データサイエンティストとエンジニアの連携でCTRは2倍まで増加
毎日チャットでやり取りし、最適化に取り組んでいる小川さんと並川さん。並川さんは、数式と、なぜその数式がパフォーマンス改善につながるのかという理屈、そしてサンプルコードを小川さんに渡し、そして小川さんは、負荷に問題はないか、システム的にかみ合わない部分がないかなどを確認し実装する。その結果を並川さんにフィードバックすることで、最適化が図られているという。
実際にその効果は表れている。「CTR(広告のクリック率)はおよそ2倍になっています」と並川さんは言う。
CTRは、一人ひとりのユーザーにとって興味関心のある広告を表示することで改善する。そのためにはユーザーがどういう広告に興味をもってくれるかを予測する必要がある。
「最も重要なのは広告そのものへの反応です。LINEはプライバシーポリシーをかなり厳密に設定しているので、使えるデータは限られますが、例えばどのような公式アカウントをフォローしているのか、どのような広告をクリックするのかといったデータを基に、Aさんは飲食に興味がありそうだ、Bさんは旅行に興味がありそうだということを予測していくんです」(並川さん)
このように、自分たちが開発したプロダクトが、直接ビジネスにつながることが実感できるのが、アドテクノロジーに携わる醍醐味とも言える。
小川さんも「LINEに入社する前は、LINEはB2Cのサービスというイメージしかありませんでした。しかし入社して以後は、広告配信のシステム、つまりB2Bにしか携わっていません。いざB2Bをやってみると、とにかく結果が数字で見えるのが、面白いですね」と満足そうに語る。
大量トラフィック、大規模データに携われるのが何よりのやりがい
もちろん、技術面でも面白さがある。「トラフィックが多いと技術的なハードルが上がる。そこは一番の面白さです」と小川さん。たとえシミュレーションで良い結果が出ても、ロジックを実装する際に考慮に漏れがあると、負荷があがって実際には使えないこともあるという。「並川さんと話して調整を繰り返して、なんとか実装に持って行くのですが、そういう苦労することも楽しいですね。とにかく入社してまだ3年目にもかかわらず、こんな重要なサービスを幅広く任せてくれることにすごくやりがいを感じています」(小川さん)
データサイエンスの研究者である並川さんにとって、LINEはどのような環境だろうか。
「Data Labsには当社の全データがあります。しかもその規模は世界でも有数といっていいほど大規模なもの。データサイエンティストとしてそこまでのデータを扱えることに魅力を感じます。
そのデータ量に比べるとインフラは小規模なので、うまく実装して動かすというエンジニアリングの妙が生きてくる。エンジニアにとってもやりがいがあると思います。
一方、私たちデータサイエンティストは、自分が持っている数学の知識を駆使し、最適化のアイデアを考える。考えたアイデアはエンジニアに実装してもらうことになるため、失敗しそうな案は小川さんに渡すことはできません(笑)。つまり最適化のアイデアそのものも何%当たるか予測しないといけないことも、LINEのデータサイエンティストの面白さと言えるかもしれません」(並川さん)
小川さんも登壇するLINE Developer Meetupが10月25日に開催!
LINEの技術者向けミートアップ「LINE Developer Meetup」が、10月25日にLINE新宿オフィスにて開催されます。今回のテーマは「広告技術」。インタビューに登場しているLINEの小川さんのほか、ジーニーの篠塚さん、Supershipの山崎さんが登壇し、各社の事例や知見が発表される予定です。
ミートアップ前には、LINE新宿オフィスのワークプレイス、ラウンジ、カフェテリアを見学できるツアーを実施します(希望者のみ)。終了後は懇親会も予定しています。最新の広告技術に関心のある方、小川さんの話を聞いてみたい方、LINEオフィスに遊びに行ってみたい方、ぜひご参加ください!