ASP.NET Identity登場(VS2013)
ASP.NETメンバーシップに存在する上記の問題を解決するために登場したのが、本連載のテーマである「ASP.NET Identity」です(図3)。
ASP.NET Identityは、次のような目標を見据えてデザインされています。
One ASP.NET
ASP.NET Webフォームから、MVC、Web API、そしてSignalRと、さまざまなスタイルのASP.NETアプリケーションで使用できます。
追加のユーザー情報カスタマイズの容易さ
資格情報へのアクセスにはEntity Frameworkが使用されており、そのマイグレーション機能(*2)を使うことで、誕生日などの情報を簡単にユーザー情報に追加できます。また、追加された情報は、ユーザー名などの基本的な資格情報と同じテーブルに配置されるため、管理も容易です。
データストアの柔軟性
SQL Serverだけでなく、他のRDBMSやNoSQLとも、比較的簡単に連携できるようになっています。
ユニットテストが容易
インターフェースを軸としてAPIが構築されているため、スタブ、モックを使用することで、実装を切り替えてユニットテストを行えるようになっています。
ソーシャルログイン
Microsoftアカウントはもちろん、Facebook、Twitter、Googleといった外部のソーシャルアカウントを使った認証が行えます。
また、実装面では次のような特徴を備えています。
OWIN(Open Web Interface for .NET)統合
認証には従来のフォーム認証ではなく、OWINの認証用ミドルウェアを使用しています。これにより、ソーシャルログインが容易に行えるようになっています。
NuGetによる提供
関連ライブラリがNuGetから入手できるため、導入が容易です。
Visual Studio 2013統合
Express for Webを含むVS2013のWebアプリケーションの標準テンプレートに組み込まれているため、まず使ってみることが簡単にできます。
なお、ASP.NET Identityの詳しい情報については、以下のページを参照してください。
EF Code Firstのデータモデルクラスの変更をもとに、既存のデータを残したままデータベースのテーブルを変更する機能。詳しくは以下のページ参照。
OWINとは、Webサーバーとアプリケーションコンポーネント間のやりとりの仕様を新たに定義するプロジェクトです(図4)。
OWINのリファレンス実装である「Katanaプロジェクト」を利用すると、次のことが行えるようになります。例えば、IISがなくとも独自にASP.NETアプリケーションをホストするコンソールアプリケーションの作成(セルフホスト)や、IISでホストすることもできます。
また、OWINはASP.NET Webアプリケーションを認証などの各機能を担当する「ミドルウェア」をつなげたパイプラインとしてその処理を行います。この「ミドルウェア」を自作して追加することで、パイプライン処理の挙動をカスタマイズすることができます。日本語情報はまだまだ少ないのですが、例えば次のページでその一端を垣間見ることが可能です。
OWINは、これまでよりも柔軟なWebアプリケーションの構築ができることを期待され、注目を集め始めています。

