SQL Anywhere OnDemand Editionの構成
前半で語られたように、構成としては内部的には個別にたくさんのデータベースがあるのだが、外部からは大きな1つのデータベースに見える。これは次のように実現されている。
外部から見た1つの大きなクラウド環境。これは内部的には複数のホストから成り立っている。ホストは物理的なハードウェアのこともあるし、仮想環境でも構わない。もちろん物理的にどこにあっても構わない。パブリッククラウドと自社データセンターをまとめて1つのクラウド環境に見せることもできる。
このホストそれぞれには、データベースサーバーエンジンを複数立てることができる。さらに、1つのサーバーで255個までのデータベースを持たせることができる。データベースを追加する際は、クラウドの中で最も負荷の低いサーバーにコピーが自動的にマウントされる。
同様に、クラウドの環境のなかでデータベースをどのサーバーにでも自由に移動することができる。例えば財務会計のように期末だけ負荷が高くなるパッケージでは、一時的に性能の良いパブリッククラウド環境を借りて移動し、負荷が軽くなったころ元に戻すことも可能だ。
さらに、高可用性構成も実現できる。あるサーバーに接続されているデータベースのミラーリングを別のサーバーにつなぎ、プライマリのサーバーが落ちたときには高可用性ミラーが昇格して業務を継続できる。コネクションは瞬間的に切れるため、トランザクション処理はすべてロールバックされるが、すぐにミラーに再接続できる。
同じくミラーリングの構成で、プライマリーのデータベースサーバーに対する負荷が高くなっているとき、読み込み専用のレポーティング処理などを、別の読み込み専用のデータベースにオフロードすることができる。これによってオンライントランザクション処理のスケールアウトを実現する。
また、別のサーバーへの定期バックアップも自動化できる。パブリッククラウドで運用されているデータベースを、自社のデータセンターで稼働しているサーバーにバックアップするといったことも可能だ。
こういう内部の仕組みは隠蔽されており、外部からはまとめて1つの大きなクラウドのデータベースサーバーに見える。実際に接続する際には、どのデータベースがどのサーバーにあるかクラウドがすべて保持しているので、データベースだけを指定すれば正しいサーバーに接続できる。サーバーとデータベースの対応はクライアントでもキャッシュされる。
さて、こういった構成のデータベース群を管理するための仕組みも用意されている。それが「タグ付」と「ルール」だ。これにより、ある一定の意味をもったデータベースのグループ、サーバーのグループ、ホストのグループが定義できる。グルーピングのルールも定義できる。
例えば「物理的に東京にあるサーバー」「ベーシックサポートの顧客のデータベース」「A社に関連するデータベース」といったタグに対して、「東京のサーバーには、ベーシックサポートの顧客のデータベースがなければならない」「A社とB社のデータベースは同じホストにあってはならない」などを定義できる。
さらにタスク(SQLのセット)を実行する際にも、タグに対して実行できる。例えば、プレミアムサポートの顧客に対して新しいサービスを立ち上げるためテーブルを追加しなければならないときには、対応するタグのデータベースに対してタスクを実行できる。
こういった作業はすべてブラウザベースの管理ツールから可能で、さまざまな条件でメンテナンスを実行し、その結果を確認できる。
このように、独立系のソフトウェアベンダーやパッケージベンダーが、クラウドでデータをマネジメントできるソリューションを提供するパッケージソフトウェア「SQL Anywhere OnDemand Edition」では、使い勝手やセキュリティを保ったまま、顧客のデータベースを簡単に管理できる。
2012年6月ごろまでに英語版をリリースし、日本語版は夏ごろリリース予定だ。価格体系は現在のところ未定。下記のURLからβテストに参加可能できる
また、デモがYouTubeで公開されている。