ユーザーに親しみやすい広告を届けるため、LINE Ads Platformの最適化に取り組む
LINEが提供する運用型広告配信プラットフォーム「LINE Ads Platform」。広告を配信したい企業が、予算や期間、ユーザー属性などの配信の条件を登録・入札すると、LINE Ads Platformによって広告が選定され、ユーザーに表示されるという仕組みである。
他の広告配信サービスとの違いは、「規模やリアクションの大きさ」と語るのは、今年からLINE Ads Platformの広告配信の最適化に取り組む、サーバサイドエンジニアの小川拡さん。LINEのタイムラインだけでもMAU(月間アクティブユーザー数)は4000万人以上。広告がユーザーの目にとまる機会は格段に大きい。
「大勢のユーザーがアプリを利用するからこそチューニングが必要になる」と小川さんは続ける。広告配信実施企業はターゲットするユーザーや広く多くのユーザーの目に広告に触れてほしいし、LINEとしても広告が表示されれば売上になる面もある。一方、ユーザー側は自分の興味関心のない広告がひんぱんに表示されると嫌悪感を抱く可能性がある。
「レギュレーションやデザインを工夫して、ユーザーにとって親しみやすい広告にしているのが当社の特徴です」と、小川さんと共に、データサイエンスの側面からLINE Ads Platformの広告配信の最適化に取り組んでいる並川淳さんは言う。
現在、LINE Ads Platformのパフォーマンス改善を主に担当しているのは小川さんと並川さんの二人。小川さんは大学院を修了して2015年4月に同社に入社。LINEポイントの広告システムの開発に携わったことを見込まれて、LINE Ads Platformの広告配信の最適化に携わっている。
「広告配信の最適化とは、データサイエンティストが考える『どのユーザーにどんな広告を見せたら、広告配信実施企業および当社にとって売り上げやユーザー獲得などの効果が上がるか』という仕組みを、システムに組み込んでいく仕事です」(小川さん)
一方の並川さんは大学院で博士号を取得し、理化学研究所で約7年間、機械学習やニューラルネットワークなどの研究に携わっていた。その後、リクルートに転職。同社で広告系の最適化に携わっていたことから、誘いを受けて同社に転職。現在はデータ専門研究開発組織「LINE Data Labs」に所属し、サービスの最適化を全般的に携わるチームのマネジメントを務める。「最近は、広告の最適化に強くコミットしている」と並川さん。
LINE Ads Platformで使われている技術
LINE Ads Platformはどのような技術で構成されているのか。広告配信システムは、Amazon EC2のサーバで動かし、言語はPerlを採用。パフォーマンス向上のために、一部JavaやGo言語も利用する。データベースはAmazon RDS for MySQL、Amazon ElastiCache、ログはBigQueryで保存している。
「ユーザーが広告をリクエストした際の処理は、MySQLを直接使わず、あらかじめバッチ処理でRedisやMemcachedに必要なデータを配置することで高速化を実現しています」と小川さんは語る。またRedisやMemcachedはリモートにあるとアクセスにレイテンシーがかかるため、リモートのRedisやMemcachedから取得したデータを、ローカルに立てたRedisやMemcachedにキャッシュするという仕組みになっている。
小川さんも登壇するLINE Developer Meetupが10月25日に開催!
LINEの技術者向けミートアップ「LINE Developer Meetup」が、10月25日にLINE新宿オフィスにて開催されます。今回のテーマは「広告技術」。インタビューに登場しているLINEの小川さんのほか、ジーニーの篠塚さん、Supershipの山崎さんが登壇し、各社の事例や知見が発表される予定です。
ミートアップ前には、LINE新宿オフィスのワークプレイス、ラウンジ、カフェテリアを見学できるツアーを実施します(希望者のみ)。終了後は懇親会も予定しています。最新の広告技術に関心のある方、小川さんの話を聞いてみたい方、LINEオフィスに遊びに行ってみたい方、ぜひご参加ください!