対象読者
今回の対象読者は下記のとおりです。
- Visual Studioを使う開発に興味のある方、開発を行っている方
- Microsoft Azure上で提供するサービス開発に興味のある方
必要な環境
- Visual Studio Community 2013、または他エディション
- Microsoft Azureサブスクリプション
Microsoft AzureとVisual Studio
Microsoft Azure(当時はWindows Azure)がサービスインして以来、Visual Studioには一貫してMicrosoft Azure対応の拡張機能が提供されてきました。
当初のVisual Studio 2008では、クラウドサービス(PaaS)向けのMicrosoft Azureアプリケーション作成、デプロイ機能程度しかありませんでしたが、現在ではVisual Studio 2013です。この間に、仮想マシン(IaaS)やWebサイトといったMicrosoft Azureの機能拡張が行われるたびに、併せてVisual Studioでも対応する機能が拡充され続けており、開発者にとって便利なツールとなっています。
Microsoft Azureへの操作は、ブラウザーベースの管理ポータルやPowerShellから行うのが一般的ですが、Visual Studioを利用すると、開発中のアプリケーションとシームレスに連携できます。Visual StudioからアクセスできるMicrosoft Azureの機能は以下のとおりです。
- 仮想マシンの作成、管理、削除
- クラウドサービスの作成、削除
- Webサイトの作成、管理
- SQL Databaseへの接続
- HDInsightの管理
- 通知ハブ、サービスバスへの接続、操作
- Azureストレージ(BLOB、テーブル、キュー)の作成、管理、削除
このうちあまりなじみのないHDInsight、通知ハブ、サービスバスにについて補足しておきます。「HDInsight」とはHortonworks社が提供するHadoopディストリビューションです。Microsoft Azure上でHadoopを利用したビッグデータ解析などが行えます。「通知ハブ」は、iOS/Android/Windowsなどのデバイスへのプッシュ通知の送信、「サービスバス」は、信頼性の高いキューなどのメッセージング処理基盤を提供するSaaSです。
各機能によってVisual Studioからサービスの作成、管理、削除までできるものもあれば、サービスに接続して管理のみしか行えないものもあります。
環境の設定
必要な環境と入手方法について簡単に説明します。
Visual Studioを入手する
MSDNサブスクリプションをお持ちであれば、プランに応じて常に最新版のVisual Studio がダウンロード可能です。それ以外の方は、以下のリンクから無料のCommunity版を入手可能です。これは、2014年11月13日に発表されたばかりの新しいエディションで、従来のExpress版に代わるものです。Professional相当の機能が無償(注1)で利用可能です。ダウンロード後、PCにインストールしてください。
詳細なライセンスは、Webページから確認してください。また、執筆時点では英語版のみのダウンロードですが、言語パックを追加インストールすることで日本語化が可能です。
Microsoft Azureサブスクリプションを契約する
MSDNサブスクリプションをお持ちであれば、プランに応じて最大15,500円分の無料利用特典があります。詳細は以下を参照してください。
それ以外の方でも、1か月の無料評価版が利用できます。すべての機能を利用でき、なおかつ約20,000円分までの課金分が無償で利用できます。Microsoft Azureサブスクリプションを契約するには、マイクロソフトアカウントが必要です。お持ちでない場合は、「Microsoftアカウント登録手続き」からアカウントを作成してください。
マイクロソフトアカウントを取得した後に、「Microsoft Azureサブスクリプション申し込み Step by Step」を参考に、サブスクリプションを申し込んでください。特に課金枠を外す操作をしなければ、無償枠をオーバーして課金されることがないため、心配ありません。
Microsoft Azure連携機能
Visual StudioからMicrosoft Azureと連携するためには、拡張機能のインストールが必要です。拡張機能はWeb Platform Installerとよばれる、マイクロソフトが提供する統合インストーラーから行えます(図1)。