AWS Dev Day Tokyo 2017 開催概要
- 日時 2017年5月31日(水)~6月2日(金)
- 受付開始 9:00
- セッション 13:20
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会場 品川プリンスホテル アネックスタワー 5F プリンスホール
- AWS Summit Tokyo 2017と会場が異なりますので、お申込みの際はご留意ください
- 来場無料(要事前申し込み)
- AWS Dev Day Tokyo 2017公式サイト
まず、AWS Dev Day Tokyo 2017そのものについて、改めて簡単に概要を紹介します。昨年までも「Developers Conference」を開催してきましたが、今年はよりDeveloper志向を強め、実際に普段コードを書き、テストを書き、CI/CDを回しているような開発者の皆様がワクワクするような場を作ることを強く意識し、装いも新たに開催されることとなりました。また、当然DevとOpsは今や切っても切り離せないものであり、Infrastructure as Code、SREといったトピックのカッティングエッジな話も出てきますし、ディープラーニング、マイクロサービス、IoT、サーバレス、DDDの実践的な話まで盛りだくさんの内容となっています。
Serverless Evolution Day
私はサーバレスのスペシャリストSA(ソリューションアーキテクト)として、常日頃からいろんなお客様のお話をお聞きしたり、イベント講演を行ったりしているのですが、昨年の後半くらいから求められる内容が変わってきたと感じています。
というのもそれまでは「そもそもサーバレスって何?」といった話や「AWS Lambdaで何ができるの?」といった風にサーバレスというコンセプトの概要紹介を求められることが多かったと言えます。それが昨年後半くらいから少しずつ雰囲気が変わってきており、「サーバレスを採用したアーキテクチャのレビューをして欲しい」であったり「サーバレスアプリケーションにおける開発プロセスを知りたい」といったようなよりサーバレスなアプリケーション開発をする上での具体性を持った相談内容へと変化してきています。
そのため、今回はサーバレスに興味を抱いているマジョリティに対するセッション、つまりサーバレスそのものの概要やメリットなどをお伝えするセッションはAWS Summit本編で提供し、既にサーバレスアプリケーションの開発に携わっている方や、これから実際に携わろうとしている方向けに、より技術的に深い内容をお届けすべく、Dev Dayの一日をServerless Evolution Dayとすることにしました。つまりこの日はサーバレスにフォーカスした一日となり、具体的にサーバレスアプリケーションを開発する上でのノウハウや開発プロセスの構築やデプロイメントといった内容や実際のユースケースについて2トラック、合計で10セッションを提供する予定です。
トラック1はサーバレスの技術的な内容が中心
トラック1は、サーバレス・アプリケーション開発のために必要となる技術的な内容を中心にセッションをご用意しています。まずはAWS Lambdaでのアプリケーション開発を行う上で知っておくべき内容と頻出するトピックを網羅的に紹介する「全部教えます!サーバレスアプリのアンチパターンとチューニング」というセッションを私がお届けします。
このセッションではサーバレスアプリの開発においてよく話題にあがるトピックとしてのアーキテクチャの設計指針や、間違いとまでは言わないものの一般的にやりがち陥りがちな内容、そして特にAWS Lambdaというプラットフォーム特性を意識したパフォーマンス向上のテクニックなど、今現在私が知りうることのすべてを時間の許す限りお伝えしたいと思います。実際のところ、普段お客様先などでお話する内容ばかりです。
サーバレスアプリケーション開発におけるベーシックな部分を一発目のセッションで学んだあとは、あまり知られていない内容を深掘りしたセッションをお送りします。「サーバレスで王道Webフレームワークを使う方法」と題して、AWS LambdaとAmazon API Gatewayで構成するアプリケーションを開発する上で、既存のWebフレームワークを利用するための方法を、AWSのSA塚田がお伝えします。実はExpressやSpringといった既存のWebフレームワークを利用するためのライブラリが提供されているのですが、それらについてご紹介する機会があまりなかったのでこのセッションで余すところなく紹介してもらう予定です。この内容はこれまでのいろんな勉強会などでもほとんど触れられたことのないトピックなのではないでしょうか。
ここまで、2つのセッションはどちらかというとサーバレスアプリケーションの開発そのものに関するテーマでしたが、開発と切っても切り離せないテーマといえば「テスト」です。サーバレスという新しいコンセプトにおけるテストについてもご相談いただくことが多いですが、整理して考えれば実は難しいことはありません。そこで、今回は「テストの伝道師」として著名な和田卓人氏より、サーバレスアプリケーションにおけるテストの指針を語って頂きます。「Serverless時代のテスト戦略」というまさに直球のタイトルとなっています。テストの中でもユニットテストの部分について何らかの気づきを得られるかと思います。
さて、テストに関する全体的な話し、ユニットテストのあとのプロセスで重要になってくるのが、継続的インテグレーション(Continuous Integration:CI)や継続的デプロイ(Continous Deploy:CD)といった概念です。いわゆるビルドパイプラインをどう実現していくかという話しですが、まずはサーバレスのアプリケーションをモデル化して構築を自動化するためのツールである、AWS Serverless Application Model(AWS SAM)について日本のサーバレスコミュニティの立役者とも言える吉田真吾氏に「もう悩まない!AWS SAMで始めるサーバーレスアプリケーション開発」として語っていただく予定です。
そして、このトラックの最後はAWSのSA小梁川より「サーバーレスアプリケーションのためのCI/CDパイプライン構築」をお届けします。ビルドパイプライン全体をどのように構築するかについて、AWSのCode Servicesを活用して実現する方法を具体的にお話する予定です。本セッションを通じて今現在のサーバレスアプリケーション開発におけるビルドパイプラインのベストプラクティスを知ることができるでしょう。
以上がトラック1でお届けするセッションになりますが、私がこのトラックで実現したかったことはサーバレスアプリケーションのライフサイクル全般について各フェーズ、トピックごとに掘り下げることです。そういう観点ではアプリケーションをデザイン、開発する上で気をつけることからテスト、デプロイまで1つ1つを掘り下げてお届けすることができそうです。なお、今回は残念ながらトラック数の関係もあり、ライフサイクルという観点では非常に重要なモニタリングとデバッグ関連についてセッションをご用意することができなかったのですが、これらに関してはまた別の機会に実現したいと考えています。
トラック2はサーバレスを活用するユーザーの声をお届け
さて、トラック1がサーバレスアプリケーションの開発における技術的なトピックについて深掘りするセッションを中心としていたのに対して、トラック2では実際にサーバレスアプリケーションをプロダクションで運用しているユーザの生の声をお届けしたいと考えています。
サーバレスのような新しいコンセプトにいち早く取り組んでいる先人の事例からは学ぶことが多くこれから取り組む方にとって参考になる内容が含まれているでしょう。単にどういったユースケースで利用しているかの紹介だけでなく、実現に向けて進める中でぶつかった課題やハマりどころとそれに対してどう取り組んで解決したかといった実運用している人でなければわからない運用上の苦労、課題や工夫を余すところなく語っていただけるようお願いをしています。
また、日本ではAmazon API GatewayとAWS Lambdaの組み合わせによる構成に関する話がWeb上のトピックや勉強会などで言及されることが多いため一番多いユースケースだと思われがちですが、実はグローバルでも日本でも実際の事例においてはデータプロセッシングが多くを占めています。そこで今回はAPIバックエンドとしてのユースケースだけでなく、それ以外も含めて代表的なイベントソースごとにセッションをご用意しました。
トラック2の各セッションの中身の詳細については控えますが、どれも聴き応えがあります。私も自分のセッションや仕事がなければ聞きたい内容ばかりです。参加者の方にとっても先のトラック1との被りが悩ましいという状態になりそうですね。
最後に
というわけで、本編側で提供するサーバレス関連セッション(お客様事例もあります)もあわせるとAWSサミット全体におけるサーバレス関連セッションは昨年と比べて大きく増えました。これはこの一年におけるサーバレスというコンセプトの浸透具合を表しているとも言えるでしょう。この日は間違いなく日本におけるサーバレスの最先端がここにあると言える一日になるかと思います。ぜひ、6月2日(金)は会場でお待ちしております。