らし、早く・安く・安全に開発を進めるためのアプローチとして「レビュー観点の活用」と「シフトレフト」の考え方を組み合わせた戦略を紹介した。段階レビューやセルフチェックといった実践的な工夫を通じて、開発の品質・スピード・コストをどう変えていけるのか?そのヒントをのぞいてみよう。

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「火事はボヤで消す」致命傷を防ぐシフトレフトという考え方

 冒頭で安達氏は、手戻りを「最初からうまく仕込めていれば発生しなかったはずの工数」と定義する。工数が増えればその分期間も長くなり、開発全体のリードタイム増大につながる。なかでも、上流フェーズにおける欠陥や不備の見逃しは、影響範囲が広く工程全体に悪影響を及ぼしやすい。また、放置期間が長くなるほど問題が深刻化し、修正にもより多くのリソースが必要になる。

 この状況を、安達氏は火災に例えて説明する。「マッチで火をつけても、息を吹きかければすぐに消せる。しかし、家中に燃え広がってしまうと消防車が出動する大規模な話になっていく」だからこそ、初期対応が重要になる。

ソフトウェアレビューをエンジニアリングっぽく捉える会:SReEE(スリー)安達 賢二氏
ソフトウェアレビューをエンジニアリングっぽく捉える会:SReEE(スリー)安達 賢二氏

 ここで解決策として紹介されたのが、「シフトレフト」という考え方だ。これは、品質確保の活動を工程の初期段階に前倒しする考え方で、「要求定義や方式設計などで組み込まれてしまった欠陥や不備を、なるべく早く見つけるための活動」(安達氏)である。欠陥や不備の検出・除去にかかるリードタイムが短くなることで、開発期間の短縮や手戻りの減少につながり、プロジェクト全体に大きなメリットをもたらす。

不具合を早期に修正することで、手戻りによる追加工数の発生を予防する
不具合を早期に修正することで、手戻りによる追加工数の発生を予防する

 シフトレフトの原理を活用した開発手法としては、BDD(振る舞い駆動開発)、ATDD(受け入れテスト駆動開発)、TDD(テスト駆動開発)などがある。

 たとえばTDDでは、本来は実装後に行うユニットテストの一部をコーディングやプログラミングのフェーズで行う。テストコードが失敗する“レッド”状態を確認した上で、グリーン状態へと移行するコードを記述し、最後に保守性の高い構造へとリファクタリングする――という一連の流れが基本だ。

 安達氏はTDDについて、「問題の早期発見はもちろん、欠陥の混入予防も一緒に行える手法」と評価する。そのうえで、「なるべく欠陥や不備が出ないように開発を進める」という欠陥混入の予防と、「欠陥や不備を作り込んでから検出・除去するまでのリードタイムを最小にする」という問題の早期発見・解決という2つの“戦略”を提示し、それに対応する“戦術”を組み合わせた、「Quality・Speed・Costをマルっと変える戦略と戦術」を策定した。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます
  • ・翔泳社の本が買える!
    500円分のポイントをプレゼント

メールバックナンバー

次のページ
全体の工程を短縮する段階レビューのやり方

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Developers Summit 2025 セッションレポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

中島 佑馬(ナカシマ ユウマ)

 立命館大学卒業後、日刊工業新聞社にて経済記者として勤務。その後テクニカルライターを経て、2021年にフリーランスライターとして独立。Webメディアを中心に活動しており、広くビジネス領域での取材記事やニュース記事、SEO記事の作成などを行う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

川又 眞(カワマタ シン)

インタビュー、ポートレート、商品撮影写真をWeb雑誌中心に活動。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/21432 2025/09/04 11:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング