SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

「PyCon JP 2012」レポート

PyCon JP 2012 レポート
~第4回 総括

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 前回は運営の裏側を支える担当による報告でした。 最終回となる今回は、若干固い内容ではありますが、運営の取りまとめである座長と副座長による総括です。

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

運営総括

 副座長の清水川です。 PyCon mini JP, PyCon JP 2011に引き続き副座長を務めさせていただきました。イベント開催までは各タスクの進捗管理を行い、イベント当日は主に本部に常駐してスタッフからの連絡や相談を切り盛りしていました。事前準備から当日運営までの全体についてご紹介します。

副座長の役割

 副座長として行ったことの多くは、全体の進行を滞らせずに進めることでした。細かくは以下のことを行っていました。

  • 座長が意思決定するための情報整理
  • 判断可能なものは座長に代わって判断する
  • 個々の進捗を確認して停滞しないようにする
  • 担当間で情報伝達できてなさそうな場合にフォロー
  • 新しいタスクの洗い出しと担当者の割り当て

 ほとんどがタスク管理でしたが、個々のタスクの詳しい部分まで把握する余裕はなかったので、なんとなく全体の流れを押さえて、当日など即時判断が必要な場合は全体の流れに合うように判断していました。このため、判断を間違うこともあり、スタッフのみなさんにフォローしていただきながらなんとかこなすことができました。

開催前の話

 開催前の副座長としての最大のタスクは、タスク管理かもしれません。イベント運営のための多くのタスクがあり、日々のメール、チャット、ミーティングなどでタスクが発見されます。これらを記録してこなしていくのはツールなしには無理だと、昨年までのイベントで分かっていたのですが、ツールと運用ルールを早期に決定することができないまま時間が過ぎてしまったのは大きな反省点です。

 タスク管理のサービスとして、10人以上で同時に使用でき、担当者と期限と進捗率を設定でき、メールで期限超過などのリマインダを通知してくれる無料の(または安価な)サービスを探していたのですが、そういったタスク管理のWebサービスを見つけられませんでした。そこでGoogle SpreadsheetとGoogle Apps Scriptを組み合わせてこのような仕組みを用意しました。イベント運営全体を通してGoogle Docs/Drive を多用していたので、アカウント管理の面からもSpreadsheetの利用は導入障壁が低かったというのもあります。しかしSpreadsheetでタスク管理というのも、200行以上でやるのはやはり無理がありますね。TracでOAuth2認証でもできれば良いのですが…これは次回こそ改善したいところです。

タスク管理用Spreadsheet, ガントチャートは自動描画
タスク管理用Spreadsheet, ガントチャートは自動描画

 タスク管理の他には、いちスタッフとしてチケット販売の個別対応や問い合わせなどを日々行っていました。今回、イベント管理サービスのconnpassを使ったチケット販売を利用できたため、昨年のファミポート+PayPal販売よりはだいぶ楽だったのですが、銀行支払の個別対応は件数は少なくてもどうしても手を取られます。このあたりは個別対応の要らない仕組みが必要だと強く感じました。

イベント前日・当日の話

 イベント前日から当日にかけて、運営スタッフ・当日スタッフ合わせて50人近くがいろいろな担当をこなしていました。当日スタッフとして25人の方に、前日準備や当日受付など人手が必要となる箇所を手伝っていただきました。実はこれだけの人数が当日スタッフとして手伝ってくれれば十分だろう、と、当日スタッフの募集を開催2日前に締め切ったのですが、結果的にはあと5人は足りなかったように思います。前日準備では私の妻にも急遽来てもらいなんとか終えることができました。お手伝いいただいた皆さん、ありがとうございました。

 イベント当日には受付、誘導、各教室担当、食堂、撮影、巡回……と、各スタッフがそれぞれの場所で担当を持ちます。各スタッフが何時にどの担当になるのかを前日までにまとめて連絡していたのですが、スタッフが担当に就いたときに何をするのかを事前に伝えることができず、当日実践しながら覚えて貰いました。前回の反省点に「現地での事前シミュレーション」というのは挙がっていたのですが、開催間近の忙しさのなかではなかなか実現が難しいものだと改めて実感しました。

1日目のスタッフ配置表
1日目のスタッフ配置表

 こうした周知と練習の不足から、当日の開場前から全体的にバタバタしていたのですが、そういった運営の混乱も1日目の昼頃には落ち着いてきたように思います。当初は「人手が欲しい」「これはどうすれば良いか」「養生テープが欲しい」「張り紙の用紙が欲しい」と本部にスタッフからの問い合わせが殺到したのですが、今年導入したトランシーバーを活用してなんとか調整することができました。といっても、何割かは「ないものはない」と回答していたような覚えも…。そんなやりとりをしているうちに、問い合わせ内容も「どうしましょう?」から「こうして良いですか?」に変わり、次第に多くのスタッフが能動的に判断して結果を報告してくれるようになったのが良かったのだと思います。

当日朝の運営本部
当日朝の運営本部

 落ち着いた1日目の午後からは、対外的にはTwitterでのイベント情報配信や落とし物連絡などを行っていました。内側では他に、不足物品をまとめて買い出しスタッフを割り当てたり、状況に合わせてスタッフの担当を入れ替えたりしつつ、公式サイトの更新やクロージングに向けてアンケートの調整、プログラミングクイズの回答データ検証などを行っていました。

落ち着いた運営本部
落ち着いた運営本部

 また、今回のイベントでは個人的にも発表枠がPyCon JPとSphinxCon JPで1つずつあり、Open SpacesでエキPy読書会出張所を開催するなど、さすがにちょっと詰め込みすぎだった気がします。

総括のまとめ

 私は当日に体調をくずしてしまったこともあり、ほぼ100%本部常駐していました。このため、イベント期間中は会場内をほとんど見ることができず、開催中の会場の雰囲気を把握できていないために行き届かなかった点もあったかと思います。しかし、イベント中盤以降は各スタッフが自律的に動いてくれたため、本部のコントロールなしでも多くの改善を行い運営できていたようです。次回は会場の雰囲気を見て回るくらいの余裕あるスタッフスケジュールにしたいですね。

 運営スタッフの多くは事前準備に多くの時間を使い、また当日もほとんどのスタッフがセッションに参加できませんでした。私もそのうちの一人ですが、それでもまたスタッフやりたいと思うくらい楽しかったし、充実していました。

 つい先日スタッフが集まり、今回のイベントについて多くの課題やトライを共有しました。昨年も同様に課題やトライを共有し、「発表者のための荷物置き場や、資料作成場所の提供」や「レシーバーの導入」、「同時通訳の導入」といったトライは今回のイベントに生かされています。次回はPyCon APAC(Asia-Pacific)として開催することになりますが、今回同様に課題やトライを生かしたイベント作りをしていきたいと思います。

 最後に、関係各位に感謝いたします。特にスタッフ全員に感謝します。当日スタッフを含めたみんなが「やったことのないこと」を手分けして担当してここまでのカタチにできました。イベント中は見られませんでしたが参加レポートや開催レポートを読んで「こんなことしてたんだ、スタッフやるなあ!」と感動していました。本当にありがとうございました。

2日目終了後のスタッフ@本部
2日目終了後のスタッフ@本部

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
会の総括

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「PyCon JP 2012」レポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

寺田 学(テラダ マナブ)

一般社団法人PyCon JP 代表理事。Plone Foundation Ambassador。株式会社CMSコミュニケーションズ 代表。NVDA日本語チーム 監査。Zope/Ploneの専門家として,大学系・公共系などのCMSコンサルティングや構築を手がけている。PyCon JPには、初回からスタッフとして活動。他のOSS活動も行っている。開発者してはPloneコアコミッターとして,Ploneの開発にも携わっている。Tw...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

清水川 貴之(シミズカワ タカユキ)

ドキュメンテーションツール Sphinx のメンテナ。 Sphinx-users.jp 運営。 一般社団法人PyConJP理事。 株式会社ビープラウド所属。 著書/訳書:「Pythonプロフェッショナルプログラミング第2版」「Sphinxをはじめよう」「Pythonプロフェッショナルプログラミング」「エキスパートPythonプログラミング」。 http://about.me/shimizukawa

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/6834 2012/10/22 14:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング