インテルは、昨年5月に発表した「インテルParallel Studio(パラレル・スタジオ)」(→関連記事)をバージョンアップし、この9月3日に「インテルParallel Studio 2011」をリリースした。インテルParallel Studioは、ハイエンドなHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)分野でインテルが長年培った並列化技術を、一般の開発者向けにシンプルに提供する並列化サポートツールだ。
1年半ぶりのバージョンアップで、インテルParallel Studioはどのように進化したのか。米インテルソフトウェアからプロモーションのために今回も来日した、セールスとマーケティングを統括するフィル・デ・ラ・ゼルダ(Phil De La Zerda)氏の話も交えながら、新バージョンの特徴を紹介していきたい。
インテルParallel Studio
インテルParallel Studio 2011の特徴を紹介する前に、インテルParallel Studioそのものについて簡単に振り返っておきたい。詳細は関連記事などを参照されるとよい。
インテルParallel Studioの特徴を一言でいうなら「並列化を手軽に」となる。もともとインテルは、「Intel Compiler Professional Edition」や「Intel Cluster Toolkit」といったサーバーサイド向けの本格的な並列化コンパイラ製品のベンダーとして知られている。
インテルParallel Studioは、インテルがそういった並列化技術をデスクトップ・アプリケーションに適用させた製品だ。背景としては、個人用PCでもマルチコア・プロセッサーが普及し、デスクトップPCやラップトップPCで動作するアプリケーションでも、並列化のニーズが高まったきたことがある。
また、Windowsデスクトップアプリケーション用の開発環境としてデファクトスタンダードであるMicrosoft Visual Studioのアドオンとして、シームレスに組み込まれて動作する。Visual Studioの使い方さえ分かっていれば、新たなツールの使い方に思い悩むことはない。
それでは、さっそくインテルParallel Studio 2011の紹介に入っていくことにしよう。
インテルParallel Studio 2011の新機能
インテルParallel Studio 2011で新たに導入された機能・特徴を簡単にまとめるなら、次の4点になる。
- インテルParallel Building Blocks(PBB)
- インテルParallel Advisor
- プレミアサポート
- 機能向上(Visual Studio 2010サポートを含む)
インテルParallel Building Blocksは、3種類の並列化モデルの包括的なセットであり、C++のコードに並列化の機能を実際に提供する。詳しくは後述する。
インテルParallel Advisorは、インテルParallel Studioを構成する4つの製品のひとつで、今回新たに導入された。これも詳細は後で述べる。
プレミアサポートとVisual Studio 2010
インテルParallel Studioのライセンスには、今回の2011からインテルプレミアサポートが含まれることになった。プレミアサポートは、インテルが提供するウェブベースの技術サポートサービスで、製品のアップデートや関連するダウンロードも提供される。
その他の機能向上で最も重要なことは、Microsoft Visual Studio 2010がサポートされたことである。これによって、2005から2010まですべてのVisual Studioで、インテルParallel Studio 2011を使用できる。また、コンパイラの機能向上や、インテル・スレッディング・ビルディング・ブロック(TBB)のバージョンアップも行われている。
このTBBは前述したPBBの一部でもあるのだが、PBBと、Parallel Advisorの詳細について、次から詳しく見ていきたい。